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「韓国女子ゴルフの“広報モデル”を参考」原英莉花、吉田優利らがJLPGAブライトナーに選出された理由

金明昱スポーツライター
JLPGAブライトナーに選出された原英莉花(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が新たな取り組みに着手した。

 今週開催されている国内メジャー初戦のワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップを前に発表されたのが、“JLPGAブライトナー”という制度だ。

 JLPGAによれば「ツアーの代表としての役割を担い、女子プロゴルフの未来をもっと鮮やかに、もっと美しく輝かせるための活動を行う」というもの。

 簡単に言えば、国内女子ツアーの広報役として、選手たちが様々な活動を展開していくというもの。

 今回、栄えある“初代JLPGAブライトナー”に選ばれたのは青木瀬令奈、原英莉花、吉田優利、大里桃子、勝みなみ、申ジエの6人だった。

 気になったのは選出の基準だが、JLPGAは「シード選手50人の投票と協会の依頼に同意した上位6人」と説明していた。

 つまり、シード選手による投票結果とJLPGA側の依頼に基づいて選ばれた6人ということだ。

 顔ぶれを見るとすべてシード選手なのはもちろんのこと、こうした活動に積極的に関与していこうという好奇心旺盛な選手という印象を受けた。

韓国で広報モデルは“名誉”

 実は今回のJLPGAブライトナーの制度、「どこかのツアーが似たようなことをやっている」と感じた人もいるだろうか。

 それはお隣の国、韓国女子ツアーの「KLPGA広報モデル」である。JLPGAは「立ち上げにあたっては、10年以上続いている韓国KLPGAの広報モデルを参考にしています」と説明していた。

 韓国女子ツアーでは2009年から「KLPGA広報モデル」制度がスタート。これまでイ・ボミやキム・ハヌル、ユン・チェヨン、アン・シネ、ペ・ソンウなど日本ツアーでもお馴染みの選手たちも韓国で広報モデルとして活動している。

 韓国で選出の対象となるのは、基本的にレギュラーツアーのシード選手。2017年からはオンラインでのファン投票も加わり、ゴルフファンにはより身近なものとなった。

 2022年は第14代目となる11選手が広報モデルに選出されたが、2週間でのオンラインファン投票数は2万5920票にも上り、過去最多を更新している。

 要するに、韓国で広報モデルに選ばれるには、シード権保持というゴルフの“実力”に加えて、ファンによる“人気”の2つの要素が必要になる。それに選ばれて嫌な気をする選手は誰一人いないだろう。

 選ばれた選手たちは、試合会場でのサイン会やファンとの記念撮影、ジュニアゴルフレッスン会、KLPGAオフィシャルマガジンやカレンダー、公式YouTube出演や慈善事業など、様々な活動をこなしている。

 ハッキリしているのは、ゴルフ以外の仕事が増えるということだ。

 それでも選手たちはツアー全体を成長させるための活動として捉えており、露出が多ければファンは自然と増える。

 選手にとっては支援してくれるスポンサー企業への恩返しにもなるし、好感度も上がるため、選手自身も“名誉”と捉える側面が大きい。

 ちなみに韓国の選手たちのこうした活動はすべて“ノーギャラ”だ。初めて聞いた時は少し驚いたが、多方面への影響の大きさを考えれば、“お金”以上の価値があるのは言うまでもない。

“斬新”な活動に期待

 そういう意味で今回、JLPGAブライトナーに選ばれた選手たちの顔ぶれを見ると、こうした活動に興味がある選手たちで、それぞれに個性もあると感じた。

 “黄金世代”の原英莉花はカメラを向ければ、様々な表情を見せてくれると評判。

 高身長のモデル体型の彼女には、韓国ではよく表現として使われる“美女ゴルファー”的な要素も持っており、フォトジェニックなプレーヤーとしてツアーの盛り上げに一役買ってくれそうだ。

 “プラチナ世代”の吉田優利はSNSの発信が得意で、インスタグラムは8万8000人、ツイッターは2万3000人のフォロワーを持つ。得意分野を生かした広報活動で、さらなるファンの獲得が期待できる。

 青木瀬令奈はプレーヤーズ委員長としての立場もあるだろうが、より幅広いファンとの交流の接点を増やすなど、率先して活動をこなしていけるイメージがある。

 大里桃子と勝みなみにも、近年ツアーを牽引する“黄金世代”の一員として、さらなる人気獲得のための施策をどんどん仕掛けてほしいと思っている。

 そして、日本ツアー通算27勝の申ジエがメンバー入りしているが、元米ツアー賞金女王で元世界1位という肩書きからしても“強い”選手が入るだけで、JLPGAブライトナーの拍が付く。

メンバー6人は少ない?

 今回は6人“しか”選ばれていないので、少ない印象がある。本来は韓国のようにもう少し増えても良かったかもしれない。来年以降の選出方法や人数は現時点では未定だという。

 もちろんこうした活動に「そもそも興味がない」とか「ゴルフの練習や試合の邪魔になる」と賛同できないという選手もいたかもしれない。

 それでも初代に選出された選手たちの活動が軌道に乗れば、おのずと韓国のように“名誉”と捉える雰囲気が出てくると思う。だらこそ、今回選ばれた選手たちには、ツアー人気獲得に貢献する斬新な活動に期待したいところだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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