小さな大学世界ランキングで日本健闘も韓国の浦項工科が4位
学生数が5千人より少ない大学(Small University)の世界ランキング・トップ20に日本の東京医科歯科大学、横浜市立大学、東京海洋大学の3校が入りました。英国の高等教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」が英国時間の25日に発表しました。
Small Universityについてのランキングが発表されるのは今回が初めてです。世界大学ランキングでは(1)人文科学(2) 医学・臨床(3)工学(4)自然科学・物理学(5)生命科学(6)社会科学の6分野を求められますが、Small Universityでは4分野あれば良いそうです。
THEのフィル・バティ編集長は「大学に関してはサイズが問題になります。ある学生にとっては大きいことが良いことですが、他の学生にとっては小さな大学が正しい選択になります。小さな大学は学生に親近感を与え、大きな大学に比べて学生は教員からより多くの関心とサポートを得ることができます」と話しています。
日本の3大学がトップ20に入ったことについて、「日本の大学の健闘が目立ちます。立地条件にかかわらず、彼らはワールドクラスの環境を与えています」と評価しています。ランキング1位は、THE世界大学ランキング2015-16でも1位になった米国のカリフォルニア工科大学でした。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」とはまさにこのことです。少数の英才を集め質の高い教育を実行している韓国の浦項工科大学校はアジア首位の世界ランキング4位です。
先のTHE世界大学ランキング15-16でトップ100に入った日本の大学は前年に続き東京大学43位(前年は23位)と京都大学88位(59位)の2校だけでした。しかし前年から随分、ランクを落としてしまいました。100~200位に入っていた東京工業大学、大阪大学、東北大学の3校は200位以下に順位を落としました。
評価の仕方が変わったのが原因ですが、少子高齢化と大学予算の制約という大きなトレンドは変わりません。安倍政権は「集中と選択」とグローバル化で大学の活性化を図っていますが、大学を世界中の才能を集めるビジネス・チャンスと考える英米両国にはまったく歯がたちません。
シンガポール、香港、中国、韓国、台湾の成長には著しいものがあります。シンガポール国立大学は世界大学ランキング15-16で26位、北京大学は42位と、アジアで不動の首位を守ってきた東京大学を追い抜きました。44位の香港大学と47位の中国・清華大学47位に追い抜かれるのも時間の問題です。
日本の大学に求められているのは大胆な開放政策です。「日本には日本のやり方がある」「とにかく日本は素晴らしい」という独りよがりのムラの論理では世界はもちろん、アジアでも通用しなくなっています。お年寄りのための医療、介護、年金はほどほどにして、高等教育にもっともっとオカネをかけることが大切です。
高等教育で世界に置いていかれるということは、いずれ日本の技術力も通用しなくなるということです。
(おわり)