「親日残滓の清算」vs「反韓・嫌韓」数字で見る日本が韓国に完全に舐められる理由とは

「親日残滓の清算」を宣言した韓国の文在寅大統領(左)(写真:ロイター/アフロ)

三・一独立運動から100年

[ロンドン発]日本統治下の朝鮮で起きた三・一独立運動から100年を迎えた3月1日、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は「親日残滓(ざんし)の清算」を進めると演説し、日本の「反韓・嫌韓」感情に火を放ちました。

「親日」とは韓国では日本統治下で日本の軍隊や警察に関わった人物を指します。文大統領の演説には、政治家、高級官僚、財閥を支配する「親日」勢力の一掃を呼びかける政治的な狙いがあるようです。

日韓関係は戦後最悪です。一昔前までは日本の政治家の発言が韓国の国民感情を逆なですることが多かったのですが、最近では韓国側の強硬姿勢が日本の「反韓・嫌韓」ナショナリズムを焚き付けています。

昨年10月、徴用工問題で韓国大法院(最高裁)が日系企業の差し戻し上告を棄却し、損害賠償の支払いを命令。

昨年12月、韓国海軍艦艇が自衛隊哨戒機へ火器管制レーダーを照射。

今年2月、韓国の文喜相(ムンヒサン)国会議長が米メディアに日本の天皇が元慰安婦に謝罪すれば慰安婦問題は解決すると発言。

日本への韓国の対応に遠慮がなくなってきたのは、韓国が日本を頼りにしないどころか、見下していることが背景にあると思います。韓国の日本見下しがどの辺りから来るのか考えてみました。

日韓の英語力

まず国際化の前提となる日本と韓国の英語力を比較してみましょう。

大学レベルの英語を使用および理解する能力を測定するTOEFL iBT テストのスコア(2017年平均値)は次の通りです。

【日本】リーディング18 リスニング18 スピーキング17 ライティング18 合計71

【韓国】リーディング22 リスニング21 スピーキング20 ライティング21 合計83

国際コミュニケーションの英語能力を測るTOEICリスニング&リーディングテストのスコア(17年平均値)は――。

【日本】リスニング287 リーディング230 合計517

【韓国】リスニング369 リーディング307 合計676

88カ国が参加した世界最大の英語能力ランキングEFのEPI(英語能力指数)のスコアと順位(18年)は――。

【日本】51.8(49位)男性49.9 女性54.11

【韓国】56.27(31位)男性55.99 女性56.57

日本の英語力は男性が大きく足を引っ張っていることが分かります。韓国側が意図的に仕掛けて来る「反韓・嫌韓」ナショナリズムの罠に一番ハマりやすいのが年齢を問わず英語のできない日本男子ではないかと心配します。

日韓の留学生と大学力

次に日韓の留学生を比較してみましょう。

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中国教育部(省)の統計によると、16年に205カ国・地域から44万2773人が中国の高等教育・研究機関に留学しました。内訳は韓国がトップで7万540人、2番目は米国で2万3838人。日本は1万3595人で7番目でした。

iie.orgによると、米国の高等教育への留学生は107万8822人。韓国は5万8663人、日本は1万8780人と大きな差が出ています。

経済協力開発機構(OECD)の統計では日本からの留学生は04年の8万2945人をピークに減少しており、16年は5万5969人。国際的に見て日本の高等教育は確実に低下しています。

英高等教育専門誌タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)の19年世界大学ランキングでも韓国は日本を激しく追い上げています。

東京大学42位

ソウル大学校63位

京都大学65位

成均館大学校82位

200位以内に入った大学数では日本2校、韓国5校でした。中国や香港、シンガポールに抜き去られた日本の大学が韓国に追い越されるのも時間の問題かもしれません。

韓国のFTA攻勢

国内市場がそれほど大きくない韓国は「貿易立国」を目指し、00年代半ば以降、自由貿易協定(FTA)戦略を進めます。巨大経済圏のアジア諸国連合(ASEAN)、インド、欧州連合(EU)、米国、中国と相次いでFTAを結びました。

貿易総額で3倍近い開きがあった日韓の差は1.2倍に縮まりました。

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貿易収支では韓国はすでに日本を逆転しています。

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韓国の輸出先は中国25%、米国12%、ベトナム8%、香港5.8%、日本4.5%。輸入元は中国21%、日本11%、米国10%、ドイツ4.2%。K-POP(ケイ・ポップ)が日本を飛び越えて世界を目指すように、貿易でも韓国の日本依存度はどんどん下がっています。

韓国は日本の製造業の退職者を雇って技術を吸収し、サムスンのスマートフォンや液晶テレビは日本製品を駆逐しました。自動車、インフラ輸出でも日本の強烈なライバルになりつつあります。

旧宗主国と旧植民地の逆転

日本が韓国を支配したのは1910年から35年間。その日本が帝国主義のお手本とした英国がアイルランドを支配するようになったのは12世紀以降。アイルランドは1801年に併合され、正式に独立を果たしたのは第二次大戦後の1949年です。

まず英国とアイルランドの購買力で見た国民1人当たり実質国内総生産(GDP、購買力平価、2011年国際ドル)を見てみましょう。

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英国とアイルランドの生活水準は1997年に逆転し、かつては植民地だったアイルランドの方がはるかに豊かになっていることが分かります。

次に日本と韓国の購買力で見た国民1人当たり実質国内総生産(同)を見てみましょう。2023年には日本と韓国の生活水準はほぼ肩を並べます。

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旧植民地に追い抜かれた旧宗主国は惨めなものです。

国防費支出を増やす韓国

国防や情報でも北朝鮮の脅威にさらされてきた韓国は、憲法9条に手足を縛られる日本を頼りにしていません。

04~07年まで米国家安全保障会議(NSC)アジア部長を務めた米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)朝鮮部長のビクター・チャ氏がロンドンでのパネルディスカッションでこんな分析を披露したことがあります。

「中国に対して韓国は歴史的に肯定的な記憶を持っており、否定的な面を過小評価する傾向がある」

「米国と韓国がFTAを交渉していた時、韓国国内では大規模な抗議活動が起きたが、中国とのFTA交渉時、抗議活動は全く起きなかった」

「与党・改革政党は野党・保守政党より多くの国防費を支出している」

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の国防支出データで、日本、中国、韓国の国防支出を見ておきましょう。

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「防衛費のGDP1%」枠に縛られてきた日本の防衛支出は16年のドル換算で見ると、460億ドル周辺で横ばいが続いています。韓国はものすごい勢いで日本を追い上げています。

関税引き上げは自分の足を撃ち抜くのと同じ

元徴用工問題に関連して、麻生太郎副総理兼財務相は「関税(引き上げ)に限らず、送金の停止、ビザの発給停止とかいろんな報復措置があろうかと思う」と対抗措置の可能性を示唆しました。

しかし日本の対韓国貿易は17年、輸出551億2500万ドル、輸入268億1600万ドルで大幅な黒字です。関税引き上げは自分で自分の足を撃ち抜くのと同じで、韓国をさらに中国の方に押しやるだけです。

文政権下で日韓関係を改善するのは非常に難しいでしょう。国際社会は弱肉強食の世界です。日本はまず韓国や中国に負けないよう防衛力と日米同盟を強化しなければなりません。

そして日本経済を復活させて、韓国の日本依存度をもう一度、増やしていく必要があります。

文大統領の「親日残滓の清算」演説は日本を実力で追い抜きつつある韓国の自信の現れです。要するに日本は韓国に完全に舐められているのです。

(おわり)