安倍首相はイラン産原油の輸入を大幅削減せよ! さもなくば尖閣は守れない

30日、英国と米国のシンクタンクがロンドンでイランの核開発と国際社会による経済制裁について開いたシンポジウムで、スペイン国防省の特別アドバイザーから「イランはいずれ核兵器を製造する。われわれは戦争に備えなければならない」という物騒な発言が飛び出した。

ディック・チェイニー前米副大統領の安全保障担当補佐官を務めたジョン・ハナ氏は「イランの核施設を爆撃するというカードを突きつけないと、イランに対する経済制裁も効果を持たない」と発言した。

ハナ氏は筆者の取材に「欧州連合(EU)はイラン産原油の輸入量をゼロにした。日本にも、もっとイラン産原油の輸入削減に取り組んでもらいたい。イランとの交渉の時間はそんなに残されていない」と力説した。

共和党の元下院外交委員会委員長、ハワード・バーマン氏も筆者に「輸入量をゼロにせよとはいわないが、イラン産原油の大幅な輸入削減を期待している。米国も日本が他の国から原油を輸入できるように協力する。米議会の大勢は私と同じ意見だ」と述べた。

ネオコンが集まるワシントンの政策研究所、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート(AEI)のリチャード・パール氏と、イランへの制裁強化を訴える米シンクタンク、民主主義防衛財団(FDD)のマーク・デュボビッツ事務局長も筆者に「日本はイラン産原油を輸入している。イランはその代わりに円を手にしている」と指摘した。

米国がここまで日本に圧力をかけるのは、イスラエルのネタニヤフ首相が昨年9月、国連総会で、イランは2013年春か初夏には、20%の高濃縮ウランの製造量が核兵器を製造するのに十分な240キロに達すると警告したことと関係している。

イスラエルはこれを「越えてはならない一線(レッドライン)」としてイランの核施設攻撃の可能性を示したことから、何としてでも対イラン戦争を避けたいオバマ米政権は対イラン経済制裁を遮二無二(しゃにむに)強化してウラン濃縮活動の停止をイランに迫っている。

米国は2012年、イラン産原油の決済に使われているイラン中央銀行と取引した金融機関は米金融システムから締め出すという経済制裁を発動した。EUもイラン産原油の全面禁輸に踏み切っただけではなく、イラン産原油を輸送するタンカーにかける再保険を禁止した。

日本政府はEUによる経済制裁の影響を回避するため、イラン原油の輸入に必要な再保険を民間企業に代わって引き受けている。

国際エネルギー機関(IEA)によると、イランの原油輸出量は2011年には日200万バレルだったが、2012年7月には日100万バレルに半減した。

EUの輸入量はゼロだ。

中国、インド、日本、韓国、トルコの輸入量も2012年1月には日175万バレルだったが、同年8月には89万バレルまで減っている。しかし、FDDのデュボビッツ事務局長によると、原油輸出によるイランの収入はそれでも年500億ドル(約4兆5000億円)もある。

日本政府が出資する国際石油開発帝石(INPEX)は2010年10月、イランの南西部アザデガン油田の開発事業から撤退したが、中国国営石油CNPCが参入。中国は現在、イラン産原油の5割を輸入している。

韓国は今年5月までの半年間にイラン産原油の輸入量を最大20%減らす方針だ。

これまで輸入量を減らすことを条件に米金融システムの締めだしから除外されていた日本だが、これからはイラン中央銀行との取引を厳禁される見通しだ。

英誌エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの調査では、日本のイラン産原油の輸入量は2012年9月時点で日20万バレル。

2012年1~11月の間に日本は輸入量を40%も削減した。

東日本大震災の福島第1原子力発電所事故で全国各地の原発再稼働のメドがいまだに立っておらず、原油輸入による火力発電で電力不足を補わなければならないのが現状だ。それだけに対イラン経済制裁強化が日本経済を直撃するのは必至だ。

経済制裁の影響でイランの通貨リアルは急落、同国内は25%超のインフレに苦しみ、経常収支は赤字に転落。国内総生産(GDP)も3%減少した。

オバマ政権は対イラン経済制裁の対象を原油から天然ガスに拡大する方針で、イラン産ガスを輸入する見返りにゴールドを売却していたトルコにも圧力をかけている。

また、イランが外貨を使えないようにするため、オバマ政権はイラン産原油の代金を輸入国の金融機関に釘付けにするほか、貴金属、黒鉛、アルミニウム、鉄、ソフトウェアなどの取引を制限する経済制裁も発動する方針だ。

対イラン制裁が効くか効かないか最後のカギは中国が握っているともいえるが、日本も重要なプレーヤーであることは間違いない。

沖縄県・尖閣諸島をめぐって中国と紛争が勃発する恐れがある日本としては、日米同盟の絆を深める意味でも、オバマ政権が全力を傾注する対イラン経済制裁に協力しないわけにはいかなくなる。

(おわり)