Yahoo!ニュース

亀田和毅「これだけ練習したのは初めて」過去最高の状態でバルガスと統一戦

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真 全て本人提供

7月13日(日本時間14日)アメリカのディグニティ・ヘルス・スポーツ・パークで、

WBCスーパーバンタム級暫定王者の亀田和毅(27=協栄ジム)と、正規王者レイ・バルガス(28=メキシコ)の王座統一戦が行われる。

アマチュア時代に敗戦したバルガスとプロで激突する。試合が決まったタイミングで、和毅に単独インタビューを行った。

新しいトレーニング

ーーー前回の試合から、「フィジカルトレーニングを取り入れた」と言っていましたが、どうですか?

亀田:すごくいい感じです。3月から神戸でやって、今2カ月ぐらいですが、毎日成長しています。気持ちが非常に強くなりました。

ーーーそれはトレーニングがきついからですか?

亀田:トレーニングの内容ですね。

人は限界を自分で決めていますよね。それがみんな低くて、まだまだ出来るのに「ああ、もうしんどい、やめよう。」と、自分でブレーキをかけている。

俺も低かったんですが、トレーナーが、「まだまだ。これでは低すぎる」と。

だから、少しずつ限界値を上げていければ、レベルが上がっていき、成長していきます。

3月の動画を見ると、今とは、比べ物にならないです。

ーーー自信になりましたか?

亀田:はい。メニューも10倍ぐらいのものをやっているので。

レイ・バルガスが、ここまでやっているかというと、絶対にこれ以上はやっていないと思います。

今、27歳ですけど、これだけ練習したのは初めてです。

ーーー限界を引き出してくれるトレーナーは、素晴らしいですね。

亀田:はい。限界まで追い込んで、きちんとケアもして、そのバランスをきちんとしてくれています。

ーーーとても信頼しているんですね。

亀田:はい。トレーナーのおかげです。

合宿でのトレーニング

ーーー今回の合宿はどうでしたか?

亀田:非常にきつかったです。普通に走るだけではないので。

今までだったら、100メートルダッシュ、200メートルダッシュ、長距離を走るなどでしたが、今回はメニューが全然違います。

例えば、200メートルダッシュを走るのも、はじめは50%で走って、そこからマックスで走って、スクワットを50回やって、そこからもう一回ダッシュをする。

インターバルなしで、それを20本やったり、スクワットから短い距離のダッシュや、そこからロングをしたりなど。

ーーー科学的なトレーニングというか、かなり考えて作られていますね。

亀田:そうですね。科学的トレーニングですけど、そこに、根性論も入っています。

ーーーきついトレーニングは、自信になりますよね。

亀田:はい。

ーーー和毅選手はすごくストイックなので、トレーニングはきついのが好きそうですけど。

亀田:練習は昔から好きで、ボクシング人生は短いから、できるのであれば、全てボクシングに集中したいです。

ーーーケアにも、人一倍気を使っていると聞きました。

亀田:そうですね。毎朝、1時間はストレッチをしています。

ーーーそれはすごいです。他の選手に話したら、みんな驚きますよ。

亀田:ストレッチをすると、怪我も少なくなるし、体の回復力が全然違います。

ーーーボクサーは、練習やケア、食事も、人任せにしてしまう人が多いと思います。ですが、自分でコントロールしていくことが重要ですね。

亀田:そうですね。自分できちんとコントロールできない選手は、トップにいけないと思います。

全部一人で、できるぐらいにしておかないと。

画像

亀田一家のプレッシャー

ーーーそういう意識になったきっかけは、何かありましたか?お父さんの教えということですか?

亀田:それはあるかもしれません。

小さい時から、3兄弟でずっとやってきて、やらなければいけない環境いたので、自然にそうなったのかもしれません。

ーーー兄弟について聞きたいのですが、それぞれ性格などは違いますか?

亀田:全然違います。

ーーーどう違いますか?

亀田:大ちゃんは、あまり何も考えていないというか。練習も、「まあ、いいわ、今日はやめておこう」という感じです。

試合が決まっても、相手のビデオを見ないですし。全然気にしないです。

ーーー心臓が強いですね。

亀田:あまり、考えていないのかなと思います。海外の選手は、そういうタイプが多いですね。お兄ちゃん(興毅)は、結構マメです。

ーーーみんな世界チャンピオンになって、しかも今回はアメリカでの試合。それについて、家族から何かエールとかはありましたか?

亀田:そうですね。みんな、「今回は一番重要な試合だから、勝て。勝ったら一気にお前の評価が上がるよ。頑張れよ」と。

ーーー家族の期待を背負っている感じですが、プレッシャーはありますか?

亀田:そういうのは全然、今はないです。

ーーー昔はそういうプレッシャーはありましたか?

亀田:昔はありましたね。特にチャンピオンになる時は。

ーーー兄弟2人とも、チャンピオンになっていますからね。

亀田:はい。2人がチャンピオンになって、「一番下が一番強い、あいつは絶対になるよ!」と。

みんな見ていないのに、「なるよ!」と言われて、結構プレッシャーもありました。

ーーー確かに。そういう雰囲気がありましたね。

亀田:フィリピンでやったナミビアの選手も、全勝の選手で、「こんなやつは勝つやろ。余裕、余裕」という感じで。

画像

他の日本人選手について

ーーーボクサーとして、今後に向けて考えたりしますか?

亀田:もちろん。どこまでに引退したい、ここまでいきたい、というプランは、全部考えています。

その通りいくかは分かりませんが、今すべきことを少しずつやっています。

ーーー最終的なゴールは設定していますか?

亀田:世界で、認めてもらえるような選手になりたいです。

2階級制覇、3階級制覇などではなく、これからボクシングをやる子供達が、

「和毅はかっこよかったな、強かったな!」「和毅のようになりたいな!」と、俺のビデオで勉強してもらえるような、そういう選手になりたいです。

ーーー国内で意識するライバルはいますか?

スーパーバンタムというと、小國以載選手、岩佐亮佑選手、和氣慎吾選手、勅使河原弘晶選手など、結構豊富に選手がいますよね。

スーパーバンタムは国内の中では、一番盛り上がっている、いい階級だとは思います。他の日本人選手に対しての意識はありますか。

亀田:ランキングで15位以下の選手は、ほとんど見ていないです。見ているのは、その上の上なので。

今回の試合に向けて

ーーー今回、SNSで和毅選手へ質問したいことを募集しました。

その中で「バルガス戦の見据える先は、井上尚弥選手との対戦ですか?」との質問がありましたが、どうですか?

亀田:まず、階級が違うので、今後やるかどうか、まだ全然分かりませんね。

ーーー巡り合わせというのもありますからね。

亀田:そうですね。この次、本当にやるんだったら、試合も観に行きますけど。

ーーー最後に、今回の試合について、意気込みなどはありますか。

亀田:アマチュアで負けている相手なので、プロでリベンジします。2連敗したら恥ずかしいです。以前、マクドネルに2連敗していますから。

ーーーその時からは変わったぞと。

亀田:はい。アメリカのファンにも「戻ってきたぞ!」というのを見せたいです。

ーーーいいですね。アメリカはメキシコの選手も多いですし。

亀田:多いです。お客さんも、8割がメキシコ人です。

メキシコでも結構ファンがいるので、お客さんはいい感じになるのではないでしょうか。

バルガスもメキシコ人で、多くのファンがいるので、日本人のファンとメキシコ人のファンで、会場も盛り上がると思います。

ーーー僕も、今から楽しみにしています。今日はありがとうございました。

いよいよ本日決戦だ。

試合直前の和毅のインタビューでは、

「今回は完璧のコンディションに仕上がりました。最高の状態です。

自分の今までのボクシングの集大成の試合。最高の試合をして必ず勝ちます。」と頼もしい声が聞けた。

亀田和毅の試合はDAZNで、試合時間は14日(日)の10時から生中継される。

画像
元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

木村悠の最近の記事