Yahoo!ニュース

カネロがKOで圧勝 現役最強王者と呼ばれるその強さとは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

アメリカでボクシングWBC&WBAスーパー世界スーパーミドル級タイトルマッチが行われ、現役最強の呼び声が高いサウル・アルバレス(メキシコ)が、WBC同級2位のアヴニ・イルディリム(トルコ)と対戦した。

カネロは昨年12月のカラム・スミス戦から約2ヶ月の短期間でリングに立った。

カネロが圧倒

試合が始まるとガードを固めたカネロが前進しながらパンチを放っていく。

イルディリムはカネロの気迫におされ、手が出ない。序盤からプレッシャーを掛けるカネロは、上下にパンチを集めペースを握っていく。

2ラウンドでも、アッパーやフックを織り交ぜパワーパンチを集めていく。イルディリムも手を出すが、ガードが固く崩せない。

カネロは中と外の打ち分けが多彩で、イルディリムは防戦一方になっていく。さらに余裕が出てきたカネロはガードを下げながらパンチを放つ。

3ラウンド目になるとイルディリムも分が悪いと思ったのか前に出始める。しかし、1分過ぎにカネロがボディ、フックと打ち分けた後のワンツーが直撃。イルディリムからダウンを奪う。

イルディリムはなんとか立ち上がるも、すかさずカネロが追撃。ボディ、アッパーとパンチを打ち分け仕留めに向かう。イルディリムは防戦一方となり苦しい展開となった。

3ラウンド目はなんとか逃げ切ったイルディリムだが、インターバル中に試合を棄権。カネロが挑戦者を圧倒し、3回TKOで王座防衛を果たした。

カネロの強さとは

スーパーミドル級では小柄なカネロだが、安定感があるファイトで圧倒した。

注目すべきは「パンチの多彩さ」だ。ボディ、アッパー、フックを柔軟に使い分け、相手の意識を散らしワンツーで仕留めた。

様々な角度からパンチを打ち込む事で、相手を困惑させる。今回の試合でもその隙をついて、最後は得意のワンツーで試合を決めた。

カネロは全階級で最強を決めるパウンド・フォー・パウンドランキングでNO1の評価を得ており、現役最強との呼び声も高い。

パワー、スピード、技術と全てを兼ね備えたボクサーで穴がない。攻防のバランスも優れ、余計なパンチをもらわない。年齢も30歳と若く、おそらく今がピークだろう。

しかし、昨年は契約していたゴールデンボーイ・プロモーションズとのトラブルがあり、1度しかリングに立っていない。

その遅れを取り戻すかのようにハイペースで試合をこなし、今年は4試合したいと公言している。

目標は4団体統一

5月には対抗王者でWBO世界スーパーミドル級王者のビリー・ジョー・サンダース(イギリス)との統一戦が決まっている。

現在この階級には下記の王者が君臨している。

WBAスーパー&WBC サウル・アルバレス

WBAレギュラー デビッド・モレル

WBO ビリー・ジョー・サンダース

IBF カレブ・プラント

カネロはこの階級での4団体統一を目指しているが、このままのペースでいけば年内にはたどり着くだろう。

一つ下のミドル級にはライバルでもあるゲンナジー・ゴロフキンが王者として君臨している。1勝1分のゴロフキンとの対戦も見たいところだ。

また、日本人王者村田諒太とのビッグマッチへの期待も高まる。

カネロの動向から目が離せない。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事