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3階級王者の田中恒成が語る井岡一翔戦への意気込み「派手に倒して世代交代したい」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
トレーニングに励む田中恒成(写真提供全て畑中ジムAndre)

12月31日大田区総合体育館でWBOスーパーフライ級タイトルマッチで王者の井岡一翔(31=Ambition)と同級1位の田中恒成(25=畑中)が対戦する。

複数階級王者同士の戦いで史上最高の日本人対決として注目を集める中、調整を続ける挑戦者の田中恒成に電話取材を行った。

井岡一翔との対戦について

ーーー年末に試合が決まりましたね。決まった時の心境はどうでしたか。

田中:正式発表されてさらに気合が入りましたね。だいぶ前から試合があるとは聞いていましたが、コロナなどの影響もあり最近やっと詳細が決まったぐらいです。

ーーー史上最高の日本人対決と言われていますね。

田中:はい。いつも以上に注目が集まっているので燃えています。

ーーー昨年末ぶりの試合となりますが不安はありますか。

田中:ないです。コロナで仕方ないですが、もっと試合がしたかったですね。

ーーー先日の会見で井岡選手から「格の違いを見せつける」との発言がありましたがどう思いましたか。

田中:井岡選手も今まで積み上げてきたプライドがあると思うのですが、俺には俺の自信があるのでそれをぶつけるだけです。

世代交代したい

ーーー井岡一翔の印象は。

田中:飛び抜けた才能がある選手というより、地道に作り上げてきた努力型の選手だと思います。

以前から階級も近いということもあって意識していました。

復帰してからも海外で試合したり、トップまで上り詰めたボクサーが環境をがらっと変えて挑戦し続けるのは相当な覚悟だろうなと、純粋にかっこいいなと思います。

ーーーそういう選手と戦えるのは楽しみでもありますか。

田中:はい。年齢が離れていて、しかも日本人のトップボクサー同士で交わえるのはそうそうない機会ですからね、すごく楽しみです。

それに、井岡選手をはじめとする上の世代が引退したら自動的に俺らの時代になると思います。

ーーー自分の実力を示して、世代交代したい。

田中:思いっきり倒して世代交代したいですね。

ーーーいいですね。今回はKOにも自信がある。

田中:あります。スパーリング(以下「スパー」)していて感じるのですが、この1年で技術レベルもかなり向上しました。

ーーー技術レベルとは。

田中:3分間途切れない集中力を意識してトレーニングしていたので、余計なパンチをもらわなくなりました。

ーーーディフェンス技術が向上したということですね。

田中:はい。バランストレーニングを取り入れたことで、すぐにカウンターを打てるようになりました。

見えているのにもらってしまう、ということも減りましたね。

畑中ジムで調整を続ける田中
畑中ジムで調整を続ける田中

ライバル井上拓真とのスパー

ーーー試合に向けて関東にスパーに行ったと聞きましたが、どうですか。

田中:大橋ジムの井上拓真選手(24)とやりました。6ラウンドでしたが良い内容のスパーができました。

ーーー二人は学生時代ライバルでしたが、久しぶりに手合わせしてみてどうでしたか。

田中:昔を思い出しました。お互いにレベルアップしていますが、井上選手のスピードとバランスの良さには驚きました。

ーーー以前インタビューした際に、スーパーフライ級にしばらく留まると話していましたが、同じ階級の他のライバルたちを意識していますか。

田中:もちろんです。試合に勝ってどんどん戦っていきたいですね。

ーーー戦ってみたい選手はいますか。

田中:ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)です。一番評価高いですし、戦ったら一番噛み合いそうです。

ーーー対抗王者のローマン・ゴンサレスは。

田中:そう考えると全員と戦いたいです(笑)。

ーーービッグネームが多い階級ですからね。

田中:みんな年齢が30代ぐらいですよね。ボクサーとして旬の時期は一瞬なので、みんなが現役でいるうちに戦いたいです。

だから昨年末の試合を終えてすぐにこの階級に上げたんです。

ーーー旬の選手と拳を交えて自分のステージを上げていきたい。

田中:そうですね。

俺が一番楽しみ

ーーー年末の試合に向けての意気込みはありますか。

田中:昔から目標にしていた選手ではありますが、これに勝って世代交代したいですね。

ーーー最終目標は。

田中:全然決まっていません。逆にゴールを見据えて戦っている井岡選手と俺とじゃ見ている場所が全然違います。

先輩達がいたからこそもっと上のステージを見られるようになったというのは大きいのですが、俺たちの世代はもっと先を見て、上を目指してやっています。

目指している場所はもう全然違うというのを見せつけたいですし、結果で証明したいですね。

ーーーということはKO勝利で。

田中:はい。もちろんです。

ーーー最後に試合を楽しみにしているファンの方にメッセージはありますか。

田中:コロナの影響で歓声などの規制もあるかと思いますが、面白い試合になることは間違いないので。存分に楽しんで欲しいです。

ーーー田中選手も楽しみですか。

田中:俺が一番楽しみかもしれませんね(笑)。

ーーー試合の注目のポイントは。

田中:井岡選手は若い世代の選手に今までやってきたことを崩されたくないプライドがあると思います。

逆に僕は(井岡選手を)食ってやるぞと、意地と意地のぶつかり合いになると思います。

対照的になると思いますが、どっちの意地が勝るのかを見て欲しいですね。

試合まで10日を切ったが、田中はここまでいい調整ができたのだろう。

今年は新型コロナウイルスの影響で、思うように試合が決まらなかったが、今年一番のカードで締めくくって欲しい。

両者の意地のぶつかり合いに注目だ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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