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大谷が背負うエンゼルスの17番。過去には「240安打男」や「超スローボール使い」も

菊田康彦フリーランスライター
エンゼルスでは新たに17番を背負う大谷はどのような活躍を見せてくれるのだろうか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

背番号17で240安打&100打点のアースタッド

 ポスティング制度によるメジャーリーグ移籍を目指していた大谷翔平が、ロサンゼルス・エンゼルスへの入団に合意。現地12月9日(日本時間10日)に入団会見を行い、真新しい背番号17のユニフォーム姿を披露した。

 大谷が背負う17番は、今季までの2シーズンは外野手のシェーン・ロビンソンが背負った番号である。2009年にセントルイス・カージナルスでデビューしたロビンソンは、ミネソタ・ツインズ、クリーブランド・インディンス(出場なし)を経て、2016年の開幕前にエンゼルスへ移籍。これを機に背番号17でプレーしたものの、2シーズンで出場85試合、打率.178、1本塁打の成績に終わり、今季終了後にフリーエージェントとなった。

 それでは、過去にはどのような選手がエンゼルスでこの番号を背負っていたのか? 最もなじみが深いのは、3度のゴールドグラブ賞に輝いたダリン・アースタッドだろう。1995年のドラフトでエンゼルスから全体1位指名を受けたアースタッドは、メジャー3年目の1998年に初のオールスター出場を果たすと、翌1999年から背番号を17に変えた。それまで背負っていたのが、現在は大谷も言及したチームの看板スター、マイク・トラウトが着けている27番だった。

 アースタッドは背番号を17に変更して2年目の2000年に240安打を放ち、最多安打のタイトルを獲得。1番打者ながら100打点を挙げてシルバースラッガー賞に輝き、外野手として初のゴールドグラブ賞も受賞している。2002年に2度目のゴールドグラブを受賞し、球団史上初のワールドシリーズ制覇にも貢献。2004年には一塁手として自身3度目のゴールドグラブ賞を獲得し、メジャーリーグ史上初めて内外野でこの栄冠に輝いた。

 エンゼルスの球団史上、最も長きにわたってこの17番を背負ったのがアースタッドであり、これに次ぐのは球団創設2年目の1962年から6シーズン、この番号でプレーした投手のフレッド・ニューマンである。エンゼルス誕生時のエクスパンション・ドラフトでボストン・レッドソックスから移籍したニューマンは、1962年に弱冠20歳でメジャーデビュー。1964年から2年連続で2ケタ勝利をマークしたが、故障のために25歳の若さでメジャーリーグの舞台から去ることになった。

「イーファス・ピッチ」のラローシュは17番で10勝25セーブ

 アースタッドとニューマンを除くと、エンゼルスで最も長く17番を背負ったのは2012年から2015年までこの番号を着けた捕手のクリス・アイアネッタ、次いで1977年の途中から1980年までこの番号でプレーした左腕投手のデーブ・ラローシュとなる。

 ラローシュはもともと1970年にエンゼルスでデビューしたが、当時の背番号は37。翌年は16番、そして1972年に移籍先のツインズで初めて17番を背負うと、シカゴ・カブス、インディアンスと渡り歩いて、1977年の途中でエンゼルスに復帰した後も背番号17でプレーした。そのキャリアの大半をブルペンで過ごしたラローシュは、エンゼルス復帰2年目の1978年には59試合の登板で10勝9敗25セーブ、防御率2.82の好成績をマークしている。

 このラローシュで有名なのが「イーファス・ピッチ」と呼ばれる山なりの超スローボール。ニューヨーク・ヤンキース移籍後の1981年9月にはミルウォーキー・ブリュワーズとの試合で、その2年前に本塁打王となった強打者、ゴーマン・トーマスを相手にこの球を多投。見事に空振り三振に切って取った場面は、今でも語り草となっている。なお、彼の2人の息子、アダムとアンディはいずれもメジャーリーガーになったが、17番を着けたことはなかった。

 話を野手に戻すと、背番号17でタイトルホルダーとなった選手が、前出のアースタッドのほかに2人いる。1人は1970年にシンシナティ・レッズから移籍し、いきなり打率.329で首位打者に輝いたアレックス・ジョンソン。レッズでも前年まで2年連続で打率3割をマークしていた好打者だが、その時は背番号29。17番は彼にとってラッキーナンバーとなった。

 もう1人は1970年にエンゼルスで3番を背負ってデビューし、背番号5を経て、1974年から17番に変えた外野手のミッキー・リバースである。彼は背番号17になって2年目の1975年に、70個の盗塁を決めて盗塁王を獲得。翌年はボビー・ボンズ(バリー・ボンズの父)のトレード相手の1人としてヤンキースに移ったが、その後も1984年にテキサス・レンジャーズで引退するまで一貫して17番でプレーを続けた。

 エンゼルスの球団史上、17番を背負って主要タイトルを獲得した選手は、最多安打のアースタッドも含め3人しかいないが、来シーズンから新たにこの番号でプレーする大谷は彼らに続くことができるだろうか? それとも背番号17の投手としては、球団史上初のタイトルホルダーに輝くのだろうか? 二刀流の行方も含め、期待は膨らむばかりだ。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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