渋野日向子への過熱報道でマネジメント会社が帰郷時の取材自粛を各メディアに通達。その背景とは

今週は試合に出ず地元で休養する渋野日向子(写真:アフロ)

 先週のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで優勝争いし、3位タイに入った渋野日向子。

 全英女子オープンで優勝してから休むことなく2週連続で試合に出続けたことで、会場を訪れるギャラリーが増え、各メディアの取材が過熱している。

 渋野のようなスター選手の登場をゴルフ界は待ちわびていたし、こうした盛り上がりは、高い年齢層に親しまれている印象の強い“ゴルフ”というスポーツに敷居の高さを感じている若い世代にも関心を持ってもらい、楽しさを知ってもらう意味でも大きな意義がある。

 ただ、連日メディアに露出するということは、それだけ渋野自身や関係者に大きな負担がかかるのも事実だ。

 今週開催の「CAT Ladies 2019」(8月23~25日、神奈川県・大箱根CC)に渋野は出場せず、故郷の岡山に戻り、ゆっくりと休養の予定だ。

 そのうえでマネジメント会社「ゾーン」は、各報道機関に対して取材の自粛を書面(8月16日付)で要請した。内容の要約はこうだ。

「(渋野日向子選手は)今週のトーナメント終了後に、岡山への帰郷を予定しております。今回は、全英オープン優勝後初めての帰郷ということで、報道関係の皆様におかれましても、様々な取材を希望されていることと思います。すでに多くの報道関係の方々が、ご家族、ご親戚、ご近所の方々への取材等で、現地まで足を運ばれていらっしゃると聞いています。渋野プロ本人は、全英オープン終了後も休まずトーナメントに出場し、心身ともにかなり疲弊している状況です。また、ご家族もこれまでと状況が一変し困惑しており、何よりもご近所の方々にご迷惑をかけることに関して、とても心配をしております。皆様のご希望もあるとは思いますが、現地での直接の訪問、電話などの取材については、お控えいただきますようお願い申し上げます」

 プロスポーツ選手にとって、戦いの場を離れ、休養時に体力面と精神面のコンディションを整えることは大事な仕事。

 ただ、メディアの立場としては休養中のリラックスした状態の渋野に話を聞きたいとか、写真や映像に収めておきたいと思うのはある程度想像できる。各メディアの報道の過熱ぶりからは、ネタの取り合いになっていることもわかる。

勝みなみの初優勝時も多くのメディアが鹿児島へ

 “渋野フィーバー”を見ながら、2014年当時の出来事を思い出す。

 アマチュア時代の勝みなみが2014年の「KKT杯バンテリンレディスオープン」で史上最年少となる15歳293日での優勝したこときのことだ。

 その翌日には、当時高校1年だった勝みなみが優勝報告会見をするからと、多くのメディアが彼女の地元・鹿児島に押し寄せた。

 勝みなみにゴルフを教えたという祖父や母はもちろん、6歳から中学3年まで通ったという体操教室など、勝みなみに関係する場所への取材攻勢が相次いだ。

 かくいう私も、イ・ボミがブレイクした2015、16年、他誌に追い抜かれまいと本人だけでなく、キャディやトレーナー、マネージャーたちと関係性を築きながら、現場で必死に追いかけていたことがあった。

 実際、マネジメント会社やイ・ボミには、ゴルフ場での練習日の取材でさえも断られたこともある。選手にとっては、練習やプレーに集中できる環境を整えることが最も大事なことだからだ。

 だからといって、選手との関係性が崩れているわけでもなく、イ・ボミはむしろいつでも快く話をしてくれている。

 渋野への取材が過熱してしまうことで、メディア露出を控えなければならない状況が続けば、誰も得をしない。

 選手が疲弊し、プレーに影響が出ることもあるかもしれない。一方で、日ごろからお世話になっているスポンサーやファンのことを考えると、選手にとってはメディアへの露出が減るのは悩ましい。

 渋野には持ち前の若さでこうした状況でさえも、楽しんでもらいたいとも思うが、決して簡単なことではないだろう。

 いずれにしても選手とメディアは、良好な関係性を築きながら、「つかず離れず」で取材を進めるのが一番――。だと思うのは筆者だけだろうか。