Yahoo!ニュース

出産間近のキャサリン妃がジョージ王子のプールに車でお出かけ

木村正人在英国際ジャーナリスト

英国のウィリアム王子(32)とキャサリン妃(33)の第2子の誕生を世界中のメディアが待ち構えています。第1子のときも出産予定日から9日後に出産しました。今回の出産予定日は先週の木曜日23日と言われています。

出産予定日からはや6日が経ち、待ち疲れたつぶやいたろう(筆者)はキャサリン妃が入院予定のセント・メアリー病院リンド病棟前に行って来ました。

入院するまで取材を自粛する協定が英王室との間で結ばれているので報道陣のスペースは空っぽ。でも病院内のカフェは記者やカメラマンでごった返していました。英王室からキャサリン妃入院の一報を受けると、退院時の写真や動画を撮るための場所を取る必要があるからです。

セント・メアリー病院リンド病棟前(筆者撮影)
セント・メアリー病院リンド病棟前(筆者撮影)

昨日28日、ジョージ王子をバッキンガム宮殿のプールで泳がせるためレンジローバーを運転してやってきたところをフォーカスされたキャサリン妃。助手席にボディーガード、後部座席にジョージ王子と乳母を乗せていました。

車を運転するキャサリン妃の写真(筆者撮影)
車を運転するキャサリン妃の写真(筆者撮影)

今回も長期戦の様相です。英王室の追っかけさんたちもリンド病棟向かいにテント村を設営しています。ちなみに英BBC放送の王室担当記者ピーター・ハント氏は英総選挙の取材に借り出され、労働党を担当。BBCは「ロイヤルベビーより総選挙」というタテマエはさすがに崩せないようです。

英王室の追っかけさんたちもリンド病棟前で泊まり込んでいます。昨日28日あさ、キャサリン妃が入院!と一時、ざわつきました。実はウィリアム王子とキャサリン妃から追っかけさんたちにスィートとホットコーヒー10人分が差し入られたのです。

追っかけの常連、テリー・ハットさん(79)にその時の様子をインタビューしてきました。「ウィリアム王子とキャサリン妃からのメッセンジャー2人が差し入れを持ってきたので非常に驚きました。ゴールドのような贈り物です。寒かったので心が温まりました」とテリーさん。

テリーさんは明日30日が80歳の誕生日だそうです。

「待たせてごめんなさい」という粋な心遣い。やはりウィリアム王子とキャサリン妃は人の気持ちがわかります。これだから英王室の追っかけはやめられないのかもしれません。第1子の時と同じ追っかけさんの顔も多く見かけました。

スィートを入れた箱がピンクのリボンで結ばれていたことから、第2子は女の子説がさらに強まっています。実はキャサリン妃がピンク色のベビー服を購入したとか、女の子用の室内装飾をしたとか、そんな情報がメディアをにぎわし、以前から女の子説が出ています。

第1子の出産を担当したのはエリザベス女王の産婦人科医マーカス・セトチェル氏、アラン・ファーシング氏の2人。セトチェル氏は72歳と高齢のため、今回はファーシング氏が主治医となり、ガイ・ソープ=ビーストン氏と新たなコンビを組みます。

ウィリアム王子は4月下旬から6週間、無給の育児休暇中でキャサリン妃のそばにいます。どんな話をしているのでしょう。英国では育児休暇を取るのが当たり前になるように首相やウィリアム王子が率先して育児休暇を取ります。英国では「イクメン」が当たり前です。

第2子が生まれると、ジョージ王子誕生のときと同じように性別、体重、出産した時間が書き込まれた出生証明証にファーシング医師らが署名をします。この出生証明書は警察に先導され車でリンド病棟からバッキンガム宮殿に運ばれ、金縁のイーゼル(画架)に載せて前庭に掲示されます。

ジョージ王子誕生の時は午後4時24分に誕生していたのに発表されたのは新聞の朝刊締め切り前の午後8時半。真っ先にエリザベス女王に知らされ、キャメロン首相、英連邦各国に赴任している総督、王族、キャサリン妃の実家ミドルトン家にも知らされました。この段取りは今回も変わりません。

エリザベス女王はだいたい午後10時から午前8時までお休みになっているとみられ、その間に第2子が誕生した場合は、女王が朝、目を覚まされてから出産が伝えられるそうです。女王のベッドタイムについて筆者が英王室関係者に確認したところ、「答えられない」という返事でした。

今日29日は世紀のロイヤル・ウェディングからちょうど4周年に当たります。2011年4月29日のバッキンガム宮殿でのバルコニー・キス。それも1回ではなく2回。立憲君主国のかたちをとても爽やかに表現したウィリアム王子とキャサリン妃に筆者もすっかり魅了されてしまいました。

ちなみにリンド病棟のお値段は1泊6,000ポンド、プラス相談料。キャサリン妃は第2子の出産なので10%オフになっているそうです。

円安が進んだので6,000ポンドは日本円にして110万円。英国はNHS(国営医療制度)で無料で医療サービスが受けられますが、キャサリン妃の場合は有料のプライベート医療なので費用が発生します。今回もジョージ王子のときと同様、産後1泊するとみられています。

出生証明書がバッキンガム宮殿に掲示されて初めてロイヤルベビーの性別がわかるという古き伝統は、ジョージ王子の誕生時、英王室がメディアへの一斉広報と同時に「王子誕生」とツィートして過去に葬り去られました。

英王室関係者によると、今回も一報はツィッターかインスタグラムが早いそうです。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

木村正人の最近の記事