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米国挑戦1年目に確かな手応えを得た馬場雄大の飽くなきチャレンジ魂

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
馬場雄大選手がNBAの公式戦のコートに立つ日は訪れるのか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【Bリーグアワードに登場した馬場雄大選手】

 2019-20シーズンから活躍の場を米国に移した日本代表の馬場雄大選手が、久々に日本で公の場に姿を現した。

 5月9日に実施された「B.LEAGUE AWARAD SHOW 2019-20」の第2日に「BREAK THE BORDER」賞を受賞し、オンラインながらファンとメディアの前にその勇姿を見せてくれた。

 新型コロナウイルスの影響で、NBA同様に馬場選手が所属するGリーグも、3月12日からシーズンが中断状態にある中、ショーの後に実施されたオンライン会見で、米国挑戦1年目のシーズンを振り返ってくれた。

オンライン会見でメデイアの質問に答える馬場雄大選手(筆者撮影)
オンライン会見でメデイアの質問に答える馬場雄大選手(筆者撮影)

【周囲の信頼を獲得するためゼロからのスタート】

 前所属先のアルバルク東京から、馬場選手がサマーリーグ参戦を目指し、マーベリックスのトレーニングキャンプに参加することが発表されたのは去年の夏のことだった。そこから彼の米国挑戦が本格的にスタートした。

 これまで日本バスケ界の王道を歩み続け、アルバルクはもとより日本代表でも主力選手として認められる存在だった馬場選手だが、世界中から有望選手たちが集まってくる米国では、日本での評価はほとんど無意味なものだった。

 改めて米国のコートで自分の実力を示し、彼らに認めてもらうしかなかった。まさにゼロからのスタートだった。

 短期間のサマーリーグで十分な出場時間を与えられたとは思えないが、そこからマーベリックスとの正式契約を勝ち取り、傘下のテキサス・レジェンズでGリーグの開幕を迎えることができた。

 もちろんGリーグでも、周囲の信頼を勝ち取るための戦いは続いた。

【徐々に増えていった出場時間】

 「(シーズンの)最初はプライドというか、Bリーグで結果を残してきたという思いがあって、そこでプレータイムがもらえず腐ってしまった部分もあったと思うんですけど、今一度ここ(米国のコート)に立って、何を自分がやれるのかというところに焦点を置いた時に、ゼロから挑戦する気持ちを忘れていたなと思っていました。

 そしてそこのところを明確にして、また初心に戻ってバスケットボールに真摯に取り組むことで、周りからの信頼だったり、(自分に対する)個の力の信頼っていうのは得ることができたかなと思います」

 別表を見てほしい。今シーズンの馬場選手の月別成績をまとめたものだ。ちなみに試合数の括弧内の数字はチームの試合数を表したものだ。

(筆者作成)
(筆者作成)

 馬場選手が説明するように、シーズンが開幕した当初は、2試合欠場しているし、平均時間もわずか11.4分(Gリーグの試合時間はNBAと同じく48分)に留まっている。Bリーグとの扱いの違いに、多少腐ってしまったとしても仕方がないところだ。

 だが心機一転した馬場選手はコート上で自分の力を発揮することだけに徹し、試合を重ねるごとに出場時間を伸ばしていった。そして2月の平均出場時間は28.7分まで増え、主力選手として扱われるまでになっている。

 この頃になると、馬場選手も「本来の(自分の)得意というか、日本でやれていたようなプレーができたかなと思っています」と手応えを感じられるようにまでなれた。

【前人未踏の道を歩み続ける】

 今も米国内で新型コロナウイルスが猛威を振るい、今後を見通せない状況が続いている。それでも馬場選手は「僕の夢を達成するまで挑戦し続けたいと思っています」と言い切る。

 いうまでもなく馬場選手の夢は、NBAのコートに立つことだ。Gリーグで主力選手の扱いを受けるようになったからといって、彼の夢を実現するには、まだまだ長い道のりが待ち受けている。

 「(NBAに到達するためには)すべての技術においてまだまだ向上しないといけないと思うんですけど、ただ(その中でも)フィニッシュの強さというのは1つ挙げられるかなと思っています。

 やっぱりアウトサイドのシュートの確率が上がった分、ブロックもディフェンスも外にっていう意識がついてきたので、その中でドライブした時に自分よりサイズが大きい選手に対しても攻めきるという力を持つことができたら、使いやすい選手になれると思います」

 これまでNBAのコートに立つことができた田臥勇太選手、渡邊雄太選手、八村塁選手はすべて高校卒業後に米国の大学に進学し、そこからNBAへ辿り着いた。

 つまり現在の馬場選手は、彼らとは違う前人未踏の道を歩み続けている。ある意味NBAを目指す日本人選手にとって、“茨の道”といえるだろう。

 馬場選手の挑戦の先に、どんな結果が待っているのか誰にも分からない。だが挑戦1年目を「次に備えたっていうところで満足のいく第1ステップは踏めたかとは思います」と話してくれた彼の言葉を聞き、今後も彼の挑戦を追い続けたいという気持ちを強くした。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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