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延長戦はホームラン競争で決着を! ジャスティン・ターナーが明かした興味深い私案

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンの運営について独自の私案を明らかにしたジャスティン・ターナー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【まったく先の見通しが立たないMLB】

 すでに新型コロナウィルスの感染者数が国別で世界トップになってしまった米国。今も感染拡大が沈静化する様子はなく、スポーツ界もまったく先が見通せない状況だ。

 もちろんMLBも例外ではない。先週末に選手会との間で今シーズンの運営方針について合意したものの、一定の条件が整うまでは公式戦を開催できないという見解で一致しており、まだシーズン開幕時期や試合数など、何も決められない状況だ。

 その一方で、MLBと選手会は今も協議を続けており、米メディアが今シーズンの様々な試案が出ていることを報じている。

 自分もあるMLB関係者から、スプリングトレーニング中断以降に実施された某チーム内の選手会ミーティングで、ダブルヘッダーの定期開催やそれに伴う出場ロースターの拡大などの説明がなされたことを確認しており(あくまで試案として説明)、今もシーズン開幕後の様々な案が検討されているようだ。

【ジャスティン・ターナーが明かした私案】

 そんな中、ドジャースのジャスティン・ターナー選手が地元メディアに対し、今シーズンの運営方式に関して非常に興味深い私案を披露している。スポーツ専門サイトの『the Score』が、その詳細を報じている。

 ターナー選手の私案とは、延長10回終了時点で決着がつかなければ、両チームの代表3選手でホームラン競争を行い、その本数で決着をつけるというものだ。ホームラン競争に参加した選手はそれぞれ5アウトまで打つ資格を持ち、その本数を競い合うことになる。

 すでにWBCで採用されているタイブレーク方式というよりも、NHL(アイスホッケー)やサッカーで採用しているPK戦のようなものだと考えてもらえばいいだろう。

【時間短縮に加えファン確保の効果も】

 MLBの現行ルールでは延長戦はイニング数に関係なく決着がつくまで実施される。例えば昨シーズンでもジャイアンツ対ロッキーズ戦で18イニングの延長戦が記録されているし、MLB史上最長記録は26イニングまで戦っている。(1920年のブルックリン・ロビンズ対ボストン・ブレーブス戦)。

 だが今シーズンに限っては、すでに短縮シーズンになることが確実視されている中、MLB、選手双方ともできるだけ多くの試合をしたいことで一致している。過密スケジュールは必至な状況であり、その上前述通り、定期的にダブルヘッダーの実施も検討されている。

 とてもではないが現行ルールのまま延長戦を実施していれば、選手たちは簡単に潰れてしまうだろう。

 しかも延長戦は長くなれば長くなるほど、ファンは決着を見ずにどんどん球場を去って行ってしまう。その点でも、ターナー選手は「(ホームラン競争なら)ファンも最後まで席に残ってくれる」と説明している。

 ちなみにターナー選手はドジャースで選手会の代表を務めており、選手会の全体ミーティングにも参加している選手だ。彼の私案が採用されるようなことになれば、今シーズンの延長戦はかなり面白いことになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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