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「放射能の食材、旭日旗問題にも対応する」韓国の東京五輪参加は確実か。100日前に公式服装も発表

金明昱スポーツライター
韓国は東京五輪参加へ着々と準備を進めている。写真は2018年平昌五輪。(写真:アフロスポーツ)

 東京オリンピック(五輪)開幕まで100日となった今日(14日)、韓国ではナショナルトレーニングセンターの鎮川(チンチョン)選手村で「2020東京オリンピックG‐100メディアデー」が行われた。

 選手団の合同記者会見には、競泳のファン・ソヌ、体操のヤン・ハクソン、チャン・インファ選手団長、大韓体育会のイ・ギフン会長、シン・チヨン選手村長、卓球のシン・ユビン、フェンシングのク・ボンギルが出席した。

 また、選手団が着用する公式ジャージやスーツも披露され、韓国が東京五輪出場に向けて着々と準備していることをアピールする場にもなった。

 ただ、韓国には今も東京五輪が正常に開催されるのかどうかが未知数で、不安要素も少なくないとの見方も当然のようにある。

 それでも一般紙「東亜日報」は「慌ただしい雰囲気だが、韓国選手団は五輪出場を決めた種目を中心に、本格的な準備を進めている。韓国は現在、21の種目に177人が五輪出場権を得た。まだ、バドミントン、レスリング、重量挙げ、ボクシング、柔道、体操、空手では五輪出場権を確定できていない。大韓体育会では、27の種目から約340人の選手団を派遣する予定」と伝えている。

 ちなみに北朝鮮はすでに東京五輪の不参加を決めているため、開会式と閉会式での南北合同行進や“統一チーム”を結成することはなくなった。

「韓国から食材を空輸する計画も」

 会見でイ・ギフン会長は、東京五輪参加に向けての準備を万全に整えつつも、難しい問題に直面していることについても正直に語っていた。

「東京の事情は困難な点が多い。新型コロナの感染者は増加傾向が続いている。放射能の食材や旭日旗問題など、様々な悪条件に対応しなければならない。外的な問題に揺れることなく成果を出せるよう(選手団を)支援する」

 今まさに韓国で波紋を広げているのが、東京電力福島第1原子力発電所の敷地内にたまる処理水を海に放出する日本政府の方針だ。

 それに加えて、選手村に福島県産の食材を供給するという話が問題視されており、これについてシン・チヨン選手村村長は「一定数の食材を(韓国から)空輸する計画がある。日本で選手村に食べ物を持ち込めるのかはは、まだ答えは得られていない。状況に合わせて準備する」と語っている。

 しかしながら個人的には、こうした話をすることで、再び日韓関係の悪化につながるのではないのかと懸念しているだが……。

韓国は金7個、総合順位は10~15位予想

 では、韓国は東京五輪でどれほどのメダル数と総合順位を予想しているのか。

 シン・チヨン選手村長は「東京で韓国選手団は金メダル7、総合順位は10~15位を予想している」と明かした。

 これは2016年のリオデジャネイロ五輪での総合8位(金9、銀3、銅9)よりも低く設定されている。

「東亜日報」によれば、「スター選手とメダルが有力な種目が少なくなり、コロナ禍による全体的な練習量と国際大会の実戦と経験回数が減り、全般的に戦力が弱まると予想されるからだ。開催国の日本とメダル争いが予想される種目も劣勢になると判断したようだ」という。

 ちなみに、韓国でもっとも金メダルが有力なのは、最大人数の6人(男子3、女子3)が出場するアーチェリーで、そのほかはテコンドー、射撃などがある。

 また、同紙は「男子の野球とサッカーでも、日韓戦になれば、最高のハイライトになる」と展望している。

 欧米メディアでは、今も東京五輪の開催を不安視する声が上がるが、韓国で開催されたメディアデーは、日本にどのように映るだろうか――。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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