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比嘉大吾の復帰第2戦目はドロー 堤聖也の大健闘と階級UPの難しさとは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供全て FUKUDA NAOKI

25日、後楽園ホールで元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(25=Ambition)がノンタイトル10回戦に臨み、日本同級13位・堤聖也(24=角海老宝石)と戦った。

注目の試合

会場の後楽園ホールは人数制限があったにもかかわらず、早々にチケットは完売し満席となった。

メインイベントで比嘉が入場すると、会場が暗転しゴジラのテーマソングが流れる。比嘉大吾の名前がコールされると会場全体から大きな拍手が鳴りひびいた。

対戦する堤は、集中した様子でリングに立っていた。

試合が始まると比嘉はプレッシャーを掛けて前に出る、対する堤は前後左右に足を使いながら戦う。

一定の距離を保ち動き回るため、比嘉もうまく距離を詰めきれない。堤が出入りで攻勢をしかけてペースを握っていった。

中盤になると比嘉もジャブをヒットさせ、大きなパンチを放ちクリーンヒットを奪っていく。

しかし、ダメージを与えるまでにはいかず、ペースは握れない。一発があるのは比嘉だが、手数は堤が圧倒的だった。

比嘉も距離を詰めてパンチを放ちリズムを変えていくが、ペースを掴むまでには至らなかった。

後半になっても堤の攻勢は緩まず、ハイレベルな攻防が続き、勝負は判定までもつれ込んだ。

判定は1-0(96-94、95-95、95-95)の引き分け。一発の比嘉か手数の堤かで、採点が難しい試合だった。

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階級を上げる難しさ

バンタム級から2階級上げた比嘉だが、まだこの階級でのスタイルを模索中のようだ。

パンチ力と手数はトレードオフの関係にある。パンチ力を強化すれば手数が減り、手数を増やすとパンチ力が減る。

私が7月ごろに比嘉の練習を見学した際は、特注のドラム型ミットに力強く打ち込むトレーニングで、パンチ力強化に取り組んでいた

比嘉のトレーナーの野木氏は「一撃で試合を決めるタイソンのようなスタイルを目指している。そのためにも、全身でパンチを打つクイックネスな動きを意識してトレーニングしています」と話していた。

試合でもパンチ力が強化され、観客をあっと言わせる一撃を見せていた。

だが、まだパンチ力を活かした攻撃には繋がらなかった。

比嘉の特徴である爆発的な連打と、パンチ力を融合させるにはまだ時間がかかりそうだ。

試合後には「バンタム級に上げてスピードもパワーもあったが、結果がついてこなかった。今のままでは世界は厳しい。今後に向けて修正していく」と話していた。

再び世界の舞台に立つにも、この階級に合わせたスタイルチェンジが課題となってくるだろう。

今後の比嘉大吾に期待

一時期は、引退も考えていた比嘉だが、今回の試合後は前向きに課題を上げていた。

2年のブランクからの復帰戦では、試合後のインタビューで「この気持ちだったらやっても意味がない。モチベーションが上がらなかったら辞めようと思っている。今後色々考えます」と話していた。

だが、新しい環境になり敬愛する師と再びタッグを組んで気持ちの変化もあったのだろう。

納得のいく内容ではなかったと思うが、試合後に「野木さんやジム関係者に申し訳ない。結果で恩返ししていく」とコメントした。

ボクサーは自分のためだけには頑張れない。誰かのためにという思いが、リングで戦う覚悟をくれる。

環境が変わり、比嘉の心境も大きく変わったようだ。今回の試合での経験を活かし、再び世界を目指して欲しい。

堤は現在日本ランキング13位だが、元世界王者と互角の戦いを見せたことで一気に評価が上がっただろう。

まだプロで7戦しかしていないが、長丁場を戦い抜けるスタミナと、勝負強さを見せた。アマ時代からのライバル関係はこの先も続いていく。

もっと大きな舞台でこの2人の再戦が見たい。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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