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”セクシークイーン“フィーバーも終焉か…!? アン・シネが日本と韓国の狭間で揺れる理由とは

金明昱スポーツライター
撮影/野村誠一 アン・シネ写真集『Shine』(講談社)より

 昨年、日本ツアーに参戦してフィーバーを巻き起こした“セクシークイーン”アン・シネ。

 今季は推薦で4試合に出場したが、中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンの39位タイが最高位で、残り3試合は予選落ちした。今年から導入されたリランキングから後半戦の出場権獲得を狙ったが、思うような結果は残せなかった。

 その後、5月末のリゾートトラスト レディスを最後にアン・シネは日本ツアーに姿を見せていなかったが、今日から開催されるセンチュリー21レディスに推薦で出場する。

韓国ツアーにも出場

 久しぶりに日本のファンの前に姿を見せるのだが、今まで彼女はどこで何をしていたのか。

 調べてみると、韓国ツアー4試合に出場していた。「S-OILチャンピオンシップ」は予選落ち、「起亜自動車韓国女子オープン」は65位、「メッコール・竜平リゾート」は63位、「アシアナ航空オープン」は34位という成績だった。

 日本でも注目のアン・シネだが、韓国でもカメラマンが追う。もちろんいまだに取材の要請も多く、韓国メディア「SBSスポーツ ゴルフ」の取材に対し、アン・シネはこう話していた。

「日本と韓国を行ったり来たりしながら感じるのは、体力的にとても疲れるということです。日本の環境にもまだ慣れたとはいえないので、寂しい感じはあります」

 ただ、日本でブレイクしていることについては素直に喜んでおり、「韓国のテレビにプロゴルファーが出ることはあまりないのですが、日本でいろんな番組に出演する機会ができたことは、とてもうれしかったです」と語っている。

「現時点では悩んでいる」

 気になるのはシネが今後、どのような計画を立てているのかだ。

 日本の所属事務所によれば「(今日から開催の)『センチュリー21レディス』に出場します。その後の9~11月は韓国ツアーに専念する予定」だという。

 ただ、韓国メディアにアン・シネは「現時点でどうすべきかいろいろと悩んでいる」と話していた。

 その悩みの核心は、日本のQT再挑戦とレギュラーツアーへの推薦出場をどのように行使していくのかだ。アン・シネは日本ツアーのTP(トーナメントプレーヤー)単年登録者なので、10月のセカンドQTから出場が可能。それでも、「エントリーするか否かを悩んでいる状態」(所属事務所)という。

 というのも、アン・シネは2019年まで韓国ツアーのシードを持っているため、どっちつかずになるよりは、現状で一つでも多く試合に出られる韓国に専念したいという気持ちがある。

覚悟と結果が必要

 日本ツアーではいくつかの大会から、推薦出場の声がかかっているとも聞いている。10月のセカンドQTと絡めて、日本で数試合出場することも考えられるが、すべては本人の”やる気”と”覚悟”の問題だ。

 「日本は腰掛けだった」と言われないためにも、とにかく今は試合で結果を残すしかない。

 5月に発売された初の写真集『Shine』(講談社刊)は「初版の刷部数は売れる見込み」(事務所関係者)とのことでまずまずの結果。都内の書店で行われたサイン会も盛況だっただけに、日本で姿を見られないのはファンにとっては残念だろう。

 “アン・シネフィーバー”は今年で終わりを迎えるのか。それとも新たに日本のQT挑戦を決意し、出場権を確保する方向に向かうのか。

 日本と韓国の狭間で揺れるアン・シネは、難しい決断を迫られている。

(「週刊パーゴルフ」7月31日号に掲載されたものを加筆・修正しました)

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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