東京五輪の延期検討 ボクシング連盟会長「選手選考が公平にできない 1年後がベスト」
開幕まで4ヶ月をきった東京五輪。現在新型コロナウイルスの影響で7月の開催が危ぶまれている。
国際オリンピック委員会(IOC)でも「延期を含めた検討に入る」と発表した。また、大会組織委員会は1年延期を軸に検討している。
ボクシング競技の現状
東京五輪では33種競技339種目が行われる予定で、7月の開催に向けて予選が進んでいた。
しかしコロナウイルスの影響で五輪代表選考会が中止や延期となり、まだ40%ほどの五輪出場選手が決定していない。
ボクシング競技もイギリス・ロンドンで開催されていた欧州予選がIOCの判断で中断となった。
それに伴いヨーロッパ予選は中断、アメリカ予選は中止。5月に行われる予定の世界最終予選も中止となった。
日本選手は、既に開催国枠で下記選手が決まっている。
【男子】
田中亮明(男子フライ級/52キロ級)
成松大介(男子ライト級/63キロ級)
岡澤セオン(男子ウェルター級/69キロ級)
森脇唯人(男子ミドル級/75キロ級)
【女子】
並木月海(女子フライ級/51キロ級)
入江聖奈(女子フェザー級/57キロ級)
枠に選ばれなかった選手は世界最終予選に出場予定だったが、スケジュールは未定となっている。
一年後がベスト
20日に行われた東京五輪の国内枠決定報告の記者会見で、日本ボクシング連盟の内田会長は複雑な心境を述べた。
現在の状況について「選手は何年も五輪を目指して頑張ってきている。IOCは選手ファーストを掲げている。全ての選手が平等に五輪で力を発揮できるようにしてもらいたい」と話した。
各国の予選が相次いで中止又は延期となり、選手選考が公平にできていない。
開催時期についても「選手が平等に力が発揮できる状態を作るのであれば一年後がベスト。しっかり予選を行い、ある程度期間をおいて選手がベストな状態で五輪に臨めるようにすべきだ。選手ファーストでオリンピックを開催して頂きたい」と述べた。
現段階では開催ができたとしても、各国のトップ選手が出場できる状況ではない。
トップ選手達が集結する舞台だからこそ、五輪に価値がある。
この状況では、7月に世界最高峰の大会を実施するのは難しいだろう。
選手も困惑
出場が決まった選手達も現在の状況に困惑している様子だった。
会見では「みんながフェアな状態で行われるのがベスト。延期が1年以内であれば、頑張れる準備をしていきたい」と話していた。
選手達は、2020年の東京五輪を見据えて何年も前から準備している。
開催が決まるか決まらないかの状況で、試合を見据えて厳しいトレーニングを続けていくのは至難の業だろう。特に減量のあるボクシング競技で調整を続けていくのは難しい。
選手たちも非常事態に困惑している様子で「ベストな状況でできるなら延期した方がいい」との声も聞かれた。
選手ファーストの五輪へ
五輪は世界最高峰のアスリートが集まり、最高のパフォーマンスを見せてくれるからこそ価値がある大会だ。
しかし予選が次々に延期又は中止となり、選手が公平に選考されていない。
この状況が長く続けば五輪を見据える選手達にとって悪影響を及ぼす。そのため一刻も早い決断が求められる。
IOCが選手ファーストを掲げるのであれば、選手達の意見にもっと耳を傾けてほしい。
東京五輪が選手ファーストで開催されることを願う。