井上尚弥・拓真が兄弟ダブル世界戦 過去最強の相手と激突
11月7日さいたまスーパーアリーナで行われる、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級決勝戦で、井上尚弥(26=大橋)とノニト・ドネア(フィリピン)が対戦する。
また同日には、井上尚弥の弟でWBC暫定王者の井上拓真(23=大橋)が正規王者のノルディーヌ・ウバーリ(フランス)と王座統一戦に臨むことが正式発表された。
3選手は26日、東京都内で記者会見を行った。
5階級王者のノニト・ドネア来日
記者会見には、ドネアも来日し試合に向けての意気込みを語った。
「今のノニト・ドネアができているのは、日本のサムライや、武士道の考えにも影響している。そういう日本で、井上尚弥という素晴らしいボクサーと対戦できることに興奮している」
親日家で度々日本を訪れているドネアにとって、日本は特別な地である。
ドネアはここまで5階級を制覇したレジェンドだ。
このトーナメントのために、フェザー級から2階級を落として今回のトーナメントに参戦してきた。並々ならぬ覚悟がある。
「年齢もあり、私の力を疑う声もあるが、それが間違いであることを見せたい。11月は自分のためではなく、
ファンのため、日本のため、世界のファンのために戦う」と語った。
トーナメントでは、初戦のバーネットが試合中の怪我で棄権。準決勝では、優勝候補のゾラニ・テテ(南アフリカ)が、肩の怪我で離脱。
代役のステフォン・ヤング(米)にTKO勝ちで決勝まで駒を進めてきた。
一発で倒す左フックを武器は脅威だ。キャリアもあり侮れない相手だ。
井上尚弥とドネア
井上尚弥にとって、ドネアは特別な存在のようだ。
「WBSSが決まったとき、一番やりたかった選手。これまでのキャリアで最高の試合、自分のすべてを出しきって、アリトロフィーをゲットしたい」と語った。
ドネアと尚弥は以前から面識があるようだ。
尚弥が2階級制覇を懸けて戦ったオマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦前に、対戦経験があったドネアが直々にジムを訪れてアドバイスした。
ナルバエス対策を、実践を交えた対策を熱心に伝え、尚弥に多くのヒントを与えたようだ。
その甲斐あってか、尚弥はナルバエスを2回KO勝ちで、世界に衝撃を与えた。
海外の強豪を相手にインパクトがある勝ち方をして、この試合を機にステップアップしていった。
尚弥の強さは何と言っても、攻撃の爆発力だ。今回は、お互いパンチ力があるのでKO必至の激戦となりそうだ。
井上拓真は王座統一戦
井上の弟・拓真は、昨年末に暫定王座決定戦で勝利してこの王座を獲得した。
この階級には正規王座にノルディーヌ・ウバーリがおり、王座統一戦となる。
正規王者のウバーリは、ここまで16勝(12KO)無敗の戦績を誇る。
アマチュア経験も豊富で、北京とロンドンの五輪代表。世界選手権では銅メダルの実績がある。
技巧派でサウスポースタイルのボクサーだ。
拓真は「好戦的で技術もあり、ハートの強さもあり、過去最強の相手だと思う」
「前から目標としていた兄弟でダブル世界戦ということで、いままで以上に楽しみもあるし、負けられない戦いになる」と話した。
尚弥も「弟と同じ興行は久々で、ダブル世界戦だと自分の試合より緊張する。弟の試合が前にあるのは、いてもたってもいられないし、複雑な気持ちです。拓真を信じて、自分も戦いたいです」
と兄弟での勝利を目指す。偉大な兄を持つ拓真だが、そのボクシングスタイルは堅実だ。
兄とはスタイルは違うが、強豪相手に勝ちきってきた実力がある。今回の試合がキャリア一番の大勝負となる。
乱立するバンタム級
バンタム級は以下の王者が君臨している。
WBA スーパー ノニト・ドネア
WBA レギュラー&IBF 井上尚弥
WBC 正規 ノルディーヌ・ウバーリ
WBC 暫定 井上拓真
WBO 正規 ゾラニ・テテ(南アフリカ)
WBO 暫定 ジョンリル・カシメロ(フィリピン)
今回の試合で、6名いる王者が4名になる。
そこからどのような展開になるかは不明だが、今回の試合を機に大きく動いていくだろう。
この階級最強と呼ばれる、尚弥への対戦表明は後を絶たない。王座統一に向けての、熱い戦いが繰り広げられていく。
バンタム級最強の称号を掛けた戦いから、目が離せない。
試合の模様は、フジテレビで生放送される。日本史上最大規模の舞台の幕開けだ。