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Kリーグは寛容?なぜDV逮捕歴のある元仙台MF道渕諒平を韓国2部クラブは獲得したのか

金明昱スポーツライター
今季はKリーグ2部の元仙台MF道渕諒平(写真・忠南牙山FCサイトキャプチャー)

 昨日、韓国のサッカー関連ニュースに見覚えのある選手の名前を見て、かなり驚いた。

 昨年10月、週刊誌「FLASH」が報じた交際女性への精神的・肉体的暴力行為が明らかになり、ベガルタ仙台を同月に契約解除されたMF道渕諒平のことだ。

 道渕が「Kリーグ2部の忠南牙山に加入した」という韓国内の報道に一瞬目を疑ったが、ユニフォーム姿の写真から事実であることが分かった。

 しかし、なぜ忠南牙山は、道渕の過去の経歴を知りながらも獲得に動いたのだろうか。

 その理由について「スポーツ韓国」はクラブ関係者の声を通して、こう報じている。

「クラブ内部でも何度も議論し、多角的に検討したあと獲得に動いた。社会的物議を醸しだした点については否定できないが、合宿期間に選手の態度を継続的に見守ってきた。面談を通して、選手の変化に意志を感じ、社会的物議を起こしたり、選手及びクラブの品位を落とす行為をしないという確実な回答を受け、契約を進めた」

 また、「クラブも選手たち全員に事前の予防教育を行うなど、事故発生に対する予防に最善を尽くす予定で、選手自身も過去の過ちを反省し、模範となるために努力するだろう」と伝えている。

 つまり、過去の過ちを真摯に受け止め、サッカーに専念する姿勢が見て取れたというのがクラブ側の説明だ。

 記事では、道渕の実力についても「2017年にJ1リーグのヴァンフォーレ甲府でプロデビューし、翌年に27試合2得点1アシストを記録、その後、2019年にベガルタ仙台に移籍し、2シーズンで38試合6得点を決めている。右の中盤が主なポジションで、速い走力で相手の再度を崩すプレーが長所だ。今季はウィンガーとしての役割が期待される」と説明している。

 ちなみに、忠南牙山は20年シーズンから市民クラブ(前身は韓国警察が母体の牙山ムグンファFC)に移行したばかりで、昨年のK2リーグで最下位だった。

 行く当てのない道渕はJ1での経験も豊富で、戦力補強には適任の選手だったというわけだ。

昨年末に蔚山現代と接触?

 この件について、知人の韓国のスポーツ担当記者から問い合わせがあった。

「道渕選手はJリーグではもう完全にプレーできないのか?」と聞かれたので、DVによる逮捕の一件で日本でのプレーは当分難しいのではと伝えた。

 すると「当然そうですよね。しかし、クラブ側は『法的に処罰されていない選手なので大丈夫』と話していました。到底理解ができません」と話していた。

 また、知人の記者は「道渕は昨年末、Kリーグ1部の蔚山現代に入団の打診をして、断られたそうです。今年に入ってから再びKリーグクラブと接触していました」という。

 当然、道渕の過去経歴をクラブ側も知っており、その上で契約を結んだことに、「韓国内でも賛否がある」と話していた。

 日本ではこうした選手の受け入れはあり得ないが、韓国との文化の違いなのだろうか。それともKリーグがこうした選手への受け入れに寛容なのか――。

 いずれにしても道渕にとっては、受け入れてくれるクラブがあったのは救いだ。とはいえ、Kリーグ2部も当たりが激しく、慣れるまでには時間がかかるだろう。

 2月27日から開幕するKリーグ。韓国で汚名返上の活躍ができるか注目したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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