緊急事態宣言下でBリーグがリーグ戦を継続していく意義と意味

緊急事態宣言下だからこそ冷静なリーグ運得に期待したい(筆者撮影)

【緊急事態宣言下で天皇杯バスケが開催】

 政府が緊急事態宣言地域を関東4都県に加え、7府県を加えることを正式発表した1月13日、日本バスケットボール協会は天皇杯全日本バスケットボール選手権大会の3次ラウンド(準々決勝)を実施した。

 4会場のうち3会場は東京、神奈川、栃木と、緊急事態宣言下の都県だったものの、有観客試合で無事に実施された。

 天皇杯もあり現在バイウィーク中のBリーグは、1月23日からリーグ戦を再開する予定だが、B1リーグの20チーム中11チームが緊急事態宣言下の都府県を本拠地にしており、宣言の影響が懸念されるところだ。

 Bリーグは公式戦実施に際して「自治体の判断・指示に従うこと」を大前提にしていることから、今週末に開催予定だったBリーグのオールスター戦が、会場となる茨城県水戸市からの自粛要請を受け中止となっている。

 それだけに天皇杯バスケが問題なく開催できたことは、リーグ戦を継続していく上で、緊急事態宣言下の自治体に向け強力なメッセージを送ることができたのではないだろうか。

【リーグ戦継続が絶対的に必要なBリーグの現状】

 オールスター戦中止を受け、島田慎二チェアマンはオンライン会見を行い、メディアとファンに向け、リーグ戦継続への断固たる決意を明らかにしている。その言葉の端々から、まだリーグ発足5年目という新興リーグならではの厳しい事情も見え隠れしている。

 「クラブの存続、Bリーグの存続に最も必要なことが、試合を続行していくことでございます。

 昨シーズン1/3の試合が中止となり、多くのクラブが非常に厳しい経営状況になりました。もし今シーズン再びシーズンが中止になるようなことがあれば、多くのクラブが経営破綻する可能性もあると考えています。

 クラブが破綻してしまえば、選手やスタッフを守っていくことはできません。そして日本をバスケで元気にしていくというチャレンジもできません」

【新型コロナに過剰反応気味の日本】

 ただリーグ戦継続の意義は、単にリーグ存続がかかったBリーグのお家事情ばかりではないだろう。東京五輪を控えた日本として対外的な見地から、新型コロナウイルスの第3波を迎えながらも安全にリーグ戦を実施できるという対応力を世界に発信するという意味もあるように思う。

 そもそも日本は世界と比較して、新型コロナウイルスにやや過剰反応している部分がないだろうか。

 米国に目を向けても、1月13日の段階で米国内の陽性反応者数は23万476人を記録するなど、過去14日間をみても34%増のペースで感染が拡大している(資料元:New York Times)。

 一方日本は、1月13日の国内全体の陽性反応者数は5097人(うち有症状者は1481人)に留まり、総人口の違いがあるものの、単純比較で感染状況は米国の約1/45でしかない(資料元:毎日新聞)。

 それでも米国ではNBAが公式戦を続け、NFLもポストシーズン真っ直中で熱戦を繰り広げており、州別で感染者数がかなり多いテキサス州やフロリダ州でも有観客で試合を実施しているのだ。

 にもかかわらず世界的に見て小規模感染の日本がリーグ戦を中止するような事態になれば、IOCや世界の国々に与えるイメージは決して良くないだろう。

【ガイドラインにとらわれない即応力も必要】

 もちろん日本より深刻な感染状況の中、チーム内に感染者が確認されるケースが発生し、NBAやNFLともに試合延期や中止に追い込まれている。

 それでもNFLでは32チーム中13チームが、またNBAも30チーム中23チームが無観客試合で対応するなどして、リーグ戦を全う、もしくは継続している。

 日本ではBリーグを含め各リーグの資金力を考えれば、無観客試合を貫き通すのは難しいだろうし、米国リーグのように遠征の移動手段としてチャーター便(近距離移動ならばチャーターバスは使える)を利用し、長距離移動時にチームを一般社会から隔離するのも無理だろう。

 その中で緊急事態宣言下都府県を往来し、観客を入れながらリーグ戦を継続していくのだから、不測の事態が起こった時を想定しながら、時にはガイドラインにとらわれることのない冷静な即応力が求められることになる。後手の対応をするようなことになれば、自治体からの信頼を失いかねない。

 残念ながらトップリーグは、陽性反応者が確認されるチームが拡大したため、開幕日の延期が発表された。今後トップリーグも、その対応力が注目されるところだ。

 とにかく窮地を迎えた今こそ、Bリーグやトップリーグなどの運営力が試される時だ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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