問題児ネリが元王者パヤノを一撃でKO 気になる今後のバンタム級戦線

WBCシルバータイトルを獲得したネリ(写真:REX/アフロ)

7月20日(日本時間7月21日)に米国ラスベガスのMGMグランドガーデンアリーナで、前WBC世界バンタム級王者で同級1位のルイス・ネリ(メキシコ)と、

元WBA世界バンタム級スーパー王者で同級4位のフアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)が対戦した。

井上尚弥と対戦経験を持つ元王者のパヤノと、ドーピング騒動や計量オーバーなど、数々の問題を起こしてきた、ネリとの一戦に注目が集まった。

左ボディ一撃でKO

序盤はサウスポー同士の両者が、様子を見ながらジャブをついていく、慎重な立ち上がりで進んでいった。

パワーが勝るネリに対し、技巧派のパヤノも技術で対抗し、互角の展開で試合が進んでいく。

しかし、徐々にネリが、持ち味のパワーを活かした攻撃で、ペースを握っていく。

突進力があり回転力を活かした連打で、パヤノに攻撃を仕掛ける。中盤に入っていくと、距離を制したネリが的確なパンチを集め始める。

パヤノも手を出すが、ネリは被弾も構わない様子で強引に攻めていく。

下がるパヤノに対して、獲物を狙う野生動物のような目つきで、ネリが追い詰めていった。

パワーパンチを集め、いつ仕留めてもおかしくない状況で一方的な展開になっていった。

そして、迎えた第9ラウンド、ロープに詰めたネリが接近戦で左ボディを放つ。

その一撃で勝負が決まった。

パヤノはうずくまり、10カウントのゴングを聞いた。

ネリがWBCのシルバータイトルを獲得し、連勝記録を30に伸ばした。

ネリのスタイル

前日の計量では、バンタム級のリミット(53.5kg)から230グラムオーバーし、1時間後の再計量でなんとかパスした。

減量苦でのコンディションが心配されたが、試合ではボディ一撃で、元王者のパヤノを仕留めた。

ネリの特徴は、接近戦での回転を活かした連打になる。上下の打ち分けが巧みで、一発で仕留めるパワーを持つ。

相手の意識を散らすために、アッパーやフックを織り交ぜ、コンビネーションも多彩だ。

低い姿勢からパンチを集めてきて、死角から打ち込んでくるので、相手からしたらパンチが見にくいだろう。

過去には、ドーピング騒動や計量失敗のトラブルがあるが、ボクサーとしての実力は確かなものがある。

バンタム級の動向

ネリが主戦場とするこの階級は、複数の王者がいる。

WBA スーパーノニト・ドネア(フィリピン)

WBA レギュラーIBF 井上尚弥

WBC ナルディーヌ・ウバーリ(フランス)

WBC 暫定 井上拓真

WBO ゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)

WBO 暫定 ジョンリル・カシメロ(フィリピン)

今後は、WBAスーパー王者のノニト・ドネアとWBAレギュラー&IBF王者の井上尚弥が、WBSSトーナメントの決勝戦で対戦する。

また、WBC正規王者のナルディーヌ・ウバーリとWBC暫定王者の井上拓真が王座統一を賭けて対戦する予定だ。

現在WBCの1位にランクされるネリだが、この試合の勝者と対戦する事になると示唆している。

計量でオーバーして、WBCのタイトルを剥奪されているネリだが、そのベルトを取り返すために再浮上してきた。

ネリはバンタム級で「4団体統一」を目指すと宣言している。最終的なターゲットは、この階級最強の呼び声が高い井上尚弥のようだ。

そのトラブルの多さと素行の悪さから、悪童と言われるネリだが、実力はある。

しかし、井上尚弥との対戦にまで、こぎつけられるかは不明だ。試合に勝ち続けるには、自身をコントロールしていく事が必要だ。

様々な誘惑を断ち切り、自分を律していかないと、厳しいだろう。過去に起こしたトラブルの数々から、自滅していく可能性は高い。

バンタム級の勢力図も、トーナメント後に大きく変わっていくだろう。ネリも含めて、今後のこの階級の動向が気になるところだ。