オリオールズがチーム本塁打王を40人枠から解除 MLBの大量解雇第2波が始まった!

チーム最多の12本塁打を放ちながら40人枠から外されたレナト・ニュネス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【オリオールズがチーム本塁打王を40枠から解除】

 オリオールズが現地時間11月20日、レナト・ニュネス選手に対し40人枠から外す措置「Designate For Assignment(通称DFA)」をとったと発表した。

 この結果ニュネス選手は、10日以内に他チームにトレードで他チームに移籍するか、ウェーバーに公示されることになる。ウェーバー中に手を挙げるチームが現れればそのチームに移籍し、ウェーバーがクリアになれば選手はマイナー契約にチームに残留するか、FAになるかを選択できる。

 28歳のニュネス選手は2019年シーズンに主に指名打者としてレギュラーに定着し、チーム2位の31本塁打を放っている。さらに2020年シーズンも一塁手兼指名打者としてチーム最多の12本塁打を記録するなど、この2年間はチームの主軸打者として活躍した。

【11月20日はオフの重要な期限日だった】

 実は11月20日にDFAされた選手は、ニュネス選手だけに留まらない。レイズで筒香嘉智選手と同僚だったハンター・レンフロー選手、さらにパイレーツで先発ローテーションの一角を担ったトレバー・ウィリアムス投手らも40人枠から外されている。

 この日MLB各チームは、“ある”期限日を迎えていた。毎年ウィンターミーティング最終日に実施されている「ルール5ドラフト」対策として、所属選手をプロテクトするため、40人枠に入れるかどうかを決める最終日だったのだ。

 ルール5ドラフトとはプロ選手を対象にしたドラフトで、18歳以下でプロ入りした選手は5年以内、19歳以上にプロ入りした選手は4年以内に40人枠に入れなかった選手を対象に、チーム内での飼い殺しを避けるため、他チームが獲得できる制度だ。

 このルール5ドラフトで指名されそうな選手を期限内に40人枠にいれることで、ドラフト対象外にすることができるわけだ。つまりニュネス選手たちは、まだ実績のない若手選手を40人枠に入れる枠を確保するため、はじき出された犠牲者といえる。

【彼らの共通点は年俸調停有資格選手】

 今回ニュネス選手ら実績ある中堅・若手クラスの選手たちが40人枠から外されたのは、今年オフに訪れる大量解雇第2波の始まりと位置づけられる。

 すでに本欄でも報告しているように、ワールドシリーズ終了後5日以内に、各チームは2021年の契約オプション権を有する選手たちの処遇を決定しなければならない中、今年は大量の選手のオプションが破棄され、FA市場に回る事態に陥っている。

 新型コロナウイルスの影響でMLB全体が大幅減収を余儀なくされたため、多くのチームが予算削減を強いられることになったためだ。

 オプション権有資格選手を整理したチームが次に予算削減できる方策こそ、年俸調停権を有する選手たちの整理だ。ニュネス選手をはじめ、ここに名前を挙げた選手たちはすべて年俸調停有資格者たちだった。

 多少の特例はあるものの、基本的にMLB在籍日数が3年を超えた選手たちは、FA資格を得られるMLB在籍日数6年を超えるまでの3年間、年俸調停を申請できる権利を得られる。そのため彼らは、毎年のように大幅に年俸が上がっていくことになるわけだ。

【クリス・ブライアント選手も候補に】

 ちなみに各チームは、すでに長期大型契約を結んでいる大物選手たちを、チーム側の都合で勝手に契約解除することは許されていない。だが年俸調停有資格選手に関しては、チームが用意できる予算を上回る年俸額になりそうだと判断した場合は、当該選手を戦力外通告することができるのだ。

 これが「non-tender(ノンテンダー)」といわれる規則だ。今年のオフは12月2日が期限日になっている。

 MLBの選手移籍関連情報を中心に扱う「MLB TRADE RUMORS」では、今オフのノンテンダーされる選手を予想する記事を公開しているのだが、DFAされた前述のニュネス選手、レンフロー選手、ウィリアムス投手もその中に含まれていた。つまり彼らは、ノンテンダーされる前にDFAで整理されたと考えていいだろう。

 この記事によれば、カブスのクリス・ブライアント選手もノンテンダーされると予想している他、計81選手がリストアップされている。これが現実化するとなれば、まさに大量解雇といっていい。

 ノンテンダー期限まであと10日。果たして何人の選手がFA市場に回ることになるのだろうか。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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