MLBコミッショナーがオールスター戦の開催地変更を発表!今やスポーツ界が政治に影響を及ぼす時代に

オールスター戦の開催地変更を決定したマンフレッド・コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【オールスター戦の開催地変更を発表】

 MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが現地時間の4月2日、声明を発表し、今年のオールスター戦とドラフトの開催地を変更することを明らかにした。

 すでに本欄で報告しているように、開催地に決まっていたアトランタを州都とするジョージア州議会が、先月末に投票を制限する州法を可決。この新法は人種差別を招くものだとして、MLBの内外から開催地変更を求める声が上がっていた。

 こうした動きに対し、同じく新法を批判していたジョー・バイデン大統領が支持を表明し、マンフレッド・コミッショナーの対応が注目されていた。

【全国民に投票権が与えられることを支持】

 マンフレッド・コミッショナーの声明の全文は、以下の通りだ。

 「昨週を通じて、我々は様々な意見を聞くため、各チーム、選手、OB、選手会、選手同盟(選手によって結成された人種差別を無くす社会を目指す組織)を含めた多くの関係者と会話を続けてきた。その結果、スポーツとしての我々の価値を世に示すための最大の方法は、今年のオールスター戦とドラフトの開催地を変更することだという結論に至った。

 MLBは根本として、すべての米国民に投票権が与えられることを支持しており、それが制限されることに反対する。昨年MLBはプロリーグとして米国で初めて、誰もが平等に理想の米国を形づくれる未来を目指そうとする超党派の市民同盟に参加している。我々は誇りを持って、野球ファンを含めた米国社会に身を置く人々が市民権を行使し、誰もが投票に参加できることを支援するプラットフォームであり続けた。そして今後も、誰もが平等に投票権が与えられることを支持していくことは不動だ。

 (開催地が変更になっても)今年のオールスター戦期間中にハンク・アーロンの功績を称えるというプランは、継続されるだろう。それに加え、『All-Star Legacy Project(オールスター・レガシー・プロジェクト)』の一環とした、アトランタ地域社会への支援活動も変更することはない。新たな開催地やイベントの詳細については近日中に発表する予定だ」

【開催地変更に落胆するブレーブス】

 この決定を受け、21年ぶりにオールスター戦をホストすることになっていたブレーブスが、以下のような声明を発表している。

 「アトランタ・ブレーブスは、2021年のオールスター戦の開催地を変更するというMLBの決定に、心から残念に思っている。

 これは我々の決断でもなければ、我々が勧告したものでもない。ファンが自分たちの街でイベントを見られなくなったことを悲しんでいる。ブレーブスは、今後も平等の投票機会の重要性について声を上げ続けていくだろう。そして出来うるならば我々の街が、今回のイベントをそうした議論を深めるプラットフォームとして利用できることを期待していた。我々の街は人種間の分裂を統合した象徴として認識されてきた。それだけに、この問題が我々のコミュニティにとって重要であることを訴える場を失ったのは残念だ。

 不幸にもジョージア州のビジネス、従業員、ファンは、今回の決定の犠牲者になってしまった。

 我々は、すでに計画通り進行しているレガシー・プロジェクトを支援していくだろう」

 実はブレーブスやアトランタ市民が皆、新法を歓迎しているわけではない。むしろアトランタの基幹企業が新法に反対の姿勢を明らかにしているように、内側からも批判が渦巻いている。ブレーブスの声明にあるように、彼らが州議会と世論の間に挟まれ犠牲になってしまった感は否めない。

 今やプロアスリートたちが政治的な発言を含め、自分の意見を積極的に発信する世の中になった。すでに「スポーツの世界に政治を持ち込むな」という大義名分は、時代遅れになってしまったのかもしれない。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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