日本の次期主力戦闘機F35に赤信号

2017年度から航空自衛隊三沢基地(青森県三沢市)に20機程度配備されるという最新鋭ステルス戦闘機F35に赤信号が灯っている。

F35は初めて大西洋を横断飛行、英南部ファーンバラで開かれている国際航空ショーに参加する予定だった。しかし、エンジンの出火トラブルから、米国防総省は15日、航空ショーへの参加を断念すると発表した。

ファーンバラ国際航空ショーへの参加が取り止めになったF35(米海軍HP)
ファーンバラ国際航空ショーへの参加が取り止めになったF35(米海軍HP)

6月23日、フロリダ州の空軍基地で離陸準備中にF35のエンジン付近から出火。米空軍と海軍は今月14日、3時間ごとのエンジン点検などを条件に飛行再開を許可したが、大西洋の横断飛行は不可能と判断した。

航空業界の一大イベント、ファーンバラ国際航空ショーは最新鋭のステルス機F35を世界に披露する絶好のチャンスだったが、逆に計画への疑念を膨らませる結果となった。日本は航空自衛隊の次期主力戦闘機としてF35を42機購入する予定。

朝日新聞は、F35を開発する米ロッキード・マーチン社など3社が米国防総省と協定を結んだ結果、19年までに1機当たりの製造費用を約1千万ドル下げ、8千万ドル(約80億円)以下にするとの同社の見解を伝えている。

16年度に日本に納入される最初の4機は1機102億円の契約だったので、今後は価格が下がりそうだという。しかし、果たして、そんなに楽観できるのか。

ワシントンに拠点を置くストラウス軍事改革プロジェクトのウィンスロウ・ウィーラー所長は12年4月、外交専門誌フォーリン・ポリシー(電子版)に「F35計画は米国防総省を食いつぶす」と題して寄稿している。

それによると、米国防総省のF35調達計画の推移は――。

2265億ドル 2866機(2001年)

3283億ドル

3794億ドル 2457機(11年)

3957億ドル(12年2月)

ウィーラー所長はF35、1機当たり1億6100万ドル(約163億7千万円)と算定する。

配備計画は――。

当初は2010年に戦闘可能になり、最初の配備は2012年の予定だった。しかし、「新しい目標は2019年」と議会で非公式に示唆されている。テストは20%しか終わっていない。

日本の防衛省が言うように、16年度に4機納入、17年度に20機程度を三沢基地に配備するというタイムスケジュールでことがうまく運ぶのだろうか。

問題はまだまだある。F35の運用・支援コストは推定1兆1千億ドル。調達コストを加えると約1兆5千億ドル(約152兆5千億円)になり、スペインの国内総生産(GDP)を上回る。

しかし、この見積もりも甘すぎるという。F35より作戦任務が単純なステルス戦闘機F22の運用・支援コストはF16の3倍。F35の運用・支援コストはF16より42%増で算定されているという。

短い距離で離陸し、垂直着陸と超音速飛行が可能、空中戦と対地攻撃能力を備えた多用途性のF35は構造上、多くの矛盾を抱えている。このため、エンジン出火などのトラブルが絶えないとウィーラー所長は指摘する。

しかも、ステルス性にも疑問符がつくと手厳しい。ウィーラー所長は完全な「反F35派」で、「他に安くて性能が良い戦闘機や攻撃機がある。F35計画はゴミ箱に捨てた方が良い」と切り捨てる。

ヘーゲル国防長官は兵器調達費を圧縮する一方で、F35などの案件を維持するとしているのだが、米国の国力の衰えはもはや隠しようがなくなっている。

(おわり)