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八千草薫ほか7人の名優たちの遺作に。倉本聰の「やすらぎの郷」「やすらぎの刻〜道」制作奮闘記

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
「やすらぎの刻〜道」クランクアップより 写真提供:テレビ朝日
「やすらぎの刻〜道」クランクアップより 写真提供:テレビ朝日
「やすらぎの刻〜道」クランクアップより 写真提供:テレビ朝日

石坂浩二、浅丘ルリ子、加賀まりこほか日本屈指の老人俳優たちが大集合して、倉本聰渾身の悲劇と喜劇を自由自在に演じきった「やすらぎの郷」(16年)の続編「やすらぎの刻〜道」(19〜20年)は昨今稀な1年間のドラマだった。合わせて4年半のプロジェクトの間に亡くなった俳優たちは8人。まさに人生と重なるドラマを書いた倉本聰と伴走したテレビ朝日・中込卓也プロデューサーに、「やすらぎ」シリーズの意義を聞いた。

大河ドラマの2倍あった

――まず、クランクアップしたときの率直なお気持ちをお聞かせください。

中込  無事、撮影が終わったことにほっとしました。2018年の10月にクランクインしてから、キャストとスタッフとお正月を2回も一緒に過ごすなんてことはなかなかあることではありません。途中でこれは本当に終わるのだろうかと不安になったこともありました。手探りで一年、作り続け、ついにゴールにたどり着いたときは、体中から力が抜けましたし、感傷的にもなりました。

――一年続くドラマは大河ドラマくらいです。偉業を達成されましたね。

中込  打ち上げで流すビデオ用に制作に関するいろいろなデータを集めたら先生の生原の原稿枚数が5,500枚、総キャストが402名、お弁当が1万9千個でした。そして、1年間の放送時間は20分×249話で約67時間。大河ドラマの倍くらいありました。最近の連ドラはワンクール10話として7~8時間くらいですから、連ドラ6本分ぐらい一気に作ったわけで、これはちょっとすごいかも。なんといっても倉本聰先生が5500枚の脚本を、撮影前に完成させてくださっていたことが驚異ですよ。前作「やすらぎの郷」もそうでしたが、途中で死んだら誰にも代わりに書いてもらえないから、クランクイン前に書き上げておくことが責任だっておっしゃるんですよ。

――そもそも、1年間のドラマをやることにしたいきさつは。

中込  「やすらぎの郷」が各方面で高い評価をいただいたので、オンエア中から「先生、これ続編いけますよね」と持ちかけたところ、先生は「いや、この話はやり切ったからもう続ける気がない」とおっしゃいました。とはいえ、このシルバータイムと銘打った昼の帯ドラマ枠は先生が生み出したようなものだし、なんとかまたやってほしいと思って、どういうものがいいか模索しました。あるとき僕が、先生の舞台「屋根」が好きだと話したら、先生が「屋根」だったら“1年間”書けるとおっしゃって、テレビ朝日開局60周年の目玉として1年間やることに決まりました。3年前の11月、山梨へシナハンに行きました。「屋根」は北海道を舞台にした戯曲ですが、北海道ロケは難しいため、東京から行きやすいところで山梨が浮かんだのです。シナハンしながら、1年間、「屋根」を原作としたドラマをやって、なおかつ、終わったら舞台もやろうという話になって盛り上がったので、これはうまく進みそうだと思った数週間後に先生から、やっぱり1年は、エピソードの分量的に無理だと連絡がありました。そのとき僕はとっさに「じゃあ、半分『郷』をやりませんか」と提案したんです。「幸いにして『郷』の主人公は脚本家です。菊村栄が書いた作品が『道(前身は「屋根」)』で、『郷』と『道』を行ったり来たりしながらやっていけば、1年間のお話ができるのではないでしょうか」と持ちかけました。じつは、昔、物語の中で別の物語が進んで、徐々に2作が密接に関わってくるようなものができたら面白いと思っていたことがあったんです。でもそれは普通の連ドラじゃなかなか難しい。次の回まで1週間空くと、前の回のことを忘れちゃうから、2作がごっちゃになっちゃって、わけがわからなくなっちゃうだろうと。でも昼の帯ドラマは毎日やるから、普通ではやりにくい試みも、もしかしたらできるのではないかと考えたんです。そうしたら、クリスマス頃、先生に呼び出しを受けて富良野まで伺うと、いきなり9話までの脚本を渡されました。「やすらぎの郷」の菊村栄(石坂浩二)のモノローグから始まって、読み進めていくと、9話目の最後で、その菊村が「道」という脚本を書き始めるんです。「こういう構成でやって、面白いのか」と聞かれて「面白いと思います」と答えたら「そうか」と言ってさらにあと6冊、3週分、15話まで渡されました。それだけもう書いてあったんですよ。僕は、10話から「道」の主人公・公平(風間俊介)が後の奥さん・しの(清野菜名)と出会いまで一気に読んで、感動しちゃいましたよ。

最初は不評だったふたつの物語が交錯する構成

――「郷」と「道」が行ったり来たりする流れに関して、視聴者の反応はいかがでしたか。

中込  最初の3ヶ月くらいは視聴者の皆さん、大混乱していました。「郷」のファンの方が圧倒的に多いから、3週目でいきなり戦前の山梨の山の中の話になって、しかもオーディションで合格したフレッシュといえば聞こえがいいけれど、馴染みのない俳優ばかり出てくる。早くお馴染みのおじいちゃん、おばあちゃんの話に戻せ、みたいな苦情がいっぱい来ました。ほとんどの人が、風間俊介さんは石坂浩二さんの若い頃をやっていると思いこんで、栄が自分の子どもの時代を書いていると誤解していたし(笑)。5、6月は反応が厳しくて、やっちまったかな……と思っていたんですが、それが7、8月ぐらいになると様相が変わってきました。視続けていると、だんだん内容がわかってきたんですね。クレームが減ったんです。むしろ、どちらにも好意的になってきました。

――「道」で戦争がはじまって、たくさんの人が亡くなっていく物語になっていくと、物語の力に引き込まれます。

中込  前作からそうなのですが、話の中で誰かが亡くなったときだけ、タイトルバックに雨が降るようになっていまして。徴兵を拒んだ三平が自殺して、翌日、公次の戦死の報が届き、3日目に紀子さんという公一の恋人も亡くなって……3日連続雨が降りました。魔の3日間。ほんとにつらい流れですが、そのぐらいから、お客さんの声がどんどん熱くなっていったことは感じました。それでいて、その直後に「郷」に戻ると、すごくくだらない話になるんです。幽霊に化けてヒトを脅かしたり、偽札で賭場やったり。この飛距離の長さ倉本聰作品の真骨頂だと思います。

ーーそこからはずっと好調期が続きましたか。

中込  そこからは安定しました。

――「道」は昭和の戦争編のあと、公平たちが大人になって俳優も代わる(橋爪功、風吹ジュン)平成編になりますが、それも受け入れられましたか。

中込 「道」の昭和編と平成編は主役を演じる俳優が違うので、言ってみれば、「郷」と「道」2本でドラマ3本分です。だから、平成編になった途端に、また違うドラマがはじまったと思われて、視聴率が変動するかもしれないと気になっていましたが、変わらなかったんですよ。

――視聴習慣が根付いたということでしょうか。

中込  やっぱりこの時間は自然とテレビ朝日を見ようと思ってもらうことは、とても大事ですよね。

「やすらぎの刻〜道」現場風景 右から石坂浩二、中込プロデューサー、倉本聰 写真提供:テレビ朝日
「やすらぎの刻〜道」現場風景 右から石坂浩二、中込プロデューサー、倉本聰 写真提供:テレビ朝日

主人公の浮気描写は必要なのか

――平成編もいいお話ですが、橋爪功さん演じる公平が、妻・しのがいるにもかかわらず、飲み屋の女将(高橋由美子)に恋します。昭和編で、公平としのがすごくいい夫婦だったのに、このエピソード要る?と思ったんですよ。というのは、視聴者には高齢女性が多いと思うので。

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中込  ドラマのあとに放送する『ワイド!スクランブル』で毎日、毎日、大下容子アナウンサーがコメントしてくれているのですが、浮気の回では大下さんも公平に嫌悪感を示してました(笑)。

――いまの時代に嫌われることをあえて描くんだなあとびっくりしました。「郷」のときは、バーテンダーのハッピーちゃんが暴行を受ける回がありましたし。

中込  あれも罵詈雑言をお客さんからたくさん浴びました。でも描かれていることはすべて倉本先生のリアルなんですよ。「やすらぎの郷」も「やすらぎの刻〜道」も聖人君子や歴史上の英雄の話ではなく、山梨の百姓の話です。最初、イノシシに追いかけられて登場した少年・公平が、自殺した兄・三平の忘れ形見・剛とその母であるしのを一生面倒見ることにしたことは大きな決断であり、物語になり得るものだと思うんです。公平ってほんとにずる賢くて駄目なやつなんですよ。そんな彼が生涯を通して素晴らしかったのは、剛がほんとは三平の子どもだということを隠し続けたことです。にもかかわらず、晩年、うっかり漏らしてしまう。それも老いの悲しみの表現のひとつです。公平のやっていることは、倉本先生がお感じになっている老いのリアルだと思います。

――本当は不倫だってなんだってドラマとして描いていいはずですが、なんだか最近、コンプライアンスに気を使って避けるようになっています。倉本さんは自主規制しないんですね。

中込  そういう自主規制が、基本的に「やすらぎ」シリーズにはほぼなかったです。例えば、登場人物はたばこを吸い続けました。どんなに苦情が来ても吸い続けた。倉本先生はそう書き続け、現場もやめましょうとは言わないわけです。今回の公平の展開もそうだし、孫がバキュームカーの掃除をするエピソードも、昼食時にバキュームカーを登場させて、登場人物に内部の掃除させる場面を描くのはいかがなものかと普通は思いますよ。でも先生は、バキュームカーの掃除がいいと思うと言うから、わかりました、じゃあやるけど、プロデューサーとしてバキュームカーの中は絶対画にしませんからねと申し上げました。それくらいの戦いはありますが、基本的に先生にこれはやめてくれとは言わないように心がけていました。公平が女将に恋して、『駅 STATION』(81年)の高倉健さんを気取る場面は、『駅 STATION』と全く同じ構図でやりました。橋爪功さんの芝居と映画のシーンをOLさせようと、『駅 STATION』の画像を借りるに当たり、本来、禁止されているドラマ映像とのOLの許可を得ました。先方もそこは理解を示してくれました。脚本が同じ倉本先生だからできたことです。他にも倉本聰が書いているのだから、と許される部分は正直ありますからね。

この世の不条理を描き出す

――倉本さんのような方が、ここまでやっていいんだってことを見せ続けてほしいんですよね。バキュームカーのエピソードは、公平の浮気の贖罪に孫がバキュームカーの掃除をするという、これほど理不尽なことがあるかというものでした。

中込  公平のナレーションで、「こいつ(孫)を抱きしめてやりたかったが、臭いからやめた」って言う。こんなひどいナレーション、あります?(笑)

――このやりきれなさと、いま日本や世界を覆う、やりきれなさとがつながって見えてくる。

中込  これぞ倉本ワールドですよね。思えば『北の国から』だって、いっぱいの理不尽が詰まっていました。UFOが出てきたり……。あの倉本ワールドは健在なんですよ。

――3.11のことも描かれました。

中込  戦後、公平としのにたくさん子どもができて、幸せな生活が続きます。でも、それだけで人生は終わらない。3.11に清野さん演じるしのぶが被害に遭い、行方不明になります。現実の3.11にドラマの3.11が来るように、間に総集編とか入れながら調整しました。ドラマは彼女の捜索を続けた9年後まで描きました。余談ですが、清野菜名さんは女優人生の中で、津波に飲まれる役が3度目になるんですよね。「郷」と朝ドラ「半分、青い。」(17年)と今回。もとをただせば、「郷」で彼女が演じたアザミが津波の被害に遭っているということが「道」の下敷きにあって、だから、しのを演じた清野がしのぶも演じなきゃいけないんです。清野さんはこのシリーズの中で4役を演じたことになります。同時期、「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(日本テレビ)でも双子の姉妹とパンダと3役でしょう。日本一の多役女優ですよ。

――「やすらぎの刻〜道」をやるうえで、震災については描こうと考えていたんですか。

中込  そうです。「道」の原作「屋根」はもう20年ぐらい前に書かれたもので、震災については書かれていませんでしたが、ドラマ化にあたり、ぜひ現代まで書きたいということで、構成をし直しました。その段階では、平成の次が令和だと決まっていなくて、新年号のことは盛り込めませんでしたが。震災とその後を描いたことで、「道」はハッピーエンドとは言えません。「刻」も、残酷なまでに「死」というものに向かっていく時間を描いています。仲間がどんどん亡くなっていく中で、菊村が自分の最後も見据え、残りの人生どう生きるかが描かれます。

――重い話になるのでしょうか。

中込  とはいえ、救いも描かれていると僕は思います。確か前作も、終わってみれば「実はこれは壮大なラブストーリーなんです」とお話しした記憶がありますが、今回もそこは同じです。不思議なめぐり合わせがあって、「やすらぎの刻〜道」の構想を練り始めた段階では八千草薫さんがしのの晩年を演じる予定でしたが、ご病気で降板されることになって風吹ジュンさんに代わった結果、菊村栄は亡くなった妻(風吹ジュンが演じた)をしの役にして脚本を書く構造になったんです。結果的に菊村の亡き妻への壮大なラブレターと解釈できるようになったんですね。そこにある希望を支えに、僕はこの作品を1年間やりきることができたようにと思います。

7人の遺作になった

――八千草薫さんが降板され、オンエア中に亡くなったことは残念でした。公式サイトを見ると「出演された◯◯さんが亡くなられました」という文章がいくつも並んでいます。

中込  お悔やみだらけです。「やすらぎの郷」の野際陽子さんからはじまって、8人亡くなりました。津川雅彦さん、佐々木すみ江さん、織本順吉さん。「やすらぎの刻〜道」で八千草さん、梅宮辰夫さん、山谷初男さん、中村龍史さんですね。打ち上げは「やすらぎの郷」も「刻」も黙とうから始めました。こういうことはなかなかないことだと思います。

――みなさん、「やすらぎ」シリーズが遺作ですか。

中込  遺作じゃなかったのは津川さんだけかな? 

――皆さん、これが最期と思って臨まれていたのでしょうか。

中込  最期と思っていたであろうと思われるのは八千草さんと梅宮さんでしょうか。梅宮さんは「これで最後だ」とセリフでも言っているんですよ。

――おふたりは幽霊の役でした。倉本さんは何か察して書いていらっしゃるのでしょうか。

中込  八千草さんの場合は、“姫”と言う役はそもそも前作「郷」の中で亡くなっている設定ですから、当初から幽霊で出演していただく予定でした。降板のお話も先々の治療のための降板で、いまはお元気だというから、「じゃあ、撮れるだけ撮りません?」とお誘いしました。そして「先生、なんか書きませんか」と頼んだら、もう翌日には5シーン書いていた。どこのシーンの合間に入っても大丈夫なような5シーンになっていました。それを自分で携えて東京に来て、直接、説明すると、八千草さんのご自宅を訪ねられました。八千草さんはものすごく喜んで、撮影も真摯に取り組んでくださいました。現場には、清野さんも風吹さんも駆け付けて、みんなが見守り、なにか厳粛な時間が流れていましたよ。野際さんのときも、本人が闘病しながらも、絶対最後までやるとおっしゃいましたが、来る車中では酸素吸入器付けているほどの状態だったんです。でも車を降りる瞬間に全部外し、何事もなかったように控え室で準備してカメラの前に立つ。あらかじめ監督たちに、セリフが飛ぼうが、何かが見切れようが、必ず1回でOKにしてと言ってありましたが、野際さんも石坂さんも100%セリフが入っていて、完璧に1回でOKでした。皆さんの最後の撮影がどれも、俳優としてのこれまでのキャリアと矜持を見せつけられるものでした。八千草さんの最後のシーンが3月26日に放送されます。

――その瞬間に全てを懸けることが芝居の醍醐味ですよね。倉本さんが愛情ある脚本を書いて、俳優がそれに応える。これもまたラブレターみたいですね。

中込  このシーンは自分のために書いてくれた見せ場だと思って、皆さん、やっていますよね。とはいえ、関わった方が亡くなることは胸が痛いです。ただ、あるベテランのマネジャーさんから、最後まで役者をやり切れたのだから、皆さん、ほんとに役者冥利(みょうり)に尽きたと思いますよと言われ、救われた気持ちになりました。しかも倉本聰という大作家の脚本で終えられたことは、どれだけ幸せだったかって。それはこの作品のひとつの意義ではないかとも思えてきますよね。「やすらぎの郷」を始めたきっかけは、老人たちが見るドラマがないから、朝か昼にドラマをやりたいと先生がおっしゃったことでしたが、もうひとつ、キャリアのある老人俳優がその才能を存分に発揮する場を作ることでもあったんです。いま、主流のドラマでは、お年寄りはひとりかふたり出てくればいいほうです。だからなのか、同い年の石坂さんと橋爪さんは今回、初共演なんですよ。個性は違うけれど同年代で知性的な俳優がふたり共演できる場はなかなかないわけです。里見浩太郎さんと石坂さんも初共演でした。ちなみに、里見さんと石坂さんが水戸黄門対決です。金田一耕助対決にするか、水戸黄門対決にするかって悩みました(笑)。

1年間の長期ドラマの魅力とは

――平均年齢は何歳でしたか。

中込  80歳を超えているんじゃないかな。前回が76.いくつかでした。今回は計算しなかったですが、前作から4年経過しているから、平均年齢も自ずと上がりますよね。丘みつ子さんや笹野高史さんなど若い人も入れて若返りももちろん図ってはいたのですが……。

――笹野さんで若返り……。

中込  「郷」の老人組では最年少ですよ。

――すごい話ですね。

中込  風間君が何をやっても「郷」チームにはかなわないと言っていました。彼らはアベンジャーズですから!とね。

――最後に改めて、昼の帯ドラマ枠を新たに作り、最終的に1年間のドラマを実現したことを振り返ってどんなお気持ちでしょうか。

中込  無事に終わって良かったなというだけですね。まだ舞台『屋根2020』が残っているので、それが終わるまでは完全に落ち着かないですし。僕は『屋根』という舞台が大好きなんですよ。だから、それをもう一度上演できることが嬉しくて。先生は十何本か戯曲をお書きになっている中で、『屋根』には特別な思いがあるとおっしゃっています。それをドラマ『道』にしたいま、『屋根』もぜひ観て、原点の凄さを知ってほしい。ドラマに関して言うと、とにかく1年、ほんとに見続けてくださった方々には、お疲れさまでしたと言いたいです(笑)。何人いるかわかりませんが、1話も欠かさず見てくださった方には感謝の思いでいっぱいです。そういう方々に納得していただける最終回をお届けすることが大事だと思って、最終回(3月27日・金)は25分拡大して、1時15分までやります。前回の「やすらぎの郷」の最終回では関わった人すべてのテロップを流しました。あれ三百何十人いたんです。今回もそれをやります。641人います。そこで流すためにこれまでの映像をチェックしたら、2分ぐらい見ただけで、こみあげるものがあって泣いてしまいました。やっぱり1年間、ドラマをやると思い出もかなりのものになりますね。

――昼の帯ドラマ劇場は、「やすらぎの郷」「トットちゃん!」「越路吹雪物語」「やすらぎの刻〜道」で一旦終了とのことですが、今後1年間のドラマはまた現れるでしょうか。

中込  そういう枠をまた作れるかわからないですが、ある作家さんが、これだけの長い時間を書いて、なおかつ毎日それを世に出せることはものすごく魅力的だと思うと言ってくれたんです。一度でも長い尺のものやると、そこでしかできないことを知るから、その魅力みたいなものにもしかしたら取りつかれるのかなっていう気はちょっとしているんですよね。

「山梨ロケの現場でおどける主演女優とプロデューサー」(清野菜名) 写真提供:テレビ朝日
「山梨ロケの現場でおどける主演女優とプロデューサー」(清野菜名) 写真提供:テレビ朝日

Takuya Nakagome

1964年生まれ。制作会社を経て、2001年、テレビ朝日入社。代表作に「菊次郎とさき」シリーズ、「ハガネの女」シリーズ、宮藤官九郎が脚本を書いた「未来講師めぐる」、「11人もいる!」などのコメディから、「名探偵キャサリン」シリーズ、「ダブルス ふたりの刑事」など推理ものまで幅広く手がける。大学時代、免許をとると、まっさきに北海道にへ行き、レンタカーで「北の国から」ロケ地巡りをしたほどの倉本聰ファンである。「道」の舞台・山梨は両親の出身地。

中込プロデューサーのタイトルバックのこだわり

中込さんはタイトルバックに凝って視聴者に楽しんでもらおうとしてきた。「やすらぎの刻〜道」では春、夏、秋、冬4パターンあり、誰かが亡くなったときだけは雨にした。3月からは一ヶ月間限定の新しい春バージョンになっている。タイトルバックの中心にある木の下には女性がいて、律子が菊村を見守っているイメージだったそうだが、意外と気づかれてなかったため、デザイナーに頼み、新・春バージョンではもっと目立つようにちょっとだけ木から外に出してもらったそうだ。要チェック!

やすらぎの刻〜道

テレビ朝日 毎週月〜金 ひる12時30分〜12時50分 

最終回スペシャルは 3月27日(金)ひる12時30分〜13時15分

ドラマ「やすらぎの刻~道」の元になった名戯曲「屋根」を上演

85歳倉本聰が本気モード全開の舞台'''「屋根2020」

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日本人が歩んできた道のりを見つめ家を守り続けた「屋根」が語る、小さな家族の物語。「令和」の新時代の今こそ見つめ直したい、日本の原風景とその変遷。

【富良野公演】富良野演劇工場

公演日:2020年4月3日(金)~4月11日(土)

入場料:全席指定 前売¥4,500(税込) /当日¥5,000(税込)/演劇工房会員¥4,000(税込)※未就学児入場不可

主催:NPO法人ふらの演劇工房

企画制作:F.C.S.

お問合せ:富良野演劇工場 TEL:0167-39-0333

【東京公演】EXシアター六本木

公演日:2020年4月17(金)~4月26日(日)

入場料:全席指定 7,800円※未就学児入場不可

主催:テレビ朝日

企画制作:F.C.S.

お問合せ:サンライズプロモーション東京 TEL: 0570-00-3337

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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