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元KBO本塁打王エリック・テームズを巡り日米韓3リーグで獲得競争が勃発か?!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
日米韓3リーグが獲得に興味を示していると報じられたエリック・テームズ選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLB敏腕記者がツイートを投稿】

 MLBネットワークやFOXスポーツなどで活躍し、球界では敏腕記者の1人として知られる、ジョン・モロシ記者が現地時間の11月23日に、興味深いツイートを投稿している。

 その内容は、情報筋の話として、今オフにFAになったエリック・テームズ選手に関して、MLBのみならずNPB、KBOと日米韓3リーグが獲得に興味を示しているというのだ。

【KBO3年間で通算124本塁打を放った長距離砲】

 2020年はナショナルズに在籍していたテームズ選手は、41試合に出場し、打率.203、3本塁打、12打点と不本意な成績に終わっていた。

 来シーズンについてはナショナルズが年俸300万ドル(約3.2億円)を保証する契約オプション権を有していたが、チームはオプションを破棄。100万ドル(約1.1億円)の契約解除料が支払われ、FA選手になっていた。

 2011年にブルージェイズでMLBデビューを飾ったテームズ選手は、2014年から3年間KBOのNCダイノスに在籍し、2016年には本塁打王に輝くなど通算124本塁打を記録。その成績が評価されブルワーズと合意し、4年ぶりにMLB復帰を果たすことになった。

【復帰後75本塁打を放つも低打率がネックに?】

 MLBに復帰した2017年に31本塁打を放つなど、ブルージェイズ在籍3年間で75本塁打を放っている一方で、KBO時代に.349を誇っていた打率は.241まで低迷していた。

 そうした成績がネックになったのか、2019年オフにブルワーズが保有していた年俸750万ドル(約7.9億円)を保証する契約オプション権が破棄され、FA選手としてナショナルズと契約していた。

 そして前述通り、2020年はさらに不本意な成績に終わり、再びFAとして新たな所属先を探している状況に置かれているというわけだ。そんなテームズ選手に対し、日米韓3リーグから興味を抱かれているのだ。

【興味を示すNPBチームはどこなのか?】

 元々テームズ選手は、KBO入りする前もMLBでの打率は.250に留まっており、それほど高打率を残せるタイプではなかった。だがOPS(出塁率+長打率)に目を向けると、ブルワーズ3年間で.847を残しており、KBO入り前の.727をはるかに上回っていることからも、長距離打者へと変貌を遂げているのは間違いないところだ。

 そこで気になるのは、2020年の不振だ。だが60試合で実施された短縮シーズンの影響も考慮しなければならないだろうし、一概にテームズ選手の打撃が下降線を辿っていると断言するのは困難過ぎる。

 逆にテームズ選手の打撃が今も健在ということになれば、どこのリーグに在籍することになろうとも、長距離打者として十分に活躍できそうだ。

 現在34歳という年齢に関しても、それほど問題ではないだろう。例えば1998年のKBO本塁打王だったタイロン・ウッズ選手も、2003年に33歳でNPB入り。その後NPB在籍6年間で、240本塁打を記録する活躍をみせている。

 モロシ記者が指摘するNPBチームがどこなのか、現時点では明らかになっていない。ただ年俸300万ドルの契約オプションが破棄されたことからも、各チームの提示契約内容はNPBでも十分に対抗できる額になると予想される。MLB、KBOとの獲得競争に勝ち、テームズ選手が日本の球場に立つのが現実になったら、かなり楽しみなことになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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