山田哲人は宣言せずに残留か。過去にFA宣言したヤクルトの生え抜き選手は……

2004年、ホワイトソックスとの契約を終えて国内で会見を行った高津(筆者撮影)

 11月17日、日本野球機構(NPB)は今年のフリーエージェント(FA)有資格選手97名を公示した。このうち東京ヤクルトスワローズに所属している選手は14人いるが(戦力外通告を受けている選手を含む)、その中で去就が注目されるのが山田哲人(28歳)であり、小川泰弘(30歳)、石山泰稚(32歳)の両投手である。

 山田は今シーズンこそコンディション不良もあって不本意な成績に終わったものの、これまでに3度の打率3割・30本塁打・30盗塁を達成した「ミスター・トリプルスリー」。小川は8月15日の横浜DeNAベイスターズ戦(横浜)でノーヒットノーランを達成するなど、今季はチームで唯一の2ケタ勝利をマーク。石山はシーズンを通して守護神を務め、20セーブ、防御率2.01の好成績を残している。

 いずれも生え抜きの3人は今年、初めて国内FA権を取得したわけだが、国内・国外を問わず過去にFA権を行使したヤクルトの生え抜き選手は、どのくらいいるのだろうか?

ヤクルトのFA宣言第1号は広沢克己。池山隆寛は宣言残留

 1993年にスタートしたFA制度で、初めてこの権利を行使したヤクルトの選手が広沢克己(現・広澤克実)である。四番バッターとして1992、93年のセ・リーグ連覇、そして1993年の日本一に貢献した彼は、1994年に権利を取得するとこれを行使。翌1995年からは当時の長嶋茂雄監督率いる巨人に移籍した。

 1995年には広沢と共に「イケトラコンビ」と呼ばれた池山隆寛(現ヤクルト二軍監督)がFAを宣言したが、こちらは新たにヤクルトと3年契約を結んで残留。1998年の飯田哲也も同様に、FA宣言をした上で新たに球団と4年契約を結んでいる。

 ヤクルトの生え抜き選手で、広沢に続いてFA移籍したのが、2000年の川崎憲次郎である。2ケタ勝利を4度マークし、1998年には17勝でセ・リーグ最多勝、沢村賞に輝いた川崎は、メジャーリーグへの移籍を視野に入れていたものの、最終的にはこれを断念。1年のオプション付きの3年契約で中日ドラゴンズに入団した。

生え抜きとして初めてFAでメジャー移籍した高津臣吾現監督

 2003年には、チームの絶対的な守護神であった高津臣吾(現ヤクルト監督)がFA権を行使し、年明けにメジャーリーグのシカゴ・ホワイトソックスと契約。現地でサインを済ませ、日本に帰国して行われた記者会見には筆者も出席したのだが、「前だけを見据えて、半歩ずつかもしれないですけど前進していきたい」と話す決意に満ちた表情が印象的だった。

 翌2004年は、その3年前に日本一になった時の一番・真中満と三番・稲葉篤紀がFAを宣言。真中は他球団でのプレーも考えていたというが、オファーがなく残留。のちに「当時は環境が良すぎてぬるま湯だと思いましたし、刺激が欲しかったんです。移籍はできなかったですけど、そういうチャレンジは今の(指導者としての)自分にプラスになっているのかなと思います」と述懐している。

 一方の稲葉はメジャーへの移籍を目指したもののオファーがなく、翌2005年2月になって北海道日本ハムファイターズと契約。2007年には首位打者に輝き、2012年には通算2000安打を達成するなど、42歳で引退するまで新天地で息の長い活躍を続けた。現役引退後は2017年から野球の日本代表監督を務めている。

生え抜きのFA移籍は今のところ五十嵐亮太が最後

 2008年には最短で累計7年(出場選手登録通算1015日)で取得できる国内FA権と、累計9年(同1305日)に達すると取得できる海外FA権に分けられ、2009年に五十嵐亮太がこの海外FA権を行使してメジャーリーグのニューヨーク・メッツに移籍。その後は2015年に田中浩康(現DeNAファーム内野守備走塁コーチ)が宣言残留するまで、FA権を行使する生え抜き選手は現れなかった。

 ヤクルトでは田中の後にFA宣言した選手はおらず、今のところ生え抜き選手によるFA移籍は、メジャー、福岡ソフトバンクホークスを経て、昨年からヤクルトに復帰し、今シーズン限りで現役を引退した五十嵐が最後ということになる。なお、ここでは2007年の石井一久(現東北楽天ゴールデンイーグルスGM兼監督)のような「出戻り組」や2014年の相川亮二(現読売ジャイアンツバッテリーコーチ)のような「移籍組」は除き、FA宣言の時点で「生え抜き」だった選手のみを取り上げている。

 FA権を行使できるのは、日本シリーズ終了後、土・日・祝日を除く7日以内。山田に関しては今日、11月19日付のスポーツ新聞各紙が「FA権を行使せず、残留する見通し」と報じているが、小川、石山はどのような決断を下すのだろうか。

(文中敬称略)