【スコットランド独立投票】最新世論調査、反対派盛り返す

泣いても笑ってもスコットランド独立の住民投票まで最後の1日を残すだけとなった。

英大衆紙デーリー・メールの世論調査(12~16日)は賛成44%、反対48%、まだ決めていないが8%。英高級紙デーリー・テレグラフの世論調査(12~15日)は賛成43%、反対47%、まだ決めていないが8%。

筆者作成
筆者作成

上の折れ線グラフを見ればわかるように少しだけ独立に反対する現実派が盛り返してきた。デーリー・メール紙の世論調査の詳細をみると――。

男性は賛成49%、反対46.1%。

女性は賛成38%、反対48.7%。

スコットランドの家庭ではひょっとすると「あなた、どうか早まらないで」と妻が夫を説得しているかもしれない。

年齢別では、

25~34歳が賛成52.1%、反対37.3%。

35~44歳が賛成47.9%、反対40.6%。 

45~54歳が賛成45.9%、反対44%。

若い労働人口の世代が圧倒的に独立を支持している。16~24歳は意外に独立には慎重で、55歳以上は独立に強く反対している。

地域的には、ゲール語を話す人口がスコットランド北西部で賛成54.3%、反対42.6%。気になるのはセントラル・スコットランド地区で賛成49.4%、反対45.2%と独立賛成派が勢いを増していることだ。

イングランドと地理的に離れているスコットランド北西部と北東部は独立支持者が多いと基本的に考えて良い。セントラル・スコットランド地区で独立反対派が巻き返せば、英国は分裂せずに済む。

筆者は、独立反対派が僅差で過半数を得て、スコットランド自治政府のサモンド首相は当初からの思惑通り課税自主権を含めた「自治権の拡大」を手に入れるだろうと予測する。

しかし、イングランドとスコットランドの間に感情的なしこりを残すことになるだろう。

英高級紙タイムズからロイター通信に移籍した著名経済コラムニスト、アナトール・カレツキー氏が12日付で「スコットランド独立、英EU離脱の恐れも」と題して、悪夢のシナリオを検証している。

ロイター通信日本語版で無料でカレツキー氏のコラムが読めるのはありがたい。カレツキー氏のコラムは英紙フィナンシャル・タイムズのマーティン・ウルフ氏と双璧だ。

そのカレツキー氏が描く悪夢のシナリオは――。

スコットランド独立賛成派が過半数を占めれば、キャメロン首相への辞任圧力が強まる。保守党と自由民主党の連立政権はレームダック(死に体)化する。来年の総選挙では労働党が勝利する。

しかし、2016年3月にはスコットランドが独立。スコットランド選出の労働党議員が英議会からいなくなり、労働党政権は少数政権に転落。そして再び総選挙が行われる。

保守党が欧州連合(EU)からの離脱を掲げて政権に返り咲く。EU懐疑派の強硬論をバックにEUやドイツ、フランスにとんでもない要求を押し付けて交渉は決裂。

そして17年には英国でEUに残留するか、離脱するかの国民投票が行われる。まるでスリラー映画のような展開だ。

スコットランドが独立すれば、文字通りパンドラの箱を開けることになる。世界中の分離独立主義者が民族の血を鼓舞し、地域紛争の火種になる恐れが十分にある。

ここはスコットランドの女性陣に奮起してもらい、「何が何でも独立だ」と血気盛んな男性陣を説得してもらいたい。17日の夜は、スコットランドだけではなく、世界の未来を決める夜となるだろう。

筆者は、高橋美野梨・北海道大学学振特別研究員が言うように、「国家という枠組みの中で、地方がリージョナル(地域の)・アイデンティティーを求める」のは自然な感情の発露だと思う。

地方の未来は地方に任せた方がうまく行く。中央に任せたままでは、地方の未来はやせ細る一方だ。スコットランド議会が復活した1997年以降の歩みがその成果を示している。

スコットランド民族党(SNP)のサモンド党首がこのまま独立に突き進めば、議会復活から17年の成功を壊すだけでなく、世界を混沌の淵に追い込んでしまうだろう。

(おわり)

前回エントリーの高橋美野梨氏の肩書は、正式には北海道大学学振特別研究員です。