階級の壁を越えられるか!日本復帰の井岡一翔の挑戦

(写真:アフロスポーツ)

ボクシング3階級王者で、WBO世界スーパーフライ級2位の井岡一翔(30)が、同級1位のアストン・パリクテ(28)との王座決定戦に臨む。

試合は、6月19日に、千葉・幕張メッセで行われ、井岡にとって2年2カ月ぶりの国内の舞台となる。

井岡は再起戦で、日本人初となる4階級制覇に向けてチャレンジする。

待望の日本復帰

井岡の日本での復帰戦が決まった。所属ジムとのトラブルから引退したが、その後復帰して、拠点を海外に移して活動していた。

昨年の年末では、マカオの舞台に立ち世界タイトル戦に挑んだが、接戦の末判定負けとなった。

その井岡に勝った、フィリピンのドニー・ニエテスが、王座を返上した事で、今回再びチャンスがまわってきた。

日本での活動再開を果たしたばかりで、いきなりのタイトルマッチとなった。これは井岡にとって追い風になるだろう。

海外で戦うのと日本で戦うのは大きく違う。時差もあり、会場の雰囲気などアウェーで戦うことは、大きなストレスがかかる。

私も一度、海外の舞台で試合をした経験があるが、自分の持ち味をまったく発揮できなかった。

気温や空気、食事や環境が変わることで、コンディション調整や減量にも大きく関わる。そのため、戦い慣れたホームで戦える利点は大きいだろう。

また、多くのファンも日本で直接井岡の試合を観られるのは嬉しいハズだ。

立ちはだかる階級の壁

今回の相手のパリクテは、フィリピン出身で井岡に勝った相手と引き分けている。

フライ級離れした、170cmを超える長身から打ちおろすストレートは迫力がある。

戦績は、28戦25勝(21KO)2敗1分で、軽量級の割には非常にKO率も高い。井岡の緻密なボクシングとは違い、強いパンチをどんどん振ってくる。

井岡は出入りを活かした距離感を武器に、相手をコントロールして勝利してきた。パワー系ではないが、タイミングや勘が良く、パンチをまとめる技術に優れている。攻防一体で目が良くディフェンスも優れている。

戦績は、25戦23勝(13KO)2敗とKOでの勝ちも少なくない。階級を上げることで、スタイルも少しずつ変化してきた。

スーパーフライに上げてからは、積極性が増し、攻撃重視になった面もある。今回のパリクテは、スーパーフライ級を主戦場にしてきた選手となるため、体格差が気になるところだ。

距離感を活かして戦ってきた井岡が、パワー系の長身のパリクテ相手にどのように戦うかが、注目だ。

ここ最近は、井岡も積極的に前に出て行く姿勢も見られるので、恐らく中間距離での戦いがポイントになってくるだろう。

日本人初の4階級の快挙

井岡が目指している4階級は、日本人では未だかって、達成しているものはいない。

3階級を制覇している日本人選手は、井岡一翔の他に、亀田興毅、八重樫東、長谷川穂積、井上尚弥、田中恒成の6名となる。

ボクシングは階級の壁が非常に大きい。日本人では3階級が限界との話も聞かれる。私も経験があるが、ひとつ階級が変わるだけで、それまでの戦い方が通じない。そのためスタイルを大きく変える必要がある。

階級を上げれば自分の減量は楽にはなるが、その分相手もでかくなる。

フライ級(50.8kg)とスーパーフライ級(52.1kg)の差は、僅か1.3kg程だが、その僅かな差で相手の体格やパンチ力、耐久力も変わってくる。

そのため、今回井岡が、達成すれば大きな快挙と言えるだろう。また、スーパーフライは世界的にも注目され、世界に近い日本人選手も多い。

5月4日、には、ワタナベジムの船井龍一が、IBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に挑戦する。

また、5月25日には、WBO挑戦者決定戦で、白井具志堅ジム所属の江藤光喜がハビエル・シントロン(プエルトリコ)と対戦する。

他にも、同じく4階級制覇を狙う八重樫東や、近いうちに階級を上げると噂される、無敗の3階級王者の田中恒成もいる。

海外では、シーサケットや、ロマゴンなどの強豪が多い階級だが、井岡も勝てばこの階級の中心となっていくだろう。

ぜひ、このチャンスをものにして、日本ボクシング界を盛り上げていってほしい。