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5年前に投手転向していたムネリンの元同僚がMLB初登板でいきなり最速162キロを計測!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLB初登板で好投を演じたアンソニー・ゴース選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ゴース選手が投手としてMLBデビューを飾る】

 1人の選手が5年ぶりにMLBの舞台に戻ってきた。

 以前本欄で、ブルージェイズ時代の川﨑宗則選手と同僚で、2017年に自らの意思で投手転向を決めた選手がいることを紹介していたのをご記憶だろうか。

 その選手こそアンソニー・ゴース選手、31歳。彼が現地時間の9月20日にインディアンズでメジャー昇格を果たし、同日行われたロイヤルズ戦で早速投手としてデビューを飾ったのだ。

 ダブルヘッダー第2試合に3番手として4回から登板し、1.2回を投げ、1安打1失点1三振1四球の内容だったが、この日の最速は100.8マイル(約162キロ)を計測。噂通り速球派投手としての片鱗を見せる上々のデビューとなった。

 ゴース選手がMLBの公式戦に出場するのは、2016年5月15日以来のこと。当時はタイガースに在籍し、もちろん投手ではなく外野手として出場していた。

【2015年には23盗塁を記録した俊足&強肩外野手】

 ゴース選手は2008年にフィリーズからドラフト2巡目指名を受けるほどの、俊足と強肩を兼ね備えた有望外野手だった。

 2010年にアストロズを経てブルージェイズにトレードされると、2012年に21歳の若さでMLBデビューを飾った。そして2013年から2年間、川﨑選手と同僚だった。

 ゴース選手が外野手として最も輝いたのは、2014年オフにトレードされたタイガース在籍時だった。2015年シーズンは自己最多の140試合に出場し、23盗塁を記録するなどの活躍を見せていた。

 しかし2016年シーズンは開幕早々にマイナーに降格すると、そこで監督との間でいさかいを起こすなどして、このシーズンのMLB出場はわずか30試合に止まり、シーズン終了後に40人枠から外されてしまった。

【米国代表として東京五輪に参加】

 そして再起を期すべき2017年のスプリングトレーニング中に、ゴース選手からチームに投手転向を直訴。チームもそれを受け入れ、開幕後は1Aから投手としてメジャー昇格を目指す戦いが始まった。この時期のゴース選手を、本欄で紹介している。

 その後レンジャーズ、アストロズ、インディアンズを渡り歩き、諦めずにマイナーで投げ続けた。今シーズンはインディアンズ傘下の3Aに在籍し、シーズン前半戦で28試合に登板し、6勝1敗、防御率3.55の成績を残し、東京五輪の米国代表チームに選出された。

 準々決勝の侍ジャパン戦にも登板し、自慢の速球を武器に1回を無失点に抑える好投を演じている。

 ゴース選手が明かしてくれたところでは、五輪期間中はデーブ・ウオーレス投手コーチに加え、スコット・カズミア投手、エドウィン・ジャクソン投手、デビッド・ロバートソン投手らベテラン陣が色々助言してくれたらしく、投手として自信を深める機会になったという。

【スタンディングオベーションで称えられたゴース選手】

MLB公式サイトによれば、この日のゴース選手の速球はすべて99~100マイルを計測していたという。

 ただ立ち上がりは決して良くなかった。先頭打者にいきなり四球を許した後、3番目の打者に二塁打を打たれ、1死二、三塁のピンチを招くと、内野ゴロで失点されてしまった。それでも後続を打ち取り、最少失点で切り抜けている。

 そのまま5回も続投。1死後に第1試合で今シーズン26号を放っているサルバドール・ペレス選手から空振り三振を奪うと、投手交代が告げられた。ベンチに下がるゴース選手に対し、ファンからスタンディングオベーションが巻き起こったようだ。

 試合後のゴース選手は、以下のように感想を述べている。

 「自分にとっては特別なことだ。またこの舞台に立つことができたことは大きな意味を持っている。随分時間が経ってしまったが、またこうした機会を得られて本当に嬉しい。

 打者としてデビューした時よりも今回の方が特別な気がする。とにかく試合が好きで、プレーすることが好きだ。自分は愚かすぎて、止めるなんて考えられなかったのだと思う」

 ゴース選手にとっての第2の野球人生がようやく結実した。少しでも長くMLBのマウンドに立つ姿を我々に見せて欲しい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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