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ヤクルトが前ソフトバンクの五十嵐亮太と合意。メジャーリーグ経験者の復帰は球団史上5人目

菊田康彦フリーランスライター
2012年、ヤンキース時代の五十嵐。この翌年にソフトバンクでNPB復帰(写真:ロイター/アフロ)

 東京ヤクルトスワローズが、福岡ソフトバンクホークスから自由契約になっていた五十嵐亮太(39歳)の獲得について、基本合意に達したことが明らかとなった。

 千葉・敬愛学園高からドラフト2位で1998年にヤクルトに入団した五十嵐は、2004年には最優秀救援投手賞に輝くなど、中継ぎ、抑えで活躍。2010年にFA権を行使してニューヨーク・メッツに移籍すると、ピッツバーグ・パイレーツ、トロント・ブルージェイズ、ニューヨーク・ヤンキースを経て2013年にソフトバンクで日本球界に復帰した。

 2014年にはパ・リーグ最多の44ホールドをマークし、ソフトバンクの日本一にも大きく貢献。今年は腰痛もあって登板数はNPBでは自己最少の23試合に終わったものの、日本での通算777試合登板は歴代7位、現役投手では最多となる。

 その五十嵐は来季、10年ぶりにヤクルトのユニフォームに袖を通すことになるが、過去にもメジャーリーグでのプレーを経てヤクルトに復帰した選手が4人いる。

石井一久(2002年メジャー移籍、2006年ヤクルト復帰)

 ヤクルトで5度の2ケタ勝利をマークし、最多奪三振2回、最優秀防御率1回の実績を残した石井は、2002年にポスティングでロサンゼルス・ドジャースに入団。ニューヨーク・メッツに移籍した2005年までの4年間でメジャー通算39勝を挙げた。

 2006年にヤクルトに復帰してNPBでは自身6度目の2ケタ勝利を記録するも、2008年にFAで埼玉西武ライオンズに移籍し(人的補償は福地寿樹)、2013年限りで現役を引退。今年9月には東北楽天ゴールデンイーグルスのGMに就任した。

高津臣吾(2004年メジャー移籍、2006年ヤクルト復帰)

 ヤクルトの守護神として4度の最優秀救援投手賞に輝いた高津が、FAでシカゴ・ホワイトソックス入りしたのは2004年。翌年途中でメッツに移籍し、メジャー2年間で通算27セーブを挙げて2006年にヤクルトに復帰した。

 古巣復帰後も2年で計26セーブをマークしたが、2007年限りで戦力外通告を受けて退団。その後も海外で現役を続け、2011年からはBCリーグの新潟アルビレックスBCでプレー(2012年は兼任監督)した後、2014年にヤクルトの一軍投手コーチに就任した。現在はヤクルトの二軍監督。

岩村明憲(2007年メジャー移籍、2013年ヤクルト復帰)

 岩村は強打の三塁手として前出の石井、高津とともに2001年のヤクルト日本一に貢献。2004年にはシーズン44本塁打の球団タイ記録(当時)を樹立し、2007年にポスティングでタンパベイ・デビルレイズに入団した。球団名がレイズに替わった翌2008年はチーム事情から二塁手に転向し、トップバッターとしてチームを初のワールドシリーズ出場にけん引した。

 その後はメジャー2球団を経て、2011年に東北楽天ゴールデンイーグルスでNPBに復帰。2013年には7年ぶりにヤクルト復帰も2年で戦力外となり、BCリーグの福島ホープス(現レッドホープス)で選手兼任監督に就任した。2017年限りで現役を退き、現在は代表取締役社長兼任監督。

青木宣親(2012年メジャー移籍、2018年ヤクルト復帰)

 通算3度の首位打者を獲得し、NPB史上唯一、シーズン200安打を2度記録している“安打製造機”。2012年にポスティングでミルウォーキー・ブルワーズに入団したのを皮切りに、昨年までの6年間にメジャー7球団でプレー。今春のキャンプ中にヤクルトに復帰すると、主に二番打者としてセ・リーグ4位の打率.327をマークした。

 ヤクルトでは野手最年長の青木は、復帰1年目の今季は戦力としてはもちろんのこと、チームが苦しい時にはナインを鼓舞するなど、リーダーとしても大きな役割を果たした。来年5月で不惑を迎える五十嵐も、中継ぎとしてだけでなく、若手の良きお手本としても期待される。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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