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いよいよ島を上げてのお祭り騒ぎが始まる ~バレンティンの故郷訪問記~

菊田康彦フリーランスライター

思えば遠くへ来たもんだ──。

東京の自宅を発ってからおよそ28時間。カリブ海に浮かぶキュラソー島の首都ウィレムスタットのホテルにチェックインしたのは、現地時間11月15日の夜11時(日本時間16日昼12時)近くのこと。生まれて初めて訪れる土地でようやく長旅から解放され、ホテルのベッドに沈み込んだ時にふと頭に浮かんだのが、そんなどこか懐かしくもベタなフレーズでした。

街中のレストランにはバレンティンの大きな看板が掲げられていた
街中のレストランにはバレンティンの大きな看板が掲げられていた

それだけの時間をかけてはるばるやってきたのは、もちろん目的があってのこと。それが東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン選手の祝賀パレードです。この島で生まれ育ったバレンティン選手が今シーズン、日本で年間60本塁打のプロ野球新記録を樹立したのを祝って、17日に盛大なパレードが行われるのです。

キュラソーの人々にとってはあくまで海外でのこととはいえ、バレンティン選手の記録はたいへんな偉業ととらえられているようで、こちらに来てからはそこかしこで記録達成を称えるビラやポスター、バナーなどを目にします。ランチを食べに立ち寄った店で、以前は野球には興味がなかったというおばあさんが、ココ(バレンティン選手の愛称)のことを誇らしげに話していたのも、非常に印象的でした。

ラジオからは、地元を代表する数名のシンガーがユニットを結成して、バレンティン選手のことを歌にしたという曲も流れてきました。また、街中にはバレンティン選手の写真とともに「ホームラン・キングの街へようこそ!」と書かれた大きな看板もありました。ただし、この看板に使われていた写真はユニフォームが今シーズンのものではなかったので、もしかしたらかなり前からあったものかもしれません。仮にそうだとしても、去年もおととしもセ・リーグのホームラン王なので文字どおり「看板に偽りなし」ですが。

さて、こちらは現在17日の午前4時前。午後にはいよいよ主役のバレンティン選手が、同郷の大先輩であるアンドリュー・ジョーンズ選手(東北楽天)とともに自家用機で凱旋し、そこからは島を上げてのお祭り騒ぎが始まります。いったいどんなパレードになるのでしょうか? それは改めて報告したいと思います。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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