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アマチュアボクシングのニューヒロイン並木月海「オリンピックは夢から目標に変わった」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
全てスタッフ撮影

12月8日東京都板橋区の東洋大学総合スポーツセンターで、東京五輪に向けて女子日本代表決定戦(ボックスオフ)が行われた。

今回の選考会は、まだ代表が決定していないフライ級、フェザー級、ライト級の3階級で実施された。

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東京五輪代表に向けて

世界女子選手権と全日本女子選手権の開催時期が重なったため、今回の選考会が用意された。

代表に選ばれたのは、フライ級並木月海(自衛隊体育学校)、フェザー級入江聖奈(日本体育大学)、ライト級浜本紗也(日本大学)。

また、既に代表に認定されていた選手は、69kg級(ウェルター級)の全日本王者鬼頭茉衣(中京大学・大学院)、75kg級(ミドル級)の全日本王者津端ありさ(西埼玉中央病院)。

以上の5名が、来年2月アジア・オセアニア予選(中国・武漢)に出場する。

既に日本は開催国枠として2枠与えられているが、残りの枠も獲得するためアジア予選に出場する。

東京五輪で実施される、全階級での出場枠獲得を狙う。

また、アジア予選で出場枠を逃した場合は、5月の世界最終予選(パリ)がある。

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注目のボクサー並木

今回の試合での注目選手は、フライ級の並木月海だ。

2018年にインドで行われた世界選手権で銅メダルを獲得。また、同年にカザフスタンで開かれた大統領杯で金メダルを獲得。

今年の世界選手権でも、ベスト8に入賞している。

サウスポースタイルからのストレートは見栄えが良く、153cmと小柄な体格だが、明確にポイントを取れるパンチを持っている。

アマチュアボクシング関係者の間でも、評価は高い。

日本ボクシング連盟の菊池副会長は「パンチ力があります。彼女だけは音が違っていて、男子並みの音でした」と話していた。

また元ロンドン五輪代表で、現在自衛隊体育学校で並木を指導している須佐勝明氏は、

「クオリティーブロー(有効打)の見栄え、見せ方が誰よりも優れている。ジャッジに対してのアピール、見せ方がうまい。

パンチのスピードが速いので音も見栄えもいい。日本選手の中で一番メダル獲得への期待が高い」と絶賛し、

「2月から行われるアジア予選で優勝する可能性も非常に高い」と教え子に太鼓判をおした。

自力獲得に向けて

選考会後に行われた会見で、日本アマチュアボクシング連盟の内田会長は

「レベルがすごく高い。オリンピックでもメダルが届く選手たちが集まった」と話した。

また、並木は「率直に嬉しい。東京オリンピックには自力で枠を取り出場したい。オリンピックについては、夢だったのが目標に変わった」と話していた。

アマチュアボクシングはプロに比べてラウンド数が少ない。

そのためテンポが速くスピーディーな攻防が見られる。

筆者は元アマチュアボクサーであったが、今回の試合を見て女子のレベルの高さに驚いた。

パンチ力では男子には劣るものの、テクニックやスピードでは負けていない。メダル獲得への期待が高まった。

女子ボクシングは2012年のロンドン五輪から正式採用されたが、まだ日本人で出場した選手はいない。

東京五輪での開催国枠に加え、アジア予選で勝ち抜いて出場枠を勝ち取ってもらいたい。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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