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大谷翔平の活躍を凌駕し始めたブラディミール・ゲレロJr.が邁進する最年少三冠王達成&MVP受賞

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
6月に入り快進撃を続けるブラディミール・ゲレロJr.選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【レッドソックス4連戦で大暴れした若き主砲】

 ここ最近日本のメディアでも、本塁打王争いで大谷翔平選手のライバルとしてその名が度々登場するようになった、ブルージェイズのブラディミール・ゲレロJr.選手。実は6月に入って、その快進撃が止まるところを知らない。

 直近のレッドソックス4連戦では4試合連続本塁打を含む15打数9安打8打点と打ちまくり、ゲレロJr.選手の活躍もあり、レッドソックスと2勝2敗のタイに持ち込んでいる。

 さらに6月だけの成績を見ると、打率.452、6本塁打、14打点を記録し、長打率に至っては驚異の9割を超えている(.976)。それに伴い、8割以上で強打者と言われるOPS(長打率+出塁率)でも1.516と超人レベルの数字を残すなど、間違いなく現時点でMLB最強の打者と言っていいだろう。

【三冠王獲得なら史上最年少記録を更新】

 シーズン全体を見ても、22本塁打、56打点はMLB単独1位で、打率.346は同2位ながらア・リーグ1位と、目下三冠王獲得に向け邁進中だ。

 今シーズンはここまでノーヒットノーランが6回達成されるなど、完全な投高打低傾向で推移しているが、もしゲレロJr.選手が三冠王を獲得するようなことになれば、とてつもない快挙達成と言えるだろう。

 特に三冠王達成は、長いMLBの歴史の中でもかなり数が少なく、1967年のカール・ヤストレゼムスキー選手が三冠王を達成して以降では、三冠王を達成しているのは2012年のミギュエル・カブレラ選手1人しか存在していない。

 しかも1922年のロジャース・ホーンズビー選手が初の三冠王を達成してから現在まで、三冠王に輝いたのはたった10選手(2人が2度達成で延べ12選手)しか存在していない。それだけMLBでは三冠王達成は至難の業ともいえる偉業なのだ。

 さらに現在22歳のゲレロJr.選手が三冠王を達成するとなれば、1942年に1度目の三冠王に輝いたテッド・ウィリアムス選手の24歳を下回り、史上最年少記録を塗り替えることにもなる。最早歴史的な快挙と言ってもいい。

【19キロのダイエット成功でいよいよ才能が開花】

 ゲレロJr.選手が有名な選手の2世選手であることは、日本でも知られていると思う。2004年にMVPを受賞するなど、MLB在籍16年間で打率.318(2590安打)、449本塁打、1496打点を残し、2018年に殿堂入りを果たしたブラディミール・ゲレロ氏だ。

 そんな輝かしい実績を残すゲレロ氏だが、実は打撃主要タイトルを獲得したことは一度もなかった。三冠王とまではいかなくても、ゲレロJr.選手が何かタイトルを獲得するようなことになれば、その時点で父超えを実現することになるわけだ。

 そんな父の打撃センスを受け継いだゲレロJr.選手は、幼少期からその才能が高く評価され、2015年に16歳の若さでブルージェイズと契約している。プロ入り後も常に有望若手選手と注目を集め、2019年に20歳で堂々MLBデビューを飾っている(ちなみに父ゲレロ氏は21歳でMLBデビュー)。

 だが期待された2020年は短縮シーズンの全60試合に出場したものの、打率.262、9本塁打、33打点と平凡な成績に終わった。オフに入ると太り気味だと指摘された体型を変えるため、徹底的な体調管理とトレーニングで42パウンド(約19キロ)の減量に成功し、今シーズンに臨んでいた。

 その効果は確実に表れ始め、遂にその才能が開花し始めようとしているのだ。

【MVP争いでも大谷選手の好敵手に】

 ここまで二刀流選手として様々な歴史を塗り替える活躍をみせ、MVP争いで優位に立ってきた大谷選手だが、MLBではなかなか難しい三冠王を達成し、しかも最年少記録を塗り替えるような偉業を実現するようなことになれば、やはりゲレロJr.選手の評価が大谷選手を凌ぐ可能性は十分に考えられる。

 すでに米メディアの中では、大谷選手ではなくゲレロJr.選手をMVPの最有力候補に挙げる人も出始めている。

 MVP争いはチーム成績を加味して評価するメディアが多いことを考えると単純比較はできないし、現時点でMVP争いを論じるのは時期尚早だ。

 ただ間違いなく、これからも両選手の活躍に目を奪われることになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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