「オレはファイター」アキレス腱痛と戦いながら三冠王に挑むバレンティン
9月30日の横浜DeNA戦(神宮)で10試合ぶりにホームランを放ち、自身の持つプロ野球年間最多本塁打記録を「59」に伸ばした東京ヤクルトスワローズのウラディミール・バレンティン選手。あくまでも数字の上のことではありますが、これでメジャーリーグ史上に残るホームランバッターのベーブ・ルースが1927年に記録した60本塁打に、あと1本と迫りました。
しかし、その一方でプロ野球史上8人目(12度目)の三冠王には、赤信号が灯りました。この30日の試合で5打点を挙げて今季134打点としたDeNAのトニ・ブランコ選手に、6打点差をつけられてしまったからです。さらに打率もこの時点でバレンティン選手の.332に対しブランコ選手が.330と猛追しており、こちらも予断を許さない状況になっています。
「ルースを抜いて62本は打ちたい」
翌10月1日の読売ジャイアンツ戦(神宮)を前にしたバレンティン選手は、ブランコ選手との差を広げられたことに落胆の色を隠せませんでしたが、それでも「可能性がある限りベストを尽くす」と宣言。ホームランに関しても、現在ではメジャー歴代8位とはいえルースが残した数字にはこだわりがあるようで「ベーブ・ルースの60本を抜いて、62本までは打ちたい」と抱負を語ってくれました。
バレンティン選手は7月から左アキレス腱を痛めており、年間ホームラン日本記録更新を前に「こういう状況でなければ休んでると思いますよ」と関係者も口にしていたほど。その状態は今も芳しくなく、ここしばらくは試合に備えて足を休ませたいとシートノックも“欠席”しています。1日の巨人戦ではスタメン出場を志願してヒット1本を放ち、打率.332をキープしたものの、アキレス腱に張りが出たため8回裏の守りから交代。結局、この日は打点、本塁打ともありませんでした。
帰宅時に母親のアストリットさんと迎えの車に乗り込む際には「痛みはあるが明日もプレーする。オレはファイターだ」と発言していましたが、一夜明けて痛みが強くなったのでしょう。今日10月2日の巨人戦(東京ドーム)はスタメンから外れてベンチスタートとなりました。ただし、ヤクルトの小川淳司監督はかねてからバレンティンの三冠王獲得を後押しすると言明しており、ランナーがたまったところでの代打起用が予想されます。
この試合を含めてヤクルトに残されているのは5試合。ブランコ選手のDeNAは残り3試合。2人のガチンコ勝負を、心して最後まで見届けたいと思います。