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韓国代表よりも日本代表のサッカーが上?ブラジル戦“韓国5失点”と“日本1失点”の韓国側の視点とは

金明昱スポーツライター
日本戦ではネイマールのPKが決勝点となった(写真:ロイター/アフロ)

 6月2日にソウルで行われた国際親善試合で、韓国代表はブラジル代表と対戦し、1-5で大敗を喫した。

 一方、日本代表は6日にブラジルと対戦し、ネイマールにPKを決められて0-1で敗れた。結果的には“惜敗”という表現が正しいが、内容では点数以上の開きがあったことは言うまでもない。

 日本も韓国もブラジルに勝つのは難しい現実を見せつけられたが、W杯まで約5カ月の時点で自分たちのポジションを確認できたことは良かったかもしれない。

 ただ、韓国は5点も奪われ、日本は1点に抑えた。この点差をどう見るべきか――と比較分析する韓国メディアが多い。

「韓国に5得点も決めたブラジルはなぜ日本には1点しか決められなかったのか」

 こんな見出しを打ったのは、韓国のスポーツ紙「スポーツ韓国」だ。

「日本のほうがうまかったからだろうか。試合内容を見れば、韓国と日本が、ブラジルを相手に完全に違う試合運びをしていたので、スコアに違いが出たのが分かる」

 確かに韓国のパウロ・ベント監督が目指すサッカーはビルドアップで、それを選手も徹底していた。最終ラインからボールをつなぎ攻撃を組み立てていたが、ハイプレスを得意とするブラジルを前にミスをつかれてボールを奪われるシーンが目立った。とにかく守備と中盤の連係でのミスが多いのは、今後の課題だろう。

 ただ、ゴールを奪われながらも韓国は守備に終始することはなく、プレーの意図は一貫していた。流れのなかからFWファン・ウィジョが1点を決めているが、リードされながらもゴールを決められる強さが韓国にはあった。

 一方、日本は守備への意識が高く、堅守はW杯本大会でもある程度、通用するのではないだろうか。ただ、攻撃に関してはスピードのある選手を使ったサイドからのショートカウンターで崩しにかかる形が目立った。

 チャンスにつながることはなく、得点の気配がなかったのが韓国との違いと感じた。堅守を崩されてリードされたあとの策がなければ、W杯でグループリーグ突破は難しいだろう。

「日本はゴール前にバス2台を置いた」

「スポーツ韓国」は日本の戦いについてこう伝えている。

「日本はゴール前にバス2台を置くように“2列守備”をした。試合後に日本の中心選手の吉田麻也も『落ち着いたら少しブロック引いて相手の出どころ待って、ショートカウンターを待ってた』と語っている。日本は完全に引いた状態で、ブラジルがペナルティエリア内に侵入するのを防ぐため必死だった。スペースを与えずに守るので、いくらブラジルとはいえ、攻撃はうまくいかなかった。ピンチになればペナルティエリアの外で無理にファウルしてでもブラジルの攻撃を止めていた」

 そのうえで、韓国の戦い方については「これまで続けてきた後方からのビルドアップとパスとポゼッション中心のサッカーを捨てなかった。これにブラジルは前線から強いプレスをかけ、韓国守備のミスを引き出し、そこから5点を奪った」と伝えている。

 さらに同紙は、日本についてこうも分析している。

「日本はグループEでドイツ、スペイン、コスタリカかニュージーランドと同組に入った。特にドイツ、スペインという優勝候補と当たるため、日本はこれまでのパスサッカーよりも、強固な守備をベースにしたカウンターサッカーを準備しているように見える。つまりブラジル戦は日本にとって、ドイツとスペインのスパーリングパートナーだった」

 ブラジルに対して韓国と日本の戦い方の違いが、「韓国の1-5」と「日本の0-1」の点差を生んだということだ。「日本と韓国のどちらのサッカー優れているのか」という議論は個人的には嫌いでないし、気になるところではある。

 ただ、まずは日本も韓国も大きな実力差で「負けた」という現実をしっかり受け止めるべきだろう。ここからW杯本大会までの5カ月の間に、日本と韓国がどれだけチーム力をあげていけるのかに期待したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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