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最強ランキングトップのクロフォードが衝撃KO「次はパッキャオとやりたい」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

WBO世界ウェルター級王者テレンス・クロフォード(33=アメリカ)が、ラスベガスのMGMグランド・カンファレンスセンターで元IBF世界同級王者ケル・ブルック(34=イギリス)を相手に4度目の防衛戦を戦った。

序盤はブルックがペースを掴む

両者がリングに上がると、まず体格差が目立った。

下の階級から上げてきたクロフォードに対し、ブルックは2つ上の階級のミドル級で戦っていた。

両者の体格を比較すると身長173cm(リーチ185cm)のクロフォードに対し、ブルックは175cm(リーチ175cm)と身長は変わらない。

しかし体はブルックが厚く、ふたまわりほどブルックが大きく感じた。

試合が始まるとお互い慎重な立ち上がりで膠着状態が続いた。手数は少なかったがブルックのパワーパンチが目立ちペースを握っていった。

なかなかペースが掴めないクロフォードは、オーソドックスからサウスポーへとスイッチしながらサイドに動く。

ときおり中に入ろうとするが、ブルックの懐の深さと強い右を警戒し入り切れず、様子をみながら戦っていた。

衝撃のKO

ブルックが優位のまま、第4ラウンドに突入した。

両者が見合いブルックが入ろうとしたところに、クロフォードのジャブのカウンターが炸裂。

ブルックがロープまで吹き飛び、クロフォードがダウンを奪う。

試合が再開されたが、クロフォードがプレッシャーをかけ、左右の強打を放ち畳みかける。

ブルックが防戦一方になったところで、レフリーが試合をストップした。

クロフォードが形成を一気に逆転して4ラウンドTKO勝ちして、4度目の防衛に成功した。

ブルックが体格差を活かしペースを握るかに見せたが、クロフォードが一発で局面を変え衝撃KO勝利となった。

決め手になったパンチは、サウスポー特有の角度とタイミングが合ったパンチだ。

僅かな隙を見逃さない、クロフォードの技術の高さを感じた。

試合後のインタビューでは「リズムを掴むのに時間がかかったが焦らず仕留めた」と答えている。

そして次戦に向けて「ウェルター級でパッキャオとやりたい」と直訴した。

クロフォードをマネジメントするトップランク社CEOのボブ・アラム氏も「この階級ではクロフォードが一番。次戦を来年の春頃にやりたい」と期待を持たせた。

ウェルター級の戦いとPFP

クロフォードは世界3階級を制覇し、スーパーライト級で初の主要4団体(WBA・WBC・IBF・WBO)の統一王者になった偉大なボクサーだ。

最強を決めるパウンド・フォー・パウンドランキングでも、リング誌で3位、ESPNでは1位にランクされる。

主戦場とするウェルター級は、世界でも人気が高い激戦階級だ。

現在WBOのベルトを持つクロフォードだが、この階級には以下の王者が君臨している。

WBC&IBF エロール・スペンス(アメリカ)

WBAスーパーマニー・パッキャオ(フィリピン)

WBAレギュラーヨルデニス・ウガス(キューバ)

他にも、元4階級王者のマイキー・ガルシア(アメリカ)や前WBC王者のショーン・ポーター(アメリカ)もいる。

スペンスとの統一戦は、両者をプロモートするマネージメントに壁がありなかなか実現が難しい。

そうなると、自身も望むパッキャオとの対戦が濃厚だろう。

クロフォードは全階級で最強を決めるパウンド・フォー・パウンドランキングではトップ3に格付けされている。

リング誌ではカネロ、井上尚弥に次ぐ3位、ESPNでは1位にランクされている。

評価が高い選手ではあるが、まだまだ一般的な知名度は低い。ライバルが多く集まるこの階級で、ビッグマッチの実現に期待したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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