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GWの神宮球場にやってくるメジャーリーグの“レジェンド”とは?

菊田康彦フリーランスライター
自由奔放なパフォーマンスで人気のフィリーズのマスコット、フィリー・ファナティック(写真:ロイター/アフロ)

 世の中は、いよいよ今日からゴールデンウィークに突入。最大で9日連続になるという大型連休に合わせ、プロ野球も各球団とも9連戦の日程で臨む。

 そのゴールデンウィーク中の5月2、3日の両日、東京ヤクルトスワローズの本拠地・神宮球場には、メジャーリーグの“レジェンド”がやってくる。それがフィラデルフィア・フィリーズのマスコット、フィリー・ファナティックだ。

殿堂入りのマスコットがつば九郎、ドアラと“夢のコラボ”

 これは「BASEBALL FEELS!」と銘打たれた企画の一環で、ファナティックはヤクルトのマスコットであるつば九郎および対戦相手の中日ドラゴンズのマスコットであるドアラとさまざまな形で共演するという。日米の人気マスコットによる、夢のコラボが実現するというわけだ。

 ちなみにつば九郎、ドアラともデビューは1994年だが、ファナティックの誕生は今からちょうど40年前の1978年。現在ではメジャーリーグでも多くの球団がマスコットを採用しているが、当時はまだニューヨーク・メッツのミスター・メットとサンディエゴ・パドレスのサンディエゴ・チキンぐらいしかいないという時代である(ただし、サンディエゴ・チキンは球団の公式マスコットではなく、野球以外のイベントにも登場)。

 フィリー・ファナティックという名前は、チームの本拠地であるフィラデルフィアの愛称「フィリー」と、熱狂的なファンを意味する「ファナティック(Fanatic)」を組み合わせたものだが、Phで始まるフィラデルフィアのスペルにかけて、あえて「Phanatic」という綴りになっている。その自由奔放なパフォーマンスは長年にわたってファンに愛され、2005年にマスコットの殿堂が創設されると、前出のサンディエゴ・チキンらと共に第1回の殿堂入りメンバーに選ばれている。

「最高の瞬間」は2度のワールドシリーズ優勝パレード

 ファナティック誕生以前は2度のワールドシリーズ出場でいずれも敗れ去っていたフィリーズだが、この愛すべきマスコットが誕生して3年目の1980年に“3度目の正直”でついにワールドシリーズ制覇。後に野球殿堂入りを果たすスティーブ・カールトン(通算329勝)とマイク・シュミット(通算548本塁打)を投打の軸に、ピート・ローズ、タグ・マグローといった選手がいた頃だ。

 その後、本拠地がベテランズ・スタジアムから新球場のシチズンズバンク・パークに移っても、ファナティックはチームの公式マスコットとして活躍。そして新球場移転5年目の2008年、フィリーズは球団史上2度目のワールドチャンピオンに輝く。球団公式ホームページによると、ファナティックにとっての「最高の瞬間」は1980年と2008年のワールドシリーズ優勝パレードだという。

当日は「赤鬼」マニエル氏のビデオメッセージも

 なお、フィリーズが2度目のワールドチャンピオンに輝いた時の監督が、現役時代はヤクルトの助っ人として1978年の初優勝&日本一に貢献した「赤鬼」ことチャーリー・マニエル氏である。同氏は現役引退後は米国に戻って指導者となり、インディアンスとフィリーズの監督として地区優勝6回、リーグ優勝2回、ワールドシリーズ優勝1回。2013年の途中でユニフォームを脱ぐまで通算1000勝を記録し、うちフィリーズでの780勝は球団史上最多となっている。

 今回はマニエル氏の来日はないものの、5月2日、3日の試合中にファンに向けたビデオメッセージが放映されるという。ファナティックの登場とともに、こちらも大いに楽しみだ。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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