今やチーム状態はパ・リーグ随一?! オリックス中嶋監督代行が実践する“育てながら勝つ”野球

中嶋監督代行が目指す方向にオリックスが進み始めている(筆者撮影)

【今やリーグで最も勢いがあるオリックス】

 今シーズンは開幕当初から低迷し、ペナントレースでほぼ1チームだけ蚊帳の外に置かれていたオリックスが、8月21日に中嶋監督代行が就任以降、着実にチーム状態が上向いてきている。

 9月26日の公式戦終了時点で、中嶋監督代行の指揮下でも14勝15敗2分けと負け越しているものの、直近の3カードだけでみると、6勝2敗1分けでリーグトップの成績を残している。

(筆者作成)
(筆者作成)

 9月26日の日本ハム戦でも勝利を飾り、4カード連続でカード初戦勝利にも成功。現時点でのチーム状態は、間違いなくオリックスがリーグ一番だといっていいだろう。

 その反対に、9月に入り2強態勢を築きつつあったソフトバンクとロッテが落ち始め、再び混戦の様相を呈しようとしている。

【積極的な若手選手起用でチーム内が活性化】

 オリックスの好調の原因は、いい意味での生存競争が生まれたことで、チーム内が活性化し始めていることに他ならない。

 就任時に中嶋監督代行が「全員でやります。まだまだ2軍にも選手がいますし、その全部を使っていきたいと思います」と公言していたように、彼が就任以降から現在まで、それまで今シーズンは1度も1軍昇格していなかった選手を10人も昇格させ、積極的に起用している。

 さらに2軍で調子のいい選手たちをすぐに1軍に引き上げ、9月26日現在で上記の10人を含め、延べ27人の投手、野手を入れ替えている。そうして選手を入れ替え、戦力を整えながら、選手たちに競争意識を植え付けていった。

【今や“育てながら勝つ”体制が整った?】

 また中嶋監督代行は就任時に、勝利と育成のバランスについて聞かれ、「そこを挑戦していくのが我々の仕事なので、どっちも取りにいきたいと思います」と話し、“育てて勝つ”姿勢を明確にしていた。

 それでも就任当初はなかなか結果に結びつかなかったが、投打ともに選手を入れ替えながらチーム内に化学変化が起きるのを模索し続けた。そうして最近になって、ようやくその成果が表れ始めたというわけだ。

 今も中嶋監督代行が選手を育成しながら勝つ姿勢に強いこだわりを持っていることが明らかになったのが、9月20日の西武戦だった。2連勝で迎えたカード最終戦だったこの試合で、7回まで4-2でリードする展開から8回の継投ミスで逆転を許してしまった。

 その試合後に中嶋監督代行は、以下のように話している。

 「今までファームの若い奴らが出るためにどうするのか、今シーズン育っていくためにどうするのか、そこにプラス勝つことというのはもちろん求められます。その点で今日のゲームは絶対に勝たないといけなかったんですけど…。

 そこができなかったのは僕の(選手の)出し方のミスだったと思います。本当はこれに勝ってあいつらが(勢いに)乗ってくれたらと思うんですけど、そこができなかったのは痛いですね」

 とにかく中嶋監督代行は選手たちに1軍の試合の経験を積ませるだけでなく、勝つことでしか味わえない喜びとプレッシャーを感じさせながら、選手をさらに上のレベルに引き上げようとしている。

【打線の得点力アップで先発投手陣が本領発揮】

 中嶋監督代行就任前は、リーグ最下位の得点力のため、才能溢れる若手先発投手陣に要らぬプレッシャーを与え、先に失点を許し、そのまま中継ぎ陣も崩れるという負の連鎖が続いていた。

 ところがここ最近は打線が繋がるようになり、ここまで1試合当たりの得点は3.75でリーグ最下位だったのだが、直近3カードに関しては4.8と得点力がアップしている。

 しかも9試合中6試合で先制点を奪う展開に持ち込んでおり、先発投手の負担を減らせるようになってきた。

 それを物語るように、9試合中先発投手が6イニング以上投げた試合は7試合に達し、逆に5イニング未満で降板したのはわずか1試合しかない。

 先発投手陣が長いイニングを投げられるようになれば。必然的に中継ぎ投手陣の負担が減る。この9試合における中継ぎ投手陣の平均起用数は2.7人に留まり、バランスよく回せるようになってきている。

【シーズン終盤の台風の目に?】

 とはいえ、9月26日終了時点でチーム成績は30勝48敗で、3位楽天に10.5ゲーム離されており、悲願のAクラス入りはかなり厳しい状況だ。

 だが現在のオリックスは、間違いなく上位チームと互角以上の戦いができるチーム状態にある。ある意味シーズン終盤に向け、オリックスがペナントレースのカギを握る存在になるのかもしれない。

 オリックス自体の順位は別にして、オリックスの上位いじめがシーズンを最後まで楽しませてくれそうだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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