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最強クロフォードがKO勝利でビッグマッチ熱望「トップクラスとやりたい」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

15日アメリカニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、ボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチが行われた。3階級王者のテレンス・クロフォード(米国)が、同級1位エギディウス・カバラウスカス(リトアニア)と対戦した。

最強ランキングで上位にランクされる無敗のクロフォードが、五輪に2度出場している経験を持つカバラウスカスと拳を交えた。

試合の展開

右でも左でも戦えるクロフォード。今回の試合では、サウスポースタイルを選択した。

試合が始まると、両者ジャブをつきながら距離を測り慎重な立ち上がりを見せた。

戦績を見るとクロフォードは(35勝26KO)カバラウスカスは(21勝17KO1分)。

両者KO率が高く、一発のパンチが怖い。

序盤はカバラウスカスのストレートがヒットしていく。

3ラウンドには、カバラウスカスの右ストレートでクロフォードがダウン寸前になる危うい場面もあった。

しかしそのピンチを乗り越え、クロフォードが多彩なコンビネーションでパンチを重ねていく。

徐々にクロフォードがペースを握り、中盤になると手数が更に増しプレッシャーを強めていく。

迎えた7ラウンド。クロフォードが右構えにスイッチして放った右フックが炸裂。

ダウン経験が無いカバラウスカスから、初めてのダウンを奪った。

立ち上がったカバラウスカスだがダメージは濃厚。このラウンドは逃げ切りゴングに救われた形となった。

クロフォードはその後もギアをあげて攻め、第9ラウンドに左ストレートからの返しのアッパーがヒットし、カバラウスカスが再びダウン。

立ち上がったところにクロフォードのトドメの右フックが入り崩れ落ちた。その時点でレフリーが試合をストップした。

クロフォードのKO勝ちとなった。

スイッチヒッター

クロフォードが底力を見せた試合だった。

序盤にいいパンチをもらいピンチに陥ったが、すぐに戦い方を修正してペースを引き戻した。

また、試合中にサウスポー、オーソドックス両方を使い分けて戦っていた。

変則的にスイッチをするボクサーは見られるが、クロフォードのようにどちらでも戦える選手は珍しい。

左相手と右相手では、戦い方も大きく変わる。相手にとっては1試合で2人と戦うようなもので非常にやりにくい。

加えてクロフォードは、パワー、技術、耐久力と非常に高いポテンシャルがある。

この試合で更なる強さを魅せてくれた。

今後のクロフォード

試合後のインタビューでは「序盤にいいパンチはもらったが、全然ダメージはなかった。全て対応できた」

また、試合の展開について「コーチにさっさと攻め込めと言われた。手数をあげて打開し、ダメージを与えられた」と語った。

気になる今後について「私は誰からの挑戦も逃げない。ベストな相手と戦いたい。トップクラスの誰でもいいからやりたい」

とビッグマッチを熱望している。

ウェルター級は非常に盛り上がり、以下の王者が君臨している。

WBAスーパー マニー・パッキャオ(フィリピン)

IBF&WBC エロール・スペンス・ジュニア(アメリカ)

両者との対戦は非常に興味深い。特にレジェンドのパッキャオとの試合は見たいところだ。

また、階級を2つあげてミドル級に挑戦する意欲もあるようだが、さすがに2階級を上げるとパワーや体格差の不安がある。

クロフォードは、パウンド・フォー・パウンドランキング(階級を超えた最強ランキング)でも、

ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、井上尚弥(26=大橋)、カネロ・アルバレス(メキシコ)に並ぶ実力者だ。

来年はさらなるビッグマッチでボクシング界を盛り上げてくれるだろう。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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