内山高志 パンチングマシン驚きの600キロ超え ハードパンチャーの秘訣とは
7月6日都内某所にて、世界戦連続11度防衛を果たした、元WBA世界スーパーフェザー級チャンピオン内山高志氏(39=元ワタナベ)のトークイベントが行われた。
前編では、ボクシングを始めたきっかけや、オリンピックへの想い、プロになるきっかけなどについて話を聞いた。
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ハードなトレーニング
ーーー今までで一番きつかった練習はありますか?
内山:心肺機能を高めるトレーニングが一番きつかったです。
自分の中で一番きつかったのは、パワーマックスという競輪選手がやるようなトレーニングです。
自転車を30秒こいで、休んで、また30秒こいでというトレーニングと、あとは、スケートのように板の端から端までを足でスーッと蹴るものですね。
ーーー世界タイトルを取ってから、そのトレーニングを取り入れたんですか?
内山:そうです。やはり年齢とともに体力をつけなくてはいけないので。
そのトレーニングを取り入れてからは、試合をしても絶対にバテない自信を持ちました。
ーーー内山さんが世界チャンピオンになった年は何歳ぐらいでしたか。
内山:30歳です。
ーーーそこから現役は何歳までですか。
内山:現役は37歳までです。
ーーー30歳から37歳というのは、ボクサーとしては結構年のほうではないですか。
その中で若さを保つ秘訣とか、工夫していたことはありますか?
内山:食べ物だけは常に気を使っていました。
好きなものを食べていたのですが、体に悪いものはなるべく食べないようにしていました。
お菓子、チョコレートがとても好きなので、そういうものは食べるんですが、ポテトチップスはほとんど食べない。
カップラーメンなどのラーメン系も、本当に時間がないときやオフのとき、1年に1回食べるか食べないかぐらいでした。
ーーーなるほど。
内山:あとは、やはり年とともに結構肌が悪くなってくるので、いつも化粧水はきちんとつけていました。
乾燥肌で張りがなくなってくるので。
ーーーやはり、見られることは意識していたのですね。
内山:意識します。
ーーーさすがですね。
内山:それはいつも大事です。
今でもすぐに試合に出られる
ーーースタミナとかはどうでしたか?怪我は結構ありましたね。
内山:怪我はすごく多かったです。ですが、スタミナやパワーは全然問題ありませんでした。
ただ、年々反射神経というか、反応がだんだん鈍ってきたと感じていました。
ーーー減量などはどうでしたか?きつくありませんでしたか?
内山:全く減量もしないし、普通に生活していました。
今でも、もし明後日スーパーフェザー級の計量と言われても落とせます。
ーーーそれはすごいですね。例えば、フェザー級に下げるということも考えたりしましたか?
内山:僕がまだ東洋チャンピオンだった時に、フェザー級かスーパーフェザー級で、世界のチャンスが来たほうでやるという話がありました。
本心としては階級を落としたくなかったんです。
59キロの自分と57キロの自分が戦って、どちらが強いかといえば、59キロの自分のほうが絶対強いです。
なので、自分を弱くしてまで階級を落としたくないと思いました。
あと、1回、スーパーフェザーの計量のとき、あと200グラム落としたらフェザー級までのところまで体重が落ちたのですが、体を見たときに、ちょっとダサかったのです。
なんか、ぴきぴきした体になってしまって、僕の中では、骨が少し出るというか、少し脂肪がない感じが、痩せてダサいと思ったのです。
服とかが少しブカっとなったことも、ダサくて嫌でした。
やはり、スーパーフェザーにこだわりがあって、この階級でずっとやりたいという思いがあったんです。
ーーーこだわりがあったんですね。
内山:そうです。
ハードパンチャーの秘訣
ーーー今、いろいろな選手が内山さんのジムに教えてもらいに来ていると思うんですが、ハードパンチャーの秘訣というのはあるんですか?
内山:パンチャーの秘訣は、ただ単に「体の使い方」「打ち方」のみです。
多少の筋力は必要ですが、重いものを持ち上げる筋肉や、ボールを遠くに飛ばす筋肉などは大して要らないというのが本当の話です。
はっきり言って、パンチは、腕の使い方と肩の使い方、腰の使い方で全く変わると思います。
今は、そのポイントを選手に教えています。
ーーー筋力自体はどうですか。内山さん自身、フィジカルトレーニングをしているという話もしていましたが。
内山:週に1回ぐらいジムで軽く筋トレをします。
とりわけ何か重たいものを持ったりしてやるわけではなく、自重で何かやったりするぐらいなので、筋力的にはどうでしょう。
でも、現役時代と同じぐらいだと思います。落ちていないというか、維持している感じです。
驚きのパンチ力
ーーー内山さんの都市伝説でよく聞くのは、パンチングマシンがとてもすごいということです。1,000キロぐらいと聞いたことがあります。
内山:1,000キロはいきません(笑)
ーーーどれぐらいですか?
内山:どれぐらいでしょう。プロに入ってからはやっていませんが、昔あったマシンでは600キロぐらい出しました。
ーーー600キロですか!
内山:あれはコツです。ゲームなので、コツさえ掴めれば、ある程度は出ると思います。
ーーーでも、600キロですよ。多分、普通の人が頑張っても、200キロいくでしょうか。
内山:200キロいく人はたまにいます。
ーーー多分軽量級だと150キロ前後ぐらいですね。600キロというのは…。
内山:コツですから。
ーーー内山さんはあまりガードを上げなかったですね。それに対しては何かポリシーがあったんですか?
内山:僕の中では結構上げているつもりでした。僕は、始めた頃のスタイルがアウトボクサーで、アップスタイルだったんです。
高校生の時は、こういうスタイルでやっていたので、その癖を直そうとするとやりづらくて、やりやすいままにやっていました。
ーーーなるほど。では、特にガードをしなくてもパンチを見られる目の良さがあったということですね。
内山:そうですね。その時は反応も良かったし、距離感で戦えていたからよかったです。
しかし、年とともに反応が鈍ってきたら、どう変えるかということも大事だと思います。
現在は、東京新宿区四谷3丁目に「フィットネス&ボクシング KODLAB」をオープン。後進の育成に努めている。