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思わず息を飲んだ…アン・シネの鮮烈グラビアデビューの裏側と撮影秘話

金明昱スポーツライター
アン・シネのインスタグラムより

彼女は本当にプロゴルファーなのだろうか――。

初のグラビアに挑戦した“セクシークイーン”アン・シネを見て、そう思わずにはいられなかった。

26日に発売された「週刊現代」(7月8日号)に韓国の女子プロゴルファー、アン・シネのグラビアが11ページで掲載された。ソウル市内のホテルのスイートルームで行われた今回の撮影に筆者も同行し、インタビューをさせてもらった。

彼女の魅力を最大限に伝えるにはどうしたら良いか――スタッフが導き出したのはナチュラルメイクだった。

いつもゴルフ場ではどうしても濃い化粧の印象が強いアン・シネだが、今回のグラビアは確かに自然なメイクによって彼女の良さが最大限に生かされた部分が大いにある。

さらに周囲が驚いていたのは、自然で大胆なポージングだ。

撮影したカメラマンの野村誠一氏も「女優さんみたいだね。言わなくても自然といろんなポーズができる女子プロゴルファーはいない」と深く感心していたほどだ。

アン・シネが自ら持ち込んだ音楽をかけながら進む撮影はカメラマンとの呼吸もバッチリ。

撮影/野村誠一 Photo by Seiichi Nomura
撮影/野村誠一 Photo by Seiichi Nomura

少しずつ大胆に、セクシーでかっこよさも際立つ洋服に妖艶さが漂いはじめると、誰もが「プロゴルファーじゃない」と口をそろえていた。

しかしながら、こうした“派手”なグラビアが世間に出ると、どうしても「本業のゴルフの実力はどうなんだ」という声が聞かれるのも事実。それを一番気にしているのはアン・シネだった。彼女はこんなことを言っていた。

「こうして私のことをクローズアップしてくださるのはすごくありがたいです。ただ、私はプロゴルファーなので外見ばかりが話題になることには少し抵抗があるんです。だから余計に日本の試合で結果を残さないといけないと強く思います」

そんな不安を抱えながら先週出場したアース・モンダミンカップ。各メディアは「待ってました!」と言わんばかりにアン・シネのウェアを連日ネタにして報じていた。肝心の試合結果は、通算7アンダーの16位タイ。

試合翌日の発売となった同誌のグラビアも、なんとか試合で結果を残したことで面目を保った。今ごろアン・シネも韓国でホッと一息ついているところだろう。

”プロ意識”と”日本のマナー”

撮影が終わったあと、アン・シネにインタビューする機会があったが、そこで印象に残った話が2つあった。

一つは彼女が持つプロ意識について聞いたときだ。

「プロゴルファーとは、自分のことだけを考えたり、両親に喜んでもらうためにプレーするわけではありません。国を代表し、協会を代表し、自分のスポンサーを代表しているわけです。マナーや知識も必要です。韓国選手には英語、日本語、中国語を一生懸命に勉強している人たちがたくさんいます。韓国の選手たちがグローバルに、インターナショナルに活躍する選手ということを韓国の協会が理解しているので、そうした教育を促す雰囲気が全体にあります」

確かにイ・ボミやキム・ハヌルなど、近年日本ツアーで活躍する選手は、時にファンに対するマナーの良さが話題に上がる。韓国ではツアープレーヤーに対してそうした教育を施しているのだという。

撮影/野村誠一 Photo by Seiichi Nomura
撮影/野村誠一 Photo by Seiichi Nomura

もう一つは、日本のギャラリーのマナーに驚いたというエピソード。

「日本のギャラリーが持っているマナーは、世界のどの国に比べてもトップクラス。相手に配慮する気持ち、あいさつする姿もすごく丁寧。これは国民が幼いころから学んできたものなのかなと感じました。それこそ、見ているほうがものすごく気持ちよくなります。それが私にはとても心地よく、自分もそうありたいし、日本の文化を学んでいきたいです。」

一呼吸おいたあと、こう言ってきた。

「私は本当に心の底から感じていることで、こういう言葉をワザと作っていると思わないでほしいです。試合中にとても驚いたことがあるのですが、選手にカメラを向けている人がいると、周囲が『ダメダメダメ!』って言うんですね。本来はそういうのを止めるのは、専属キャディさんの仕事なのですが、日本ではそういうことがほとんどないので、とても楽だと言っていました。日本のギャラリーは、選手が嫌がる行為をやらないんです。そうした行動一つを見ただけでも、すごく胸にこみ上げるものがありました」

とにかくアン・シネは今、日本でのプレーが楽しみで仕方がないようだ。

「日本のコースが自分に合っている」し、一方で居心地の良さもあるのだろう。

今季は当初、韓国「7」、日本「3」の割合でのツアー参戦を表明していたが、それを変更して日本ツアーに重点を置く計画との噂もある。

“アン・シネフィーバー”はどこまで続くのか。次はどんな話題を提供してくれるのか楽しみだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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