ダルビッシュだけじゃない! 今シーズンのサイヤング賞有力候補投手が中地区に集まっている理由とは?

投手主要3部門でリーグトップに立つシェーン・ビーバー投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【サイヤング賞有力候補2投手がいずれも好投】

 いよいよ大詰めを迎えたMLB。すでに両リーグの4地区で優勝が決まり、今シーズンから16チームが進出できるポストシーズンも、10チームが確定している。

 それに合わせるように、個人賞争いも熾烈を極めている。現地時間の9月23日は、両リーグのサイヤング賞有力候補と目されている2投手がシーズン最後の登板に臨み、いずれも好投を演じている。

 インディアンズのシェーン・ビーバー投手はホワイトソックス戦に登板し、5回を投げ2安打1失点10奪三振の好投を披露した。

 この日は勝利投手にはなれなかったものの、今シーズンは12試合に登板し、8勝1敗、防御率1.63、122奪三振を記録。投手主要3部門すべてでア・リーグのみならずMLB全体でトップに立つ成績を残し、初のサイヤング賞獲得に弾みをつけている。

 またレッズのトレバー・バウアー投手は中3日でブルワーズ戦に登板し、8回を投げ4安打1失点1奪三振の好投を演じ、今シーズン5勝目を挙げている。

 この結果今シーズンのバウアー投手は11試合に登板し、5勝4敗、防御率1.73、100奪三振を記録。勝利数こそ5位タイに留まっているが、防御率、奪三振数でナ・リーグ1位に立ちシーズンを締めくくっている。

 ただバウアー投手の場合、チームが今もポストシーズン進出を争っており、状況によっては再び中3日でシーズン最終戦のツインズ戦に登板する可能性を残している。

【今シーズンは好投手が中地区に集中】

 バウアー投手の好投は、日本のファンにとっては決して嬉しくないニュースなのかもしれない。日本人初のサイヤング賞受賞を目指すダルビッシュ有投手を脅かす存在になるからだ。

 ダルビッシュ投手もシーズン最後の登板を控えており、いずれにせよ最後まで目が離せないアピール合戦が続きそうだ。

 ところでビーバー投手、バウアー投手、ダルビッシュ投手と、今シーズンのサイヤング賞を争う投手は中地区の投手に集中している傾向にあるような気がしている。

 実際のところ23日の公式戦終了時点で、投手3部門のMLBトップ10を見てみてみると、勝利数(7位タイが8人いるので計14人)で6人、防御率で5人、奪三振数で5人と、どの部門も半数近くが中地区の投手が名を連ねている状況だ。

【極端な投高打低だった中地区】

 今シーズンは新型コロナウイルスの影響で60試合の短縮シーズンで実施されているだけでなく、感染防止の観点から各チームの移動を軽減するため、試合は地区内同士の対戦と他リーグ同地区の交流試合に限られていた。

 そのため地区によって、多少なりとも傾向に違いが生じていた。特に中地区では投打低の傾向が著しく、それだけ投手に有利に作用していた面を否定できない。

 下記の表をご覧頂きたい。両リーグ中地区5チームの得点数、防御率をリーグ順位とともに一覧にしたものだ(データは9月23日現在)。

(筆者作成)
(筆者作成)

 如何だろう。基本的に得点ではほぼすべてのチームがリーグ下位に入っている一方で、防御率は軒並みリーグ上位に名を連ねているのだ。まさに今シーズンの中地区は、“投手天国”といってもいい状況だったのだ。

【賞レースにも影響か?】

 すでに米メディアからも、こうした地区ごとの違いが不公平感を招いているとの指摘も出ているように、投手の個人成績を単純比較するのは平等ではないのかもしれない。

 サイヤング賞を含め個人賞は、全米野球記者協会の記者投票によって選出される。

 投票権を持つ記者の中には、こうした地区格差を考慮しながら投票する人もいるはずだ。今はオフの投票結果を待つしかない。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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