貧富の格差さらに拡大 世界のビリオネア26人が貧しい38億人と同じ資産を保有

貧富の格差はさらに拡大(2012年9月資料写真)(写真:ロイター/アフロ)

[ロンドン発]世界のお金持ち上位26人が、世界のボトム・ハーフ(貧しい半数)の38億人と同じ額の資産を保有していると、国際NGO「オックスファム」が21日発表しました。

前年は、ボトム・ハーフの総資産は世界のお金持ち上位43人と同じ。貧富の格差がさらに拡大していることが浮き彫りになっています。

ビリオネア(個人資産が10億ドル以上の長者)の数は世界金融危機直後の2009年の793人から2208人に増え、資産総額も2兆8330億ドルから9兆600億ドルに膨れ上がっています。

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昨年1年間でボトム・ハーフの資産は11%も縮小する一方で、ビリオネアの資産は12%も拡大。1日に25億ドルずつ増えていたそうです。

オックスファムは世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)を前に報告書「公共の利益か、個人の富か?」を発表。その中で世界の貧困対策は減速し、貧富の格差は拡大したと指摘しています。

十分な医療を受けられないため、推定約1万人が毎日亡くなっています。貧しい国々では貧困家庭の子供は裕福な家庭の子供より5歳までに死ぬ割合が平均で倍近く高いそうです。

両親が学費や制服、教科書代を負担できないことなどを理由に、学校に行けない子供は2億6200万人。貧富の格差は教育格差も広げていきます。

世界トップ1%のお金持ちが資産の0.5%に相当する税金を納めれば年4180億ドルが集まります。これを元手に学校に行けない子供たちを救い、医療サービスの提供で330万人の死を防ぐことができるそうです。

世界一の大富豪、米アマゾン・ドットコムの創業者ジェフ・ベゾス氏の純資産は1560億ドル。その0.5%で多くの子供たちが救われるのです。

経済協力開発機構(OECD)の直近データから富の格差を見てみましょう。トップ10%が占める富の割合は米国が一番高く79.5%。欧州連合(EU)最大の勝ち組国家ドイツも59.8%とかなり高くなっています。

地球温暖化対策としての燃料税引き上げが発端となった「黄色ベスト運動」が続くフランスは50.6%とEUの勝ち組オランダ、デンマーク、ドイツに比べてそれほど高くありません。

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日本は富の格差はOECDの中では小さい方で41%です。フランスの「黄色ベスト運動」が他のEU諸国に飛び火したのは、庶民の生活が苦しくなる中、富裕層を優遇していることに怒っているからです。

貧富の格差を広げている理由はいくつもあります。

・グローバル企業による悪質な租税回避

・ICT(情報通信技術)による生産手段の寡占

・資本の集中

・富裕層への優遇税制

・企業誘致のための法人税の過剰な引き下げが「底辺への競争」を加速

・医療や教育予算の削減

租税回避や生産手段の寡占、「底辺への競争」を防ぐためには国際協調が不可欠です。

しかし、孤立主義と保護主義を強めるドナルド・トランプ米大統領と英国のEU離脱で先進国の間ですら足並みはそろいそうにありません。

(おわり)