仮装姿で会見乱入事件で考えた、セレブレーションの上品と下品

ビクトル・ロドリゲスとネイマール。この2人は試合後の主役にもなった(写真:ロイター/アフロ)

バルセロナの選手たちがハローウィンの仮装姿で記者会見に乱入。クラブが謝罪する一幕があった。10月31日夜、第10節ヘタフェ戦(0-2)後のことだ(選手の仮装姿はクラブの公式ホームページhttp://www.fcbarcelona.jp/football/first-team/detail/article/barcaween-videoで見ることができる)。擁護、断罪のさまざまな反応があったが、バレンシアでプレーした元GKサンティアゴ・カニサレスがテレビ番組中に発した言葉、「もし敗れていたらやらなかったろう。ならば、敗者の方はそんな気分ではなかったと理解できたはず。残念だ」が最も私の感想に近い。

騒動としては一件落着済みである。バルセロナは公式声明の中で非礼を詫び、キャプテンのイニエスタがヘタフェのキャプテン、ペドロ・レオンに電話して謝罪。ペドロ・レオンはそれを受け入れている。公式声明の中で触れていることだが、問題シーンをとらえたテレビ映像には「どこへ行くんだ? 間違っているぞ」という選手の声が残っており、不案内な敵地で誤ってヘタフェの選手の会見中に乱入してしまった可能性が高い。つまり、子供っぽい行為ではあったが、悪意はなかったということだ。

EURO2008の決勝後、敗れたドイツのシュバインシュタイガーがインタビューを受けている最中に、優勝したスペインの選手が数珠つなぎになって行進しその叫び声で会見が中断するシーンがあった。ユーモアを解するシュバインシュタイガーが笑顔で返したのと、決勝の開催地が敵地ではなく中立地だったため、また馬鹿げた仮装姿ではなかったため問題とはならなかったが、スペインでは歓喜爆発の微笑ましい光景として伝えられたあのシーンも、よく考えればシュバインシュタイガーとドイツ代表への礼を欠いていた。私も一緒に喜んでいたため今まで気が付かなかったのだが……。

プロの真似をしてはいけない

私はスペインで少年チームを指導しているが、勝利やゴールのセレブレーションには礼を欠かないよう気を使っている。私が礼節の国で生まれたせいもあるが、監督としての実用的な理由もある。敵がい心を煽ったところで、次に戦いにくくなるだけで何の得もないからだ。特に敵地でのダービーマッチでは勝ったらサッと帰る。喜ぶのは帰宅後だ。それでも勝利後にスプリンクラーを全開にされ水浸しにされたり、トイレの無いロッカールームをあてがわれるなどのアウェイの洗礼を受けている。

子供たちと一緒に勝利を祝ったのは、今年6月セビージャ市のサッカースクールの王者を決める試合で勝った時だけ。キャプテンが「祝っていいか?」と聞いて来たので「失礼にならないようにやれよ」と言った。中立地でのシーズン最終戦でのことだった。それでも相手チームの監督には「子供に遅延行為を教えるな」と嫌味を言われ、聞こえなかったフリをして無視。心の中では「次も絶対に勝ってやる」と強く決意したが。

ゴールパフォーマンスでも子供には「プロの真似をするな」と言い聞かせている。子供は誰でもゴールするのが大好きなのだが、チームのためにフォワード以外のポジションもやらせている。ゴールはチーム全員で決めるものだから、と。それなのに喜びを独り占めするような派手なアクションをされては、チームの和が壊れる。その点、14年5月チャンピオンズリーグ決勝で4点目を挙げたロナウドが、上半身裸になり筋肉美を見せ付けたのは悪い見本。プロはショーだから許されるのかも知れないが。

ゴールセレブレーション、ワースト3

94年にスペインへ移り住み、中断もあったがリーガを見続けて20年ほどになる。私が記憶するゴールパフォーマンスワースト3を最後に記しておこう。3位は、ダニエウ・アウベスとネイマールが披露したフラダンス(当時キャプテンのカルレス・プジョールが激怒し止めさせた。さすがである)。2位は、レアル・マドリーのロナウド(ブラジル人の方)、ロビーニョらの死んだゴキブリの真似。顔をしかめパフォーマンスに参加しなかったスペイン人選手との溝が、明らかになった愚行でもあった。不名誉極まりない1位は、バレンシアにいたレアンドロの小便する犬の真似。四つん這いで片足を上げアウェイスタンドに向け引っ掛ける彼に、物が投げ込まれたのも仕方がない。リーガ人生が短命(1年)に終わる原因となった最低の挑発行為だった。

同じ動物の真似でもスカッとしたのは、エトーのサルの真似をした踊り。黒人差別であるモンキーチャントを浴びせられた彼の「サルを見たいのなら見せてやる」という反骨のコメントとともに最高だった。