前半戦で33本塁打以上しても60本到達率は33.3%!大谷翔平の後半戦が決して楽観視できない理由
【33本塁打で前半戦を終えた大谷選手】
MLBは現地時間の7月11日に、シーズン前半戦を終了した。仮に前半戦のMVPを選ぶとしたら、誰しもが文句なしで大谷翔平選手を選ぶことだろう。
シーズン開幕前は二刀流の完全復活を目指していた大谷選手だったが、ジョー・マドン監督の判断の下、従来の起用法を完全撤廃し、登板日前後でもDHとして出場し、登板日でもDH解除されるなど、二刀流としてフル回転し続けた。
しかも投打ともにチームを牽引する活躍を見せ、完全復活どころか二刀流として更なる領域に足を踏み入れ、MLBに一大センセーション巻き起こした。
特に打撃では、今シーズンから導入されている低反発球をものともせず本塁打を量産。何とMLB単独トップの33本塁打を放ち、前半戦を終えている。
その結果として、今年のオールスター戦でも、HRダービー出場、本戦でも二刀流出場というフル回転が決まり、まさに“大谷カーニバル”状態になろうとしている。
【過去12例で60本塁打到達率は33.3%】
大谷選手がオールスター戦で前半戦のような活躍を披露すれば、さらにその人気が上昇し、後半戦は大谷フィーバーが巻き起こる可能性すらある。そうなればファンならずとも、大谷選手の後半戦の活躍に期待し、注目が集まることになるだろう。
すでに日米メディアで、大谷選手がシーズン60本ペースで本塁打を打っていると報じられ、最終的な年間本塁打数も注目されるトピックになっているが、実は過去の例を見るとそれほど単純ではなく、実は後半戦になって打撃が下降気味になるという傾向が強いのだ。
これまでシーズン前半戦で33本塁打以上記録している選手は、10選手(延べ12選手)存在しているのだが、後半戦も本塁打を打ちまくり60本塁打に到達した選手は4人しかいない。つまり到達率は33.3%でしかないのだ。
【後半戦で打率下降は延べ12選手中10人】
とりあえず別表をチェックしていただきたい。シーズン前半戦で33本塁打以上記録した全選手の、年間本塁打数と前半戦、後半戦の打率をまとめたものだ。
2001年のバリー・ボンズ選手と1994年のマット・ウィリアムス選手以外、軒並み後半戦で打率が下降しているのが理解できるだろう。
もちろんどんな選手でも、シーズンを通して安定した打撃を披露するのは不可能だ。だが彼らは大谷選手同様に、シーズン前半戦で破竹の快進撃を続ける中、間違いなく心身ともに疲労が蓄積していたはずだ。後半戦に入り、やはりそうした影響が出たとしてもおかしくないだろう。
しかも前半戦で33本塁打以上しているのに、5選手が最終的に50本塁打未満に終わっているのも見逃せないところだ。ただし1994年のケン・グリフィーJr.選手とウィリアムス選手は、選手会のストライキによりシーズンが途中で打ち切られてしまったので仕方がない部分はあるも確かだ。
それでもこの表を見て、シーズン前半戦の快進撃を後半戦でも維持するのは決して簡単ではないことが理解できるはずだ。
【今後もつきまとい続けるだろう負傷の不安】
しかも大谷選手は、誰も挑戦したことがない二刀流でフル回転を続けている。度々比較されるあのベーブ・ルース選手でさえ、先発投手としてローテーションを守りながら投げ続けながら二刀流をこなした経験はないのだ。言うまでもなく、心身的負担は通常の選手をはるかに上回るだろう。
それを踏まえた上で、後半戦でも破竹の快進撃を期待するのは正直酷すぎる面があるようにさえ感じるのは自分だけではないだろう。
また大谷選手自身も、現在のような起用法でシーズン通してプレーした経験はない。さらに過去3年間は体調が万全ではなかったとはいえ、毎年のように大きな負傷を繰り返していたという事実がある。
やはり二刀流でフル回転を続ける限り、大谷選手には負傷という不安が常につきまとうことになる。
そうした期待と不安を織り交ぜながら、大谷選手のシーズン後半戦を見守るしかない。だが過度な期待だけはしないように心がけるつもりだ。