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「誰が嘘つきかを明らかに」“性暴行疑惑”の元韓国代表キ・ソンヨンが志願した会見“憤怒”の内容とは?

金明昱スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

いまも韓国内で衝撃の広がりを見せている“いじめ問題”の暴露。

 女子バレーボールの双子人気選手の中学時代の校内暴力が暴露されると、その後は芸能界、ボクシング、バスケット、サッカー界へと過去のいじめ問題がネット上で波及し、今も収まる気配がない。

サッカー界では、元韓国代表のMFキ・ソンヨン(FCソウル)がこの流れに巻き込まれた。

当時、小学校6年生のA氏とB氏が、後輩にあたる小学校5年生のC氏とD氏に対して性的行為を強要したという内容が、ネット上に書き込まれた。

「光州(クァンジュ)出身の元国家代表スター選手で、最近になって首都圏の一流クラブに加入」と記されていたことで、このA氏が「キ・ソンヨンでは?」と世間が騒ぎ始めたのだ。

これについて、キ・ソンヨンは真っ向から反論。しかし、被害者側の弁護人も2月26日に声明を発表し、「我々には明白で決定的な証拠がある」と主張した。

 キ・ソンヨンは正面突破を図るため、試合後の会見で、一連の騒動について再び口を開いた。

スポーツ・芸能スポーツサイト「スポータルコリア」が、27日の全北現代対FCソウルの開幕戦終了後に行われたキ・ソンヨン(FCソウル)の会見で語った内容を紹介している。

 以下は記者の質疑前にキ・ソンヨンが語った内容の全文。

■「確実に言える私とは無関係」

 自らインタビューすることを要請した。みなさんもご存知の通り、私が小学生のときに、性暴力をしたと“性犯罪者”の烙印が押されました。私はうしろに隠れたくなかったし、堂々とこの事について解決したかった。それで会見の場をお願いしました。

 確実に言えるのは、(今回の件は)私とは無関係なことだということ。そのような行為は絶対にしたことがありません。被害者側から出てくるすべてのものは認めません。そんなことはしたこともありません。口にするのも不快な状況です。そして、私が話したいことは、被害者側からの脅迫と懐柔についてです。それについて詳しく伝えます。

 記事が出たあと、“被害者の後輩”という人物から連絡きました。知人の先輩を通して連絡をしたのですが、その後輩は被害者に「あなた(先輩)が加害者なのに、被害者“ヅラ”をするのか。これは違うのではないか」と話したそうです。

 被害者側からは「それではキ・ソンヨン選手とひっそりと会い、謝罪を受けたい」と伝えてきました。私は謝ることがなく、申し訳ないと思うこともありません。「あなたたちが謝罪をしたあと、一連の記事についての説明があれば、善処をして会う考えがある」と話しました。

 私はその後輩と面識はありません。その後輩と被害者は中学時代の先輩・後輩の関係だそうです。それでその後輩は「先輩の直属の後輩だし、同じサッカー関係者として、向こう(キ・ソンヨン側)が悪いと認めれば、兄貴もまた考える(キ・ソンヨン側に謝罪の意向を伝える)余地があるのではないのですか」と言ったので、それで「過ちを認めれば、自分も考える」と言ったそうです。

■被害者側が「キ・ソンヨンは無関係と語る」準備?

 その後、被害者側がインタビューで話すことを決め、「キ・ソンヨン選手はこの事件と無関係だ」と話すことになりました。その後輩を通じて聞いたのですが、被害者側がインタビューするとのことで、他の話もしている最中です。

 私はここで嘘をつく必要はありません。その後輩はすでに放送局とインタビューを終えていて、何が起こったのかを説明することができます。

 自分の意志とは関係なく行うことが脅迫であり、懐柔です。自分が間違っていたので、これにフタをしてくれと言ったこともありません。すべての通話内容を公開することもできます。その後輩も中学校の時の被害者だそうです。

 後輩の友達も被害者から暴行を受けたと言っています。それでもその後輩は良心から被害者を助けようと、仲裁の役割をしています。被害者側がそれを悪用しています。

■証拠があれば出して、なければ謝罪を

 証拠があれば、速くそれを出して解明すればいいことです。証拠の話をせずに違う話を取りあげ、世論を騒がせているのは理解ができません。当時、私と生活した同僚、後輩たちから連絡来ます。私は20年以上も連絡したことがありません。それでも連絡が来ています。自分たちが十分に説明できると連絡してくれています。

 その同僚や後輩たちは、いつでも公開できます。彼らもいつでも助けることができると言ってくれています。証拠があれば公開をし、証拠がなければ謝罪をすべきです。私はいつでもその時に何があったのか、そこでどのような生活し、それがまったくもって言葉にもならないことなのか説明することができます。

 私も初めは待ちました。あまりにも腹が立ち驚きました。一人の人間の人生がかかっていて、私を訴えればその人の人生が崩れることもあります。それなので待ちました。そしてその被害者が出てきて、「まったく関連がなかった」とインタビューすると話しました。弁護士にその言葉を伝えたのですが、連絡がつかないと言います。

 記事がそのまま出れば、すべての国民に嘘をつくことになるので、待ってほしいと言ってきました。言葉にもなりません。理解もできません。自分がやられて、それがトラウマになるなら、謝罪を受けるか最後まで戦うしかありません。

 それなのに相手はなぜ静かに終えたがるのか、理解ができません。果たしてこれが被害者の姿なのかも考えられません。だから、最後まで戦います。真実を明かします。これからも慈悲はありません。

■性犯罪者と見られていることに我慢ならない

 私も自分が性犯罪者と見られていること我慢ができません。強硬に対応しようと思います。私はいつでも、その当時の状況について証言できるたくさんの人たちがいます。私は彼らに連絡もしていません。10~20年間、連絡していない友達がたくさんいます。

 希望するならば、通話記録もすべて公開することができます。私は後ろに隠れたくありません。堂々としていたい。法的にすべての措置をとります。しっかい見守っていただき、第3者の立場として公平に判断していただきたいと思います。いつでもインタビューもできます。

 私が懐柔と脅迫をしたとか、60回も電話をしたとか、そんなことは言わず、法廷で早く真実を明らかにしたい。この一件で、FCソウルやKリーグ、すべてのチームメイトたちが被害を受けています。

 早く整理して、多くの人々が被害を受けないようにしたい。多くの人々が私によって失望感を与えてしまい、本当に申し訳なく思っています。それに対して強硬に対応していきます。最後まで誰が嘘をついているかを明らかにしたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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