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米スーパーチューズデー 民主候補者選びでバイデン氏逆転 それでもカギを握るのはサンダース氏だ

木村正人在英国際ジャーナリスト
民主党の候補者選びはこの2人に絞られた(写真:ロイター/アフロ)

[ロンドン発]11月のアメリカ大統領選の民主党候補指名争いで14州の予備選が集中するスーパーチューズデーの開票が3日行われ、中道ジョー・バイデン前副大統領(77)が左派バーニー・サンダース上院議員(78)を逆転、9州を制し、あと1州でもリードしています。

共和党のドナルド・トランプ大統領(73)に対抗するため、バイデン氏に中道票を一本化することで、サンダース旋風を封じ込めた格好です。初参戦のマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長(78)は非エリート層に敬遠され、伸び悩みました。

米紙ニューヨーク・タイムズから開票速報を見ておきましょう。

バイデン 436万7135票 獲得した代議員319人(計372人)

サンダース 352万7617票 同245人(計305人)

エリザベス・ウォーレン 159万7575票 同27人(計35人)

ブルームバーグ 167万2455票 同12人(計12人)

トゥルシー・ギャバード 8万2227票 同1人(計1人)

これで民主党候補指名争いはバイデン氏とサンダース氏に絞られる見通しです。

前回の大統領選から見ると、工場や機械が錆びついたラストベルト(旧工業地帯)のミシガン(0.23%差、選挙人16票)、ペンシルベニア(0.72%差、選挙人20票)、ウィスコンシン(0.77%差、選挙人10票)や、フロリダ(1.2%差、選挙人29票)の接戦4州が勝敗を決します。

アメリカの各種世論調査をまとめたサイト、リアルクリアポリテックス(RCP)からトランプ大統領vsバイデン氏の戦いを占うと――。

(1)ミシガン州、選挙人16票

バイデン48.5%、トランプ43.3%(RCP平均)

(2)ペンシルバニア州、選挙人20票

バイデン47.7%、トランプ44.7%(同)

(3)ウィスコンシン州、選挙人10票

トランプ46%、バイデン44.3%(同)

(4)フロリダ州、選挙人29票

バイデン49%、トランプ47.3%(同)

(全体)

バイデン49.8%、トランプ44.4%(同)

前回大統領選で民主党のヒラリー・クリントン候補とトランプ大統領が獲得した選挙人の差は77人。バイデン氏が民主党の指名候補になれば今のところ65人がスウイングすることになり、トランプ大統領の再選を阻止できる可能性が膨らみます。

今、フランスやイギリスをはじめ政治の潮流は下のマトリックスのように4分化されています。キャスティング・ボートを握っているのはエリート層ではありません。左派の非エリート層です。イギリスの欧州連合(EU)離脱ではそれが顕著に現れました。

筆者作成
筆者作成

バイデン氏が晴れて指名候補になった暁にサンダース氏を副大統領候補に指名できるかどうかが勝負の分かれ目になると思います。それにしても3人の中で73歳のトランプ大統領が一番若いというのは衝撃的です。

世論調査は当てになりません。トランプ大統領再選の可能性はまだまだあると思います。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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