井上尚弥「KOで勝って引導を渡したい」日本開催でドネアと激突
11月7日さいたまスーパーアリーナで、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝戦の開催が正式決定した。
この試合では、WBA&IBF王者・井上尚弥(大橋)と5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)が激突する。
一時は、アメリカや中東での開催も噂されたが、日本での正式開催が決まった。
日本での開催が決定
日本ボクシング界で最大級のビッグマッチが国内で開催される。これは日本のファンとしては嬉しい悲鳴だ。
本人も「日本のファンの前で、決勝という大舞台をやれることは最高のモチベーションになる。
プレッシャーもあるけど、自分はプレッシャーが力になるので、みなさんが熱くなれるような試合をしたい」
と試合への意気込みを語った。
井上の勇姿を日本で観られるのもそうだが、アメリカを主戦場としてきたドネアの試合が日本で観れるのは嬉しい事だろう。
また今回の試合会場は、さいたまスーパーアリーナで、最大収容人数37,000人(アリーナモードの場合22,500人収容)となる。
プロボクシングの試合で、この会場が使用されるのは9年ぶりとのことだ。井上の期待値の高さがうかがえる。
大きい会場で試合ができることは、選手達にとってモチベーションになるだろう。
井上も「過去一番の会場でやれるのが、楽しみのひとつで、モチベーションにもなる。でかい会場でいい試合をするのは気持ちのいいこと」
と気持ちも高まっているようだ。
ドネアのボクシングスタイル
今回の対戦相手ドネアは、軽量級で派手なKOを量産してきた、日本でも人気が高いボクサーだ。
日本人との対決では、2012年に西岡利晃氏とのタイトル戦。この試合では、KOでタイトルを防衛している。
5階級制覇の実績があり、ボクシング界ではレジェンドだ。
ここまで45戦40勝(26KO)5敗の戦績を誇る。
36歳となりベテランの域に入っているが、今回のトーナメントでは、得意の左フックも冴えて、KOで決勝まで勝ち進んできた。
これまで井上が戦ってきた中で、一番の実績を持つボクサーだ。
ドネアのボクシングの特徴は、カラダのバネを活かした「パンチ力」にある。特にタメを活かした左フックは、非常に破壊力がある。
その一発で、ビック・ダルチニアン(オーストラリア)やフェルナンド・モンティエル(メキシコ)など、海外の猛者を仕留めてきた。
また一時期は、バンタム級から2階級上のフェザー級を主戦場にしていた。
井上のパンチは規格外で、フェザー級でも通用するとも言われているが、ドネアは上の階級を主戦場としていたため、パンチへの耐性もあるだろう。
KOで勝って引導を渡したい
試合の日程が決まる事で、本格的なスイッチも入る。
ボクサーは試合の日程が決まってから、逆算してトレーニングメニューを組んでいく。
試合まで3ヶ月あるので、走り込みのキャンプやスパーリングなどの実戦練習を積み、本番に向けて備えていくようだ。
井上の場合、最近の試合では早いラウンドで相手を仕留めるケースが多い。しかし毎回12ラウンド戦える身体づくりで試合に臨んでいる。
ハードなトレーニングを乗り越えてきた自信があるからこそ、1ラウンドから飛ばす事ができるのだろう。
今回の試合でも「前半勝負、後半いっても強いぞ、というところを見せたい」と話した。
井上のパンチは破格だが、ドネアも一発がある選手なので、お互いKOを狙ってスリリングな試合展開が予想される。
ドネアは井上にとって憧れの存在のようだが、「KOで勝って、引導を渡したい」と熱く語った。
日本ボクシング界のために
今回の試合は、井上にとってキャリア一番の大舞台となる。
井上も「次は必ず勝利をして、優勝しないといけないな、と。すごく責任感のある一戦だなと思っている」とインタビューで語っていた。
勝ち負けだけでなく、日本ボクシング界の期待を背負って戦っている。
日本のボクシング界の歴史を塗り替え、新たなステージに躍進していっている井上への期待は非常に大きいだろう。
この試合の後は、アメリカの大手ボクシングプロモーション会社のトップランク社との契約も噂される。
同社では、村田諒太や伊藤雅雪なども契約を結んでおり、外国人選手のアメリカ進出に大きなコネクションを持っている。
まだ気は早いが、海外進出の期待も高まる。もう日本の枠に留まらず世界の井上になってきた。
世界的な大スターになるためにも、今回の試合は絶対負けられない戦いとなる。
日本開催での大舞台は非常に大きな価値のあるものとなった。ぜひモンスターの異名を世界に轟かせてほしい。
本人もSNSでのコメントを通じて「歴史的瞬間を見届けてくれ!」と発信している。
今からワクワクさせてくれる。非常に楽しみな試合だ。