現役最強ロマチェンコがこめかみ一撃で衝撃KO防衛 

タイトルを防衛したロマチェンコ(写真:ロイター/アフロ)

 ボクシングライト級のWBAスーパー&WBO統一王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が、元WBA同級王者の挑戦者アンソニー・クローラ(英)を迎え12日(日本時間13日)にロサンゼルスのステープルズ・センターで対戦した。

最高傑作と呼ばれるロマチェンコ

ロマチェンコは全階級を通じた最強のボクサーと言われ「パウンド・フォー・パウンド」の称号を与えられている。

これまで、サウスポースタイルからの絶妙なテクニックと高速コンビネーションで、数々の相手をリングに沈めてきた。

しかし、ここ最近は階級をライト級にあげてから苦戦が続き、階級の壁を感じていた。

今回は、元ライト級王者のクローラを相手に、ロマチェンコがどのような試合をするのか、注目の試合となった。

試合は一方的な展開に

 試合の序盤は静かな立ち上がりで、お互いが相手の力量を測っているようだった。ロマチェンコのステップに、クローラも手数が出ず警戒していた。

次のラウンドからロマチェンコがスピードのギアを上げると、、クローラは圧倒され防御に回るのが精一杯となる。

その後は、ロマチェンコが素早いステップで、出入りを繰り返し、パンチを的確に打ち込んでいく。クローラは手が出ず、防戦一方になっていった。

3Rには、ロープに釘付けとなり、レフリーがスタンディングダウンを宣告。それが、レフリーストップかと思われ、リング場に人が入り込む一面もあった。

続く4Rには、ここで試合を終わらせようと、更にギアチェンジしたロマチェンコが、クローラに襲いかかる。

4Rの1分が過ぎた頃に、ロマチェンコの左ストレートからの右フックが急所のテンプルに打ち込まれ、クローラが前のめりにダウン。

レフリーが途中でカウントを取るのをやめて、KO勝ちとなった。一方的な展開にロマチェンコの底知れない力を垣間見た。

ロマチェンコの特徴

ロマチェンコの強さは、その圧倒的なスピードと、多彩なコンビネーションにある。高速で打ち込むコンビネーションで、相手の意識を撹乱する。

パンチの種類も、様々なパターンを持っているため、ディフエンスが追いつかないのだ。ライト級では体格が小さいが、対峙すると、思った以上に、プレッシャーが掛かるのだろう。

また、速いパンチと強いパンチを組み合わせた強弱が絶妙だ。

ボクサーは、強いパンチで倒れるわではない。いくらパンチが強くても、来るタイミングが分かっていれば対処できる。しかし、想定外のパンチが的確なタイミングで、急所を捕らえると倒れてしまう。

また、ロマチェンコの左の使い方も多彩だ。通常サウスポーは、右手を器用に使うが、左手は、パンチの種類が少ない選手が多い。

しかし、ロマチェンコの場合は、アッパーとフックを織り交ぜたパンチや、タイミングを変えてダブル、トリプルなど変則的なパンチを織り交ぜる。

バリエーションが多いため、相手がパンチに反応できず、受け手に回ってしまうのだろう。

気になる今後の行方は

一時は下の階級に下げるとも噂されたが、このままライト級でのタイトル統一に進んでいくだろう。ここ数戦は階級の壁を感じていたが、今回の試合でライト級に順応したと言える。

他の王者は、ロマチェンコの圧倒的な強さを目にして、どう思っただろうか。つけいる隙がなく、穴が無くて攻略は非常に難しい。素直にやりたいとは言えないだろう。

それほど、圧巻のパフォーマンスだった。アメリカでの人気も、うなぎのぼりだ。今回の試合会場、ロサンゼルスのステープルズ・センターも多くの観衆で埋め尽くされた。

私も昨年リナレスVSロマチェンコの一戦を現地で観戦したが、ニューヨークにあるマジソンスクエアガーデンも満員となった。アメリカでの人気も高く、集客力もある。

これから、ますますビックスターになっていくだろう。試合後のインタビューでは、対抗王者であるWBC王者のマイキー・ガルシアの名前も上がった。

ひとつ下の階級には、海外を拠点とする世界王者の伊藤雅雪もいる。伊藤もロマチェンコと同じトップランク者と契約を交わしたため、対戦もありえる。今後もロマチェンコを中心に中量級がより一層盛り上がっていくだろう。