KO率100%ボクサー比嘉大吾 2度のダウンを奪い勝利も笑顔なし「今後は色々考えます」

写真提供 FUKUDA NAOKI

2月13日後楽園ホールで比嘉大吾(24=白井・具志堅)とジェイソン・ブエナオブラ(25=フィリピン)との試合が行われた。

比嘉は、4月の3度目の防衛戦での計量オーバーで、WBC王座を剥奪。無期限停止処分を受けていたが、昨年10月に解除された。

1年10ヶ月ぶりにリングに戻り、ファン待望の再起戦に臨んだ。

試合の展開

平日にもかかわらず、後楽園ホールはほぼ満席となった。地元沖縄からも、たくさんの応援団が駆けつけ比嘉のファンの多さがうかがえる。

復帰戦は119ポンド(約53.9キロ)契約8回戦となった。

試合が始まると、サウスポースタイルで長身のブエナオブラ相手に、ガードを上げながら前に出てプレッシャーをかけていく。

序盤は2年ぶりの試合とあって、動きも硬く、大振りが目立った。

第2Rはカウンターを打ち込まれヒヤっとする場面もあったが、階級を上げたことでパンチへの耐久力も増したようで、効いたそぶりも見せず前に出ていった。

相手は長身で顔までの距離は遠い。パンチが当たりにくいので、ボディにパンチを集めペースを握っていった。

比嘉のヒッティングとバッティングによりブエナオブラの顔面が血だらけになっていた。

第5R終了間際には、強いパンチを打ち込み相手をKO寸前まで追い詰める。

そして迎えた第6R。相手を追い詰めたところで比嘉の右ボディブローがみぞおちに決まり、ブエナオブラがダウン。

なんとか立ち上がるブエナオブラだったが、比嘉が再びボディに打ち込みリングに沈める、その時点でレフリーが試合をストップ。

比嘉大吾が2年ぶりの復帰戦を6回2分25秒でTKO勝利した。

画像

リングでの衝撃発言

2年ぶりの試合をKO勝利で飾り、ホッとしたような顔付きでアナウンサーからのヒーローインタビューに答えた。

「世界チャンピオンになる気持ちも薄れ、練習も行ったり行かなかったりしていた。自分で望んで休んでいたので短く楽しい生活だったけどリングの上ではめちゃくちゃキツかった」と久しぶりの実戦の感想を語った。

現在の心境については「この気持ちだったらやっても意味がない。ファンが熱狂的に応援してくれても、本人がやる気なかったら全く意味ないし申し訳ない。モチベーションが上がらなかったら辞めようと思っている。今後色々考えます」と衝撃発言があった。

再起はしたものの、まだ完全に気持ちが戻っていないようだった。

私はこれまで比嘉の試合を何度も見ている。

今回の試合でも相手を追い詰めるプレッシャーの掛け方や、追い詰めた後にパンチを上下左右に打ち分ける多彩なコンビネーションなど、技術面では光るものがあった。

2年ぶりの再起戦を完勝し、久しぶりの実戦としては良い試合内容だったと言える。

しかし、本人が感じたギャップはメンタルにあったのだろう。

リング上では、メンタルの強さが非常に重要だ。「絶対勝ちたい」「成し遂げたい」という強い気持ちが闘争心となり戦うエネルギーになる。

比嘉はそれを失ってしまったのだろうか。

こればかりは本人の気持ち次第だが、再びボクシングの過酷なリングで戦い抜く為には戦う理由(モチベーション)が不可欠だ。

非常に才能溢れる選手なので、今後の動向が気になるところだ。

今後の比嘉

今回は119ポンド(約53.9kg)の契約ウエイトでの試合となったが、今後はバンタム級(53.5kg)が主戦場となっていくだろう。

現在比嘉はWBCの世界バンタム級ランキングで7位にランクされるため、世界戦の舞台に立つチャンスは整っている。

バンタム級には以下の王者達が君臨している。

WBAスーパー・IBF王座 井上尚弥(26=大橋)

WBAレギュラー王座 ギレルモ・リゴンドウ(オーストラリア)

WBC ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)

WBO ジョンリル・カシメロ(フィリピン)

この階級では、圧倒的な強さを誇り2つのベルトを持つ井上尚弥が団体統一戦を目指している。

4月にはラスベガスでWBO王者とカシメロとの対戦が決まっている。

またWBC王者で井上の実弟の拓真を破ったウバーリが、5階級王者のノニト・ドネアと対戦する。

バンタム級は軽量級の中でもタレント揃いで注目が集まる階級だ。ここに比嘉が加わっていけば、更に盛り上がっていくだろう。

比嘉には類稀なる才能がある。あとは本人がリングで再び戦う理由を見つけられるかだろう。

今回の再起戦を経て、比嘉は何を思ったのだろうか。再びリングで輝く比嘉大吾を見たい。

画像